ベイガン・バルタ
| ベイガン・バルタ | |
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| 別名 |
ベグン・ボルタ(Begun bhorta) バイガン・バルタ(Baingan bharta) バイガン・チョーカ(Baingan chokha) |
| 種類 | 煮込み料理、キャセロール、カレー |
| フルコース | 前菜、副菜、主菜 |
| 発祥地 | インド |
| 地域 | インド亜大陸 |
| 提供時温度 | 温かい〜熱い状態で提供 |
| 主な材料 | ナス、タマネギ、トマト、唐辛子、グリーンピース、パクチー(コリアンダーの葉)、スパイス(コリアンダー、クミン、ガラムマサラ など) |
ベイガン・バルタ(印: बैगन का भरता、 英: Baigan bharta; 〈潰したナス料理〉)は、[1]インド亜大陸に広く見られる料理で、炭火焼きまたは直火焼きしたナス(ベイガン)を潰し、トマト、タマネギ、香草、スパイスと混ぜて調理される。地域や料理人によって材料や調理法に多様性がある。[注釈 1]伝統的には、ナスを炭火、タンドール、バーベキューグリル、またはオーブンで焼き、皮が黒くなるまで加熱することで、料理に独特のスモーキーな風味を与える。焼き上がったナスの皮を剥き、果肉を潰して他の材料と混ぜる。
一般的なレシピでは、焼いたナスを潰し、炒めたトマト、タマネギまたはエシャロット、生姜、ニンニク、クミンと煮込み、仕上げにライムまたはレモン果汁、香菜(コリアンダーの葉)、青唐辛子を加える。調理にはギー(精製バター)やマスタードオイルが使われることもあるが、ほとんどの料理人はキャノーラ油やひまわり油などの高温耐性の植物油を使用する。[3]
この料理は通常、ロティ、ナン、パラタなどの平焼きパンと共に手で食べられ、ビリヤニ、キチディ、プラオ(ピラフ)などの米料理とも合わせられる。付け合わせとして、マンゴー、ライム、レモンなどの漬物や、ミント、マンゴー、キュウリなどを使ったライタ(ヨーグルトベースの冷製副菜)が添えられる。ビハール州やウッタル・プラデーシュ州では、リッティやバーティと共に提供される。[4]
インド、パキスタン、バングラデシュでは広く親しまれており、地域ごとに材料や調理法が異なる。一部のレシピでは、カボチャ、ズッキーニ、サツマイモなどの季節の野菜を加えて風味や粘度を調整する。インド国外では、イギリス、オーストラリア、アメリカ、カナダなどのインド系移民が多い地域に広まり、カリブ海地域(ガイアナ、ジャマイカ、トリニダード・トバゴ)では「ベイガン・チョーカ」として知られている。[5][6]
呼称と地域言語での名称
[編集]この料理はインド亜大陸の各地域で異なる名称で呼ばれており、以下のような言語別の表記がある:
- ヒンディー語:बैगन का भरता(baigan kā bhartā)
- ウルドゥー語:بینگن کا بھرتہ(baigan kā bhartā)
- ラージャスターン語:भटा री बुज्जी/बांटण(bhaṭā ri bujji/bā̃ṭaṇ)
- パンジャーブ語:ਬਤਾਊ ਦਾ ਭੱੜਥਾ(batāu dā bhaṛthā)
- グジャラート語:રીંગણનો ઓળો(rĩgaṇ no oḷo)
- アッサム語:বেঙেনাৰ পিটিকা(bengenār pitikā)
- マイテイ語:ꯈꯥꯃꯦꯟ ꯑꯃꯦꯇꯄꯤ(khāmen ametpi)
- マラーティー語:वांग्याचं भरीत(wā̃gyāchã bharit)
- カンナダ語:ಬದನೆಕಾಯಿ ಗೊಜ್ಜ(badanekāyi gōjju)
- テルグ語:వంకాయ పచ్చడి(vankāya pachchaḍi)
- タミル語:கத்தரி துவயல்(kattiri tuvayal)
- トゥル語:ಬದನೆ ಗೊಜ್ಜಿ(badanae gōjji)
- マラヤーラム語:വഴുതന ചമ്മന്തി(vazhutana chammanti)
- オリヤー語:ବାଇଗଣର ଚକଟା(bāigaṇara chakaṭā)
- ベンガル語:বেগুন ভর্তা(begun bhorta)
- シレット語:ꠛꠣꠁꠋꠉꠂꠘ ꠌꠣꠐꠘꠤ(baingoin sātni)
- ボージュプリー語:भाँटा के चोखा(bhā̃ṭā ke chokhā)
- マイティリー語:ভাঁটাক সন্না(bhā̃ṭāk sannā)
- カシミール語:وانٛگَن ژیٚٹِنؠ(wangan tsetin)
- ネパール語:बैगुनको भर्ता(baigun ko bhartā)
地域ごとのバリエーション
[編集]グジャラート州では「グジャラート語: रींगणनो ઓળો(rĩgaṇ no oḷo)」と呼ばれ、ナスを焼いて潰した後、マスタードシード、クミン、ターメリック、赤唐辛子、生姜、ニンニク、塩と共に炒める。主に「બાજરાંનો રોટલો(bajra no rotlo)」という雑穀のパン、カディ(ベサンとヨーグルトのスープ)、キチディ、チャース(バターミルク)と共に提供される。
