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ベイガン・バルタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベイガン・バルタ
ベイガン・バルタ(ナグプール、インド)
ベイガン・バルタ(ナグプールインド
別名 ベグン・ボルタ(Begun bhorta)
バイガン・バルタ(Baingan bharta)
バイガン・チョーカ(Baingan chokha)
種類 煮込み料理、キャセロール、カレー
フルコース 前菜、副菜、主菜
発祥地 インド
地域 インド亜大陸
提供時温度 温かい〜熱い状態で提供
主な材料 ナスタマネギトマト唐辛子グリーンピースパクチーコリアンダーの葉)、スパイスコリアンダークミンガラムマサラ など)
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ベイガン・バルタ: बैगन का भरता: Baigan bharta; 〈潰したナス料理〉)は、[1]インド亜大陸に広く見られる料理で、炭火焼きまたは直火焼きしたナス(ベイガン)を潰し、トマト、タマネギ、香草、スパイスと混ぜて調理される。地域や料理人によって材料や調理法に多様性がある。[注釈 1]伝統的には、ナスを炭火、タンドールバーベキューグリル、またはオーブンで焼き、皮が黒くなるまで加熱することで、料理に独特のスモーキーな風味を与える。焼き上がったナスの皮を剥き、果肉を潰して他の材料と混ぜる。

一般的なレシピでは、焼いたナスを潰し、炒めたトマト、タマネギまたはエシャロット、生姜ニンニククミンと煮込み、仕上げにライムまたはレモン果汁、香菜(コリアンダーの葉)、青唐辛子を加える。調理にはギー(精製バター)やマスタードオイルが使われることもあるが、ほとんどの料理人はキャノーラ油やひまわり油などの高温耐性の植物油を使用する。[3]

この料理は通常、ロティナンパラタなどの平焼きパンと共に