ホテルメッツ

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ホテルメッツ新潟(2013年8月4日)

ホテルメッツは、東日本旅客鉄道(JR東日本)によるホテルチェーン「JR東日本ホテルズ」の宿泊特化型ホテルブランドである。

概要[編集]

JR東日本ホテルズが展開するシティホテルのブランド「メトロポリタンホテルズ」の宿泊特化型ホテル版として、1994年平成6年)5月24日に1号店の「ホテルメッツ久米川」が西武新宿線久米川駅南口近くに開業[1]。続いて同年7月11日に2号店の「ホテルメッツ武蔵境」が中央線西武多摩川線武蔵境駅南口駅前に開業し[1]、主に首都圏をはじめ関東地方各地で店舗展開を進めた。

ホテルメッツは駅ビル会社である国分寺ターミナルビル(現:JR東京西駅ビル開発)が、流通業を取り巻く環境の変化にあって、ホテル業に新規参入することによって経営基盤の拡充に資するよう、ホテル運営に乗り出したことが始まりであり[2]、「駅に近い宿泊特化型のホテル」として、シティホテル並みのサービスと居住性の高い客室を、低価格で提供することを目指しており、30代から40代のビジネスマンをメインターゲットとしてから至近の地に出店している。これは駅ビル開発の一環や、駅敷地の遊休地の利活用なども見込んだものである。

1999年(平成11年)4月には、JR東日本関連事業部内にホテルメッツチェーン本部を設置し、ブランド力による集客力の向上、スケールメリットによる効率経営を目指すためチェーンオペレーションを開始した。そして久米川・武蔵境・国分寺の3ホテルが好調に推移したことを踏まえ[2]、JR東日本管内の地方都市でも新規出店を進め、同年7月20日開業の「ホテルメッツ北上」(北上駅西口駅前)、7月21日開業の「ホテルメッツ長岡」(長岡駅東口駅前)を皮切りに、主に新幹線の停車駅を中心に出店。1駅ビル会社の事業からグループ全体に事業へと発展した[2]

展開初期に開業したものは遊休地活用の面が強かったことから、客室数はシングルルーム主体で100室前後と比較的小規模である。またホテル内に会議室を設けている店舗や、レストラン・喫茶店・居酒屋などがテナント出店している店舗もあり、こうした会議室やテナントで朝食を提供する店舗もある。客室数に余裕が少ないため、特にビジネス客の需要がある平日は稼働率が高く、満室となることが多い。また展開初期の店舗は東横インなどと同様に、客室設備や建物の基本設計を共用化する傾向があったため、開業時期が近い店舗には建物外観が酷似しているケースもある。

一方で多くの集客が見込めるターミナル駅を中心に店舗の大型化を進め、1997年(平成9年)4月21日開業の「ホテルメッツ川崎」(川崎駅西口駅前)は客室数153、2001年(平成13年)11月28日開業の「ホテルメッツ渋谷」(渋谷駅新南口駅前)は客室数195など、150以上の客室を擁する店舗も出店している。また一部の店舗では朝食だけでなく、ランチタイムやディナータイムにも営業するレストランがテナント出店するなど、運営規模は徐々に拡大している。

近年は店舗ブランドや業態の多角化が進められている。「ホテル アール・メッツ宇都宮」は、宇都宮駅西口の駅ビル「パセオ」の空きフロアを改修してホテルフロアへの活用を図った店舗として2012年(平成24年)3月27日に開業した。このアール・メッツブランドの「アール」とは、Region(地域の魅力再編集)・Recycle(既存建造物の利活用)・Revival(地域活性化)の、3つのキーワードの頭文字を意味したものである。駅ビルをホテルへ業態転換した例は、JR東日本グループ管内ではこれが初のケースである[3]

また、ホテルメッツとメトロポリタンホテルズの中間業態をとる店舗もあり、「ホテルメッツ渋谷」は2010年(平成22年)11月11日のリニューアル開業時、高層階の13・14階をハイグレードタイプの「プレミアムフロア」として、上質な備品を備えた客室や、「渋谷」や「森」をモチーフにしたコンセプトルームを展開するなど、高級感のある客室構成としている。この他、2013年(平成25年)4月1日にリニューアル開業した「ホテルメッツ川崎」では高層階2フロアを「プレミアムフロア」、同年4月8日に新規開業した「ホテルメッツ新潟」(新潟駅南口駅前)でも高層階2フロアを「スーペリアフロア」として、それぞれハイグレードタイプを備えた客室構成としている。

特徴[編集]