カルナータカ州では「ಎಣ್ಣೆಗಾಯಿ(eṇṇegāyi)」として知られ、ナスを丸ごと茹でて揚げる方法が一般的で、「ಅಕ್ಕಿ ರೊಟ್ಟಿ(akki rotti)」と共に食される。また「ಗೊಜ್ಜು(gōjju)」は焼いたナスを潰して調味料と混ぜたものを指す。
タミル・ナードゥ州では「கத்திரிகாய் தயிர் கொட்சு(kattirikāi tayir koṭsu)」と呼ばれ、ナスを調理・潰した後、マスタードシード、赤唐辛子、ゴマ油で炒め、最後にヨーグルトを加えてコリアンダーで飾る。
ボージュプリー語圏(東ウッタル・プラデーシュ州、西ビハール州)では「भांटा के चोखा(bhā̃ṭā ke chokhā)」と呼ばれ、カリブ海地域(トリニダード・トバゴ、スリナム、ガイアナ)でも「ベイガン・チョーカ」として親しまれている。[7]
マハーラーシュトラ州では「वांग्याचें भरीत(vangyache bharit)」として知られ、特にカンデーシュ地方では結婚式などの社交的な場で提供される。収穫期には「バリット・パーティー」が開催されることもある。調理法には「कच्चा भरीत(kachha bharit)」と「फोडणीचा भरीत(phodni cha bharit)」の2種類があり、前者は生の材料(春タマネギ、トマト、青唐辛子、コリアンダー、フェヌグリーク)を焼きナスと混ぜ、後者は材料を炒めてからナスを加える。綿の茎でナスを焼くことで独特の香ばしさが生まれるとされる。通常はダール、バクリー、米と共に提供される。
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リッティ・チョーカ:リッティとバンタ・チョーカ(ボージュプリー料理)
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マハーラーシュトラ州ナグプールで作られたベイガン・バルタ
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アッキ・ロッティとエンネガーイ(カルナータカ州の料理)
抗議の象徴
[編集]2011年9月6日、ニューデリーのディッリ・ハートにて、遺伝子組み換え作物およびBtナスの導入に反対する抗議活動の一環として、グリーンピースのボランティアとデリーのホテル「ル・メリディアン」のスタッフが、342キログラム(754ポンド)の有機ベイガン・バルタを調理した。この取り組みにより、単一の調理機会における最大量のベイガン・バルタとして世界記録が樹立された。完成した料理の一部は、インドの首相マンモハン・シンの公邸に送られ、説明文を添えた抗議書簡が同封された。[8][9]
関連項目
[編集]- ババガヌーシュ, 焼きナスを使った中東料理
注釈
[編集]出典
[編集]- ^ Kumari, Arunima (2021-01-19) (英語). Encyclopedia of Bihar. Prabhat Prakashan. ISBN 978-93-5048-390-9
- ^ Richa Hingle (2022). Vegan Richa's Instant Pot Cookbook: 150 Plant-based Recipes from Indian Cuisine and Beyond. Hachette
- ^ Jaffrey, Madhur (2011). An Invitation to Indian Cooking. Alfred A. Knopf. p. 162. ISBN 978-0-375-71211-1
- ^ KUMAWAT, LOVESH (2020-05-18) (英語). CUISINE. NotionPress. ISBN 978-1-64850-162-3
- ^ Clammer, Paul (December 2021). Lonely Planet Caribbean Islands 8. Lonely Planet. ISBN 978-1-83869-004-5
- ^ Clammer, Paul (December 2021). Lonely Planet Caribbean Islands 8. Lonely Planet. ISBN 978-1-83869-004-5
- ^ Kumari, Arunima (2021-01-19) (英語). Encyclopedia of Bihar. Prabhat Prakashan. ISBN 978-93-5048-390-9
- ^ “Protesters say no to BT Brinjal in a unique way”. Hindustan Times. (2011年9月6日). オリジナルの2013年1月3日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Giant Baigan ka Bharta makes for a delicious record”. The Times of India. (2011年9月7日). オリジナルの2011年11月7日時点におけるアーカイブ。