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ベンジャミン・パース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Benjamin Peirce
ベンジャミン・パース
ベンジャミン・パース
生誕 (1809-04-04) 1809年4月4日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国マサチューセッツ州セイラム
死没 1880年10月6日(1880-10-06)(71歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国マサチューセッツ州ケンブリッジ
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
研究分野 数学
統計学
科学政策英語版
研究機関 ハーバード大学
アメリカ国立測地測量局英語版局長
出身校 ハーバード大学
指導教員 ナサニエル・バウディッチ英語版
主な指導学生 ジョゼフ・ラヴァリング英語版
主な業績 外れ値に関するパース基準英語版(統計学)
必然的真理の科学としての数学の定義
線形代数学
天体力学
影響を
与えた人物
チャールズ・サンダース・パース
プロジェクト:人物伝
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ベンジャミン・パース(Benjamin Peirce ([ˈpɜːrs])[注釈 1]1809年4月4日 - 1880年10月6日)は、アメリカ合衆国数学者である。約50年に渡ってハーバード大学で教育を行った。天体力学統計学数論代数学および数学の哲学において貢献した。

生涯

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マサチューセッツ州セイラムで、後にハーバード図書館英語版司書となるベンジャミン・パース英語版の子として生まれた[1]

1829年にハーバード大学を卒業後、ノーサンプトンのラウンドヒル高校で2年間数学を教え、1831年にハーバード大学の数学教授に就任した。1842年からは天文学教授を兼任し、亡くなるまでその地位にいた。また、ハーバード大学の科学課程の開発の手助けをし、大学の司書も務めた。1867年から1874年までアメリカ国立測地測量局英語版の局長を務めた。1852年、ロンドンの王立協会外国人会員に選出された[2]

研究

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ベンジャミン・パースは、その研究が世界クラスと認められた最初のアメリカ人科学者とみなされることが多い[3]。彼は奴隷制の擁護者であり、エリートが科学的探究の追求のために奴隷を使用することは容認されるべきであると主張した[4]

数学

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数論において、彼は4個以下の素因数を持つ奇数の完全数がないことを証明した。

代数学においては、彼は結合多元環に関する研究で知られている。彼は、1870年に冪等(idempotent)や冪零(nilpotent)という言葉を最初に導入した。また、パース分解英語版を導入した。

数学の哲学において、彼は「数学は必要な結論を引き出す科学である」という声明で知られている[5]。パースの数学の定義は、息子のチャールズ・サンダース・パースプラグマティズムの結果指向の哲学を始めるのを助けた。ジョージ・ブールと同様に、パースは数学を使って論理を研究できると信じていた。このアイデアは、彼の息子チャールズによってさらに開発された。チャールズは、彼の論理には誤った推論の研究も含まれると述べた。対照的に、後期のゴットロープ・フレーゲバートランド・ラッセルは、論理学を数学の基礎にしようと試みた。

統計学

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今日では「外れ値に関するパース基準英語版」として知られるものを提案した。彼のアイデアは、息子のチャールズによってさらに発展した[6]

天体力学

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天体力学の分野では、彼は冥王星の発見につながる海王星摂動の計算に最も早く取り組んだひとりである。

私生活

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彼は敬虔な信仰心を持っていたが、自身の神学的な考えを公表することはほとんどなかった[7]。彼は、経験的な現象を記述する際に純粋な数学が効果があるように自然を形成する者として神を信じていた[8]。とある百科事典では、パースは「神の創造物による神の仕事の研究として数学」を見ていたとしている[7]

パースは、米上院議員イライジャ・H・ミルズ英語版の娘のサラ・ハント・ミルズ(Sarah Hunt Mills)と1833年7月23日に結婚した[9][10]。2人の間には以下の4男1女が生まれた[11]

献名・エポニム

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月のクレーターのパース英語版や小惑星(29463) ベンジャミン・パースは、彼に因んで命名された[12]

ハーバード大学数学科のポスドクは、彼の名を冠してBenjamin Peirce Fellows and Lecturersと名付けられている。

1855年から1868年まで就航していた米国沿岸調査船ベンジャミン・パースは、彼に因んで命名された[13]

著作

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関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ "Peirce"は、彼の一家においては、ちょうど英単語の"purse"のように「パース」と発音される。(en-us-purse.ogg "purse"の発音[ヘルプ/ファイル])。"Note on the Pronunciation of 'Peirce'", The Peirce [Edition] Project Newsletter, Vol. 1, Nos. 3/4, Dec. 1994, Eプリントを参照。