ホテルメッツの特徴として、スタンダードタイプのシングルルーム1泊あたりの宿泊料金が、東京都区内の店舗で15,000円前後、その他の関東各地や地方の店舗で8,000-10,000円前後に設定されていること、朝食券が付帯されていること、シングルルームでは140cm幅のベッドを原則用いていること、温水洗浄便座と足が伸ばせるバスタブを備えたユニットバスを備えていることが挙げられる。

展開当初の店舗はスタンダードタイプの客室のみの設定だったが、店舗展開が進捗すると、客室面積を広くしたり大画面タイプのテレビを設置するなどして居室構造に高級感を持たせたハイグレードタイプの客室や、女性専用の客室、ユニバーサルデザインを取り入れた客室を備えた店舗も出店するようになった。こうした客室は、店舗によって「デラックス」「プレミアム」「スーペリア」「スーペリアデラックス」「レディース」「ユニバーサル」などを客室タイプ名に冠している。このほか、室内に様々なデザインを取り入れたコンセプトルームや、長期滞在向けの家具や備品を備えたレジデンシャルルームを展開している店舗も存在する。

近年は旅行サイトや宿泊予約サイトの普及などもあって、東横イン・アパホテルホテルルートインといった格安ビジネスホテルチェーンや、地場の格安型ビジネスホテルなどとの間で価格競争が激化しているが、ホテルメッツでは大幅な料金割引は行わないため、収益は比較的安定しているとされる。逆に同じJR東日本ホテルズのメトロポリタンホテルズでは、空室に余裕が有れば正価から大幅に割り引いて販売することがあるため、宿泊特化型ホテルのホテルメッツとシティホテルのメトロポリタンホテルズとの間で実売価格が近接し、朝食の有無程度しか差が見あたらないケースもある。

施設運営[編集]

ホテルメッツの展開当初、首都圏の店舗は国分寺ターミナルビル(現在のJR東京西駅ビル開発)などのJR東日本グループの駅ビル運営企業がエリア毎に手がけていた。

しかし1999年(平成11年)、JR東日本グループの経営方針の一環で、東京都をはじめ関東地方に所在するホテルメッツの運営体制が集約されることになり、当時ホテルメトロポリタンを運営していた「池袋ターミナルビル株式会社」が子会社「メッツホテルアンドレストラン株式会社」を設立し、同社が首都圏のホテルメッツの店舗運営を担うことになった。

さらに2007年(平成19年)4月には、東京ステーションホテルやメトロポリタンホテルズも含めたJR東日本ホテルズの運営体制が一本化されることになり、株式会社ホテルメトロポリタン(上記の池袋ターミナルビルが会社分割および商号変更した企業)を存続会社に、メッツホテルアンドレストラン、日本ホテル、ホテルエドモントを吸収合併した上で、ホテルメトロポリタンの商号を「株式会社日本ホテル」に改称した。これ以降、関東地方のホテルメッツは同社が店舗運営を行っている[2]

このうち「ホテルメッツ田端」(田端駅北口近く)については1998年(平成10年)2月1日の開業当初、日本貨物鉄道(JR貨物)の子会社「ジェイアールエフ・ホテル」がFC契約を結び運営していた[1]。これは同社の田端操駅(現在の田端信号場駅)に隣接する敷地を活用してJR貨物が建設し、JR東日本ホテルズのフランチャイズとして運営を行っていたものだが、2012年7月1日付で日本ホテルに移管され、以後は経営・運営ともJR東日本グループが行っている(詳細はJRホテルグループ#JR貨物を参照)。

関東地方を除く東日本管内各地のホテルメッツは、JR東日本グループの地域子会社が運営している。

所在地[編集]

