ホスピタル・ホスピタリティ・ハウス

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ホスピタル・ホスピタリティ・ハウスHospital Hospitality House)とは、難病や高度な医療を受ける必要性から家族、自宅を遠く離れて入院生活をする子供を見舞い、付き添うために遠隔地からでてきた両親、家族のために経済的にあまり負担にならない金額(利用料は、一泊1,000円程度)で滞在できる宿泊施設である。家族滞在ハウス、ファミリーハウス、サポートハウス、慢性患児家族宿泊施設など呼称はさまざまなものが使われている。基本的には宿泊施設であるが、一般に「ハウス」という呼び名が共通に用いられている。

運営団体は、任意団体、財団NPOが運営しているもの、病院が直接自ら運営しているもの、そして、企業の社会貢献活動として運営されているものがあり、この種のものではマクドナルドが運営するものが、最もよく知られている。

歴史[編集]

1970年代から、まずアメリカ合衆国で生まれたものである。世界最初のものは、1972年に誕生した「ザ・ケビン・ゲスト・ハウス」である。次いで、同年「ロナルド・マクドナルド・ハウス」の第1号がアメリカで誕生した。以来、マクドナルドは世界中で、病気の子供と家族のための滞在ハウスの提供を行っており、日本にも2001年に「ドナルド・マクドナルド・ハウスせたがや」ができた。

1986年に、アメリカでこうしたハウスの全米組織「全米ホスピタル・ホスピタリティ・ハウス連盟」(National Association of Hospital Hospitality House, Inc; NAHHH)が結成され、1988年には「病気のこどもヨーロッパ協会」(European Association for Children in Hospital; EACH)が、ハウスの必要性を明記した「病院のこども憲章」に合意している。

日本では、家族または家族により雇われた付き添い人(職業介護人)によって病児の介護が行われ、それらは院内(病児の脇の通路など)に簡易ベッドを持ち込んで宿泊していた。しかし、1994年に導入された「新看護体系」では、院内での宿泊が不可となり、また、看護は看護職員が行うという職業分離がなされた。このため、病院を締め出された家族たちの宿泊市場が生まれ、そこにホスピタル・ホスピタリティ・ハウスが参入し、1993年にはNPO法人ファミリーハウスにより日本第1号のハウスである「かんがる〜の家」が出来た。1997年には全病院で家族・職業介護人の看護が廃止され、1998年には厚生省の追加予算により、全国にハウスを32ヵ所建設することが決まった。現在、日本国内には、北海道から沖縄県まで約125施設がある。

関連項目[編集]

  • メイク・ア・ウィッシュ
  • フレッド・ヒル - アメリカンフットボールプレイヤー。娘が白血病になった経験からホスピタル・ホスピタリティ・ハウス建設に尽力。これがロナルド・マクドナルド・ハウス第1号となる。

外部リンク[編集]