ホウボウ科

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ホウボウ科
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: カサゴ目 Scorpaeniformes
亜目 : コチ亜目 Platycephaloidei
: ホウボウ科 Triglidae
学名
Triglidae
Rafinesque, 1815
英名
Gurnard
Sea robin
(本文参照)

ホウボウ科 (Triglidae) はカサゴ目の下位分類群の一つ。世界中の熱帯域から温帯域にかけて分布する底生魚が属する。

分類・記載[編集]

本科は1815 年にフランスの博物学者であるコンスタンティン・サミュエル・ラフィネスクによって科として記載された[1]。 1883年、デイビッド・スター・ジョーダンとチャールズ・ヘンリー・ギルバートは、 1758年にカール・フォン・リンネによって記載された Trigla lyraTrigla 属と本科のタイプ種とした[2]。『Fishes of the World Fifth edition』では、本科をカサゴ目のコチ亜目としている[3]。 キホウボウ科とともにスズキ目のホウボウ亜目を構成するという見解もある[2][4]

名称[編集]

学名は Trigla 属に基づき、チチュウカイヒメジ ( Mullus barbatus )に由来する。Peter Artedi は、ヒメジ科とホウボウ科は体色が赤く音を発生させるため、同じ分類群とした。リンネはそれらが異なることに気づき、Trigla 属を従来の分類とは異なるホウボウ類として独立させた[5]。オレンジ色の体色と大きな胸びれを開閉させて泳ぐ様子が鳥の羽ばたきのように見えることから、英語ではホウボウ科に属す各種の魚を Sea Robin(海のコマドリ)と呼ぶ[6]。またもう一つの英名である Gurnard は、捕まえられるとカエルの鳴き声に似た音を発することに由来する[7]

下位分類[編集]

本科は3亜科9属に130種近くが属する。これらの亜科を族とする見解もある[8]

特徴[編集]

口は吻部先端か、そのわずかに下にある。吻部先端には通常一対の突起または棘があり、上から見ると口吻は二つに分かれるように見える。頭部に棘は無く、通常、眼前の骨が前方に突き出ている。6本の「脚」のように見えるのは胸びれ前端の軟条3対であり、胸びれから遊離して前脚のような姿に発達し、海底を探る触手として進化している。背鰭は二基あり、第一背鰭は棘条7 - 11本、第二背鰭は軟条10 - 23本で構成される。尻鰭は棘条0 - 1本、軟条11 - 23本で構成される。頭蓋骨や体の骨が固く、鎧のようになっている。尾鰭の条は9 - 10本[3]。最小の種は Lepidotrigla spiloptera で、最大全長は10 cm。最大の種はタブ・ガーナード( Chelidonichthys lucerna ) で、最大全長は75.1 cm[9]

浅瀬から水深 200 mまで生息する底生魚で、多くの種が体長30 - 40 cmほど。浮き袋の筋肉を利用して音を出す[10]

胸鰭の条が発達した3対の脚のような器官を持つ[11]。この器官は鰭膜が無く、成長の過程で胸鰭条から発達する[12]。水中での移動時の支えの為に、通常の鰭条とは異なる特殊な筋肉と独特な構造をしている[11]。さらに化学受容器としてはたらき、水中のアミノ酸を感知し、獲物を発見することができる[13][14][15]

人との関わり[編集]

白身が締まっており、煮崩れしにくいのでスープやシチューに適している。フランス料理のブイヤベースによく使われる。風味や食感については賛否両論である[16][17]

イギリス海域では混獲され、廃棄されることが多かった[18]。2007年から2008年にかけての卸売価格は1kgあたり0.25ポンドから4ポンドに上昇し、2011年には売上が10倍になった[17]

様々な餌やルアーを海底に落として釣ることができる。釣るにはサバが最も良いとされているが、場所によってはカニや他の魚も利用できる。また、底付近を狙ったルアーフィッシングでも釣ることができる。ストライプドバスヒラメなどを狙った釣りの外道とされる。ロブスター漁師が餌として使うことがある[17]