出典

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  1. ^ Rossiter Johnson; John Howard Brown (1904). The twentieth century biographical dictionary of notable Americans .... The Biographical Society. pp. 269–. https://books.google.com/books?id=ve0UAAAAYAAJ&pg=PT269 28 August 2011閲覧。 
  2. ^ Fellow Details”. Royal Society. 27 May 2017閲覧。
  3. ^ Stigler, Stephen M. (1978). “Mathematical Statistics in the Early States”. Annals of Statistics 6 (2): 239–265. doi:10.1214/aos/1176344123. JSTOR 2958876. http://projecteuclid.org/euclid.aos/1176344123. 
  4. ^ Auspitz, Josiah Lee (Autumn 1994). “The Wasp Leaves the Bottle: Charles Sanders Peirce”. The American Scholar 63 (4): 602–618. http://www.cspeirce.com/menu/library/aboutcsp/auspitz/escape.htm. 
  5. ^ First line of Linear Associative Algebra
  6. ^ Peirce, Charles Sanders (1870/1871/1873).
  7. ^ a b Grattan-Guinness, Ivor and Walsh, Alison (2008), "Benjamin Peirce", Stanford Encyclopedia of Philosophy. Eprint.
  8. ^ Peirce, "Address of Professor Benjamin Peirce, President of the American Association for the Year 1853", Proceedings of the American Association for the Advancement of Sciences, Eighth Meeting [ = Volume 8], held at Washington D.C., May, 1854, published 1855, pp. 1–17, see especially pp. 12–15. Google Books Eprint
  9. ^ Adams, Henry. The Life of George Cabot Lodge. pp. 4–5. Boston and New York: Houghton Mifflin, 1911
  10. ^ worldconnect.rootsweb.com
  11. ^ Fisch, Max H. (1981), Introduction, Writings of Charles S. Peirce v. 1.
  12. ^ (29463) Benjaminpeirce = 1997 TB = 2000 KR48”. MPC. 2021年8月26日閲覧。
  13. ^ noaa.gov NOAA Legacy: Tools of the Trade: Coast and Geodetic Survey Ships: Benjamin Peirce

関連文献

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  • F. P. Matz, "B. O. Peirce: Biography," American Mathematical Monthly, 1895, № 2, 173–179. Google Eprint.
  • S. R. Peterson, "Benjamin Peirce: Mathematician and Philosopher," Journal of the History of Ideas, 16, 1955, 89–112.
  • P. Meier and S. Zaibel, "Benjamin Peirce and the Howland Will", Journal of the American Statistical Association, 75, 1980, 497–506.
  • Peirce, Benjamin (1852), "Criterion for the Rejection of Doubtful Observations", Astronomical Journal II 45 and Errata to the original paper. Link pages for their non-PDF images of the article and its errata.
  • Peirce, Benjamin (1872, 1881), Linear Associative Algebra. Lithograph edition by Peirce 1872. New edition with corrections, notes, and an added 1875 paper by Peirce, plus notes by his son Charles Sanders Peirce, published in the American Journal of Mathematics v. 4, n. 1, 1881, Johns Hopkins University, pp. 221–226, Google Eprint, doi:10.2307/2369153 JSTOR and as an extract, D. Van Nostrand, 1882, Google Eprint, Internet Archive Eprint.
  • Peirce, Benjamin (1878), "On Peirce's Criterion", Proceedings of the American Academy of Arts and Sciences, v. 13 (whole series), v. 5 (new series), for May 1877 – May 1878, Boston: Press of John Wilson and Son, pp. 348–351. Google Eprint. JSTOR abstract.
  • Peirce, Charles Sanders (1870/1871/1873) "Appendix No. 21. On the Theory of Errors of Observation", Report of the Superintendent of the United States Coast Survey Showing the Progress of the Survey During the Year 1870, pp. 200–224. Coast Survey Report submitted February 18, 1871, published 1873 by the U.S. Government Printing Office, Washington, D.C. Reports 1837–1965. NOAA PDF Eprint (link goes to 1870 Report's p. 200, PDF's p. 215). Reprinted in pp. 140–160 of Writings of Charles S. Peirce: A Chronological Edition: Volume 3, 1872–1878, Christian J. W. Kloesel et al., eds., Bloomington, Indiana: Indiana University Press, ISBN 0-253-37201-1.
  • Stigler, Stephen M. (1980). “Mathematical Statistics in the Early States”. In Stephen M. Stigler. American Contributions to Mathematical Statistics in the Nineteenth Century, Volumes I & II. I. New York: Arno Press 
  • Stigler, Stephen M. (1989). “Mathematical Statistics in the Early States”. In Peter Duren. A Century of Mathematics in America. III. Providence, RI: American Mathematical Society. pp. 537–564 

外部リンク

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