ペミカン

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アウトドア・ショーであるカルガリー・スタンピードで作られているペミカン

ペミカン英語: pemmican)は、カナダおよびアメリカに先住するインディアンたちの伝統的な食品[1]。携帯保存食の一種。

概要[編集]

本来のペミカンは、加熱溶解した動物性脂肪に粉砕した干し肉ドライフルーツなどを混ぜ、密封して固めることで保存性を高めた食品である。毛皮交易の際に携帯保存食として広く利用された。

ペミカンの材料は、使用可能なものなら何でも用いられた。例えば、ペミカン用のとしてしばしばアメリカバイソンヘラジカシカアメリカアカシカオジロジカ英語版など)の肉が使われた。果物は、クランベリーサスカトゥーンベリー英語版ザイフリボク属)がよく使われた。チェリースグリセイヨウカマツカの実、ブルーベリーが使われたペミカンは、インディアンたちの間でもっぱら冠婚葬祭などの特別な場合に、現在でも食べられている。パウワウにも供されることが多い。

脂肪分の少ない肉と骨髄の脂肪で作られたペミカンが最上級とされるなど、毛皮交易時代のペミカン購入者の間では厳格な仕様が存在した。

語源はクリー語の「ピミーカーン」 (pimîhkân) で、「pimî」は「脂肪」を意味する。

極地探検・登山用保存食としてのペミカン[編集]

ロバート・スコットロアール・アムンセンのような極地探検家の間で、高カロリー食品として利用された。適切に包装されたペミカンは、長期間保存することができた。多くの場合、砕いた極地用ビスケットとともに湯に溶き、一種のシチューであるフーシュとして供された。

日本においても、大学山岳部などによる長期に及ぶ冬季登山などにおいて、伝統的によく利用されてきた。ただし日本の登山者が手作りするペミカンは本来の物とは異なり、現地での調理の手間の省略や燃料の節約のための簡易料理の一種と言える[独自研究?]近年では[いつ?]市販のレトルト食品が発達・利用されるので、ペミカンを知らない者も多い[独自研究?]

作り方は、出発前に肉(豚肉鶏肉など)と野菜(タマネギニンジンジャガイモピーマンキノコニンニクなど)を細かく刻んで調味料(塩・胡椒など)で味付けし、ラードもしくはバターで炒めた後、油脂で具材を包み込んで密封するようにジップ袋や容器に入れ、冷凍庫で冷やし固めて保存しておく。溶けては意味がないので夏には向かず、冬向けの食品である。冬ならば、現地で数日から1週間程度保つとされる[誰によって?]

食べ方は、現地でコッヘル(アウトドア用の鍋)で湯を沸かしてペミカンを投入して溶かし、練って食べるか、もしくは湯で薄めてシチュー用やカレー用などの固形・粉末ルー味噌(汁粉末)などの調味料を加え、シチューやカレーや豚汁などにして食べる。パンに挟んだり、そのまま齧って食べることもできる[独自研究?]

犬用のペミカン[編集]

イギリス北極探検隊は、犬ぞりを引く牛肉で作られたペミカンを与えた。このペミカンは「ボブリル・ペミカン (Bovril pemmican)」、または単純に「犬用のペミカン」と呼ばれた。成分は2/3がタンパク質、1/3が脂肪であり、炭水化物は含まなかった。このペミカンは、タンパク質の割合が高すぎて犬の健康に良くないことが後に確かめられた[2]

アーネスト・シャクルトン帝国南極横断探検隊(1914年 - 1916年)の隊員たちは、船が氷塊に阻まれて身動きが取れなくなった時に犬用のペミカンを食べて生き延びた[3]

その他のペミカン[編集]

米軍は19世紀後半のインディアン戦争において、ビーフジャーキー、ピノーレ(コーンミール)とともに、ペミカンを軍用糧食に採用した。

米軍は第二次世界大戦中、軍用糧食としてペミカンを参考に「ペミカンビスケット」を開発した。これは、小麦大豆トウモロコシ・牛肉・レバーをペースト状にして焼き上げた物であった。しかし、この携帯口糧の評判はあまり芳しいものではなかった。

コンアグラ・フーズネブラスカ州オマハで製造販売しているビーフジャーキーと、カリフォルニア州オールバニのインターマウンテン・トレーディング社 (Intermountain Trading Co. Ltd.) が製造販売しているスナックバー型の携帯食に「ペミカン」というブランド名が使用されているが、どちらも上記の伝統的なペミカンとは異なる食品である。

カカオ豆の脂肪分であるカカオバター融点が34 - 36℃)から作られたホワイトチョコレートを溶かし、砕いたナッツ類(例えばピーナッツには30グラム中に7.5グラムのタンパク質が含まれている)とドライフルーツを混ぜ、型に入れて冷やし固めた物をペミカンの代用品とすることができる。高カロリー食品であり、そのまま齧って食べる。家庭で手軽に作ることができ、純植物性なのでベジタリアンにも適している。

脚注[編集]

  1. ^ 広辞苑第5版
  2. ^ Taylor R.J.F. "The physiology of sledge dogs", Polar Record 8 (55): 317-321 (January 1957), reprinted The Fan Hitch Volume 5, Number 2 (March 2003) [1]
  3. ^ Endurance by Alfred Lansing (McGraw Hill, 1969) Library of Congress Catalog Card Number: 58-59666

関連項目[編集]