2017年4月現在、23店舗が出店している。

下記の一覧は北から順に記載。客室数、開業年月日順のソートも可能。各店舗の詳細情報は公式サイト「路線図マップ」から参照のこと。

店舗名 所在地 立地 客室数 開業年月日 運営企業 備考
ホテルメッツ八戸 青森県八戸市大字尻内町字館田1-1 八戸駅東口直結 82 2002年11/2111月21日 盛岡ターミナルビル
ホテルメッツ北上 岩手県北上市大通り1-1-34 北上駅正面口隣接 121 1999年07/207月20日 盛岡ターミナルビル
ホテルメッツ福島 福島県福島市栄町1-1 福島駅東口徒歩1分 129 2006年02/202月20日 仙台ターミナルビル
ホテルメッツ水戸 茨城県水戸市宮町1-1-1 水戸駅北口徒歩1分 102 1997年03/143月14日 日本ホテル
ホテル アール・メッツ宇都宮 栃木県宇都宮市川向町1-23 宇都宮駅西口直結
パセオ3 - 9階
158 2012年03/273月27日 日本ホテル 唯一の「アール・メッツ」ブランドの店舗
宇都宮をテーマにしたデザインを用いている
ホテルメッツ浦和 埼玉県さいたま市浦和区高砂1-16-7 浦和駅西口徒歩1分 62 1996年11/2111月21日 日本ホテル
ホテルメッツ津田沼 千葉県習志野市津田沼1-1-1 津田沼駅南口直結 81 1998年11/2811月28日 日本ホテル
ホテルメッツ渋谷 東京都渋谷区渋谷3-29-17 渋谷駅新南口直結 195 2001年11/2811月28日 日本ホテル 高層階2フロアは「プレミアムフロア」
ホテルメッツ目白 東京都豊島区目白1-4-1 目白駅徒歩1分 95 2003年10/0110月1日 日本ホテル
ホテルメッツ駒込 東京都豊島区駒込2-1-39 駒込駅南口徒歩1分 152 2009年09/289月28日 日本ホテル
ホテルメッツ田端 東京都北区東田端1-17-20 田端駅北口徒歩2分
田端信号場駅隣接地
98 1998年02/012月1日 日本ホテル 2012年6月30日まではJR貨物の関連企業
「ジェイアールエフ・ホテル」
(のち「ジェイアール・エフ開発」)
によるフランチャイズ運営
ホテルメッツ赤羽 東京都北区赤羽1-1-76 赤羽駅北改札東口徒歩1分 120 2005年05/095月9日 日本ホテル
ホテルメッツ高円寺 東京都杉並区高円寺北2-5-1 高円寺駅北口徒歩1分 110 2007年03/063月6日 日本ホテル
ホテルメッツ国分寺 東京都国分寺市南町3-20-3 国分寺駅南口徒歩1分 75 1996年05/245月24日 日本ホテル
ホテルメッツ武蔵境 東京都武蔵野市境南町2-1-8 武蔵境駅南口徒歩1分 95 1994年07/117月11日 日本ホテル
ホテルメッツ久米川 東京都東村山市栄町2-31-4 久米川駅南口徒歩2分 47 1994年05/245月24日 日本ホテル 「ホテルメッツ」1号店
JR線沿線ではなく、西武新宿線沿線に所在
ホテルメッツ立川 東京都立川市柴崎町3-1-1 立川駅南口徒歩1分 129 2008年10/0710月7日 日本ホテル
ホテルメッツ川崎 神奈川県川崎市幸区堀川町72-2 川崎駅西口徒歩1分
京急川崎駅徒歩5分
153 1997年04/214月21日 日本ホテル 高層階2フロアは「プレミアムフロア」
ホテルメッツ溝ノ口 神奈川県川崎市高津区溝口1-1-5 武蔵溝ノ口駅南口徒歩1分
東急溝の口駅東口徒歩1分
100 2000年04/254月25日[4] 日本ホテル
ホテルメッツかまくら大船 神奈川県鎌倉市大船1-2-1 大船駅東口徒歩3分 153 2002年4月27日 日本ホテル
ホテルメッツ横浜鶴見 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央1-31-2 鶴見駅東口徒歩1分
シークレイン隣接
111 2010年10/2210月22日 日本ホテル
ホテルメッツ長岡 新潟県長岡市台町2-4-9 長岡駅東口直結 122 1999年07/217月21日 トッキー
ホテルメッツ新潟 新潟県新潟市中央区花園1-96-47 新潟駅西側連絡通路直結 197 2013年04/084月8日 トッキー 高層階2フロアは「スーペリアフロア」
1 - 3階に「新潟駅ビルCoCoLo西館」併設

(仮称)ホテルメッツ秋葉原(東京都千代田区外神田1丁目17番地6号/秋葉原駅電気街口前/日本ホテル運営)を建設中、2019年秋開業予定[5]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 『東日本旅客鉄道株式会社二十年史 1987.4-2007.3』p.460
  2. ^ a b c d 『東日本旅客鉄道株式会社二十年史 1987.4-2007.3』p.461
  3. ^ 2012年 ビル事例一覧 - 明豊ファシリティワークス - 2012年10月19日閲覧
  4. ^ ““新タイプ”のホテルメッツ 「溝ノ口」がオープン”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (2000年4月27日) 
  5. ^ ホテルメッツ秋葉原(仮称)の建設について ~2020年頃までに10,000室超のホテルチェーンを目指します~(JR東日本プレスリリース)(2017年5月9日、同日閲覧)

参考文献[編集]

  • 東日本旅客鉄道株式会社編『東日本旅客鉄道株式会社二十年史 1987.4-2007.3』 東日本旅客鉄道、2007年。

外部リンク[編集]