脚注[編集]

  1. ^ Richard van der Laan; Eschmeyer, William N; Fricke, Ronald (2014). “Family-group names of Recent fishes”. Zootaxa 3882 (2): 1-230. doi:10.11646/zootaxa.3882.1.1. https://www.researchgate.net/publication/268078514_Family-group_names_of_Recent_fishes. 
  2. ^ a b Eschmeyer, William N. Fricke, Ron & van der Laan, Richard (eds.): “Genera in the family Triglidae”. Catalog of Fishes. California Academy of Sciences. 2023年9月23日閲覧。
  3. ^ a b J. S. Nelson; T. C. Grande; M. V. H. Wilson (2016). Fishes of the World (5th ed.). Wiley. pp. 467-495. ISBN 978-1-118-34233-6 
  4. ^ Ricardo Betancur-R; Edward O, Wiley; Gloria, Arratia (2017). “Phylogenetic classification of bony fishes”. BMC Evolutionary Biology 17: 162. doi:10.1186/s12862-017-0958-3. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5501477/. 
  5. ^ Christopher Scharpf & Kenneth J. Lazara, eds: “Order Perciformes (Part 12): Suborder Triglioidei: Families Triglidae and Peristediidae”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara. 2023年9月23日閲覧。
  6. ^ Sea robin”. Collins. 2023年9月23日閲覧。
  7. ^ Gurnard”. Merriam-Webster Online. 2023年9月23日閲覧。
  8. ^ Richards, W; Jones, D (2002). “Preliminary classification of the gurnards (Triglidae: Scorpaeniformes)”. Marine and Freshwater Research 53 (2): 274-282. 
  9. ^ Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds.: “Triglidae”. Fishbase. 2023年9月23日閲覧。
  10. ^ William N. Eschmeyer (1998). In Dr John R. Paxton and William N. Eschmeyer (eds.). ed. Encyclopedia of Fishes - Scorpionfishes and their Allies. Academic Press. pp. 175-181. ISBN 0-12-547665-5 
  11. ^ a b Petersen, Jarrod C; Ramsay, Jason B (2020). “Walking on chains: the morphology and mechanics behind the fin ray derived limbs of sea-robins”. The Journal of Experimental Biology 223 (18). doi:10.1242/jeb.227140. https://journals.biologists.com/jeb/article/223/18/jeb227140/225876/Walking-on-chains-the-morphology-and-mechanics. 
  12. ^ Kuntz, A. and L. Radcliffe (1918). “Notes on the embryology and larval development of twelve teleostean fishes”. Bulletin of the Bureau of Fisheries 35: 87-134. 
  13. ^ Jamon, Marc; Renous, Sabine; Gasc, Jean Pierre; Bels, Vincent; Davenport, John (2007). “Evidence of force exchanges during the six-legged walking of the bottom-dwelling fish, Chelidonichthys lucerna”. Journal of Experimental Zoology Part A: Ecological Genetics and Physiology 307A (9): 542-547. doi:10.1002/jez.401. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jez.401. 
  14. ^ Bardach, J; Case, J (1965). “Sensory capabilities of the modified fins of squirrel hake (Urophycis chuss) and searobins (Prionotus carolinus and P. evolans)”. Copeia 1965: 194-206. 
  15. ^ Silver, W. L. and T. E. Finger (1984). “Electrophysiological Examination of a Non-Olfactory, Non-Gustatory Chemosense in the Searobin, Prionotus-Carolinus”. Journal of Comparative Physiology 154 (2): 167-174. 
  16. ^ Gurnard”. 2023年9月23日閲覧。
  17. ^ a b c Ugly fish, tasty dish: chefs extol the sustainable virtues of the gurnard”. 2023年9月23日閲覧。
  18. ^ Gurnard recipes - BBC Food”. 2023年9月23日閲覧。

関連項目[編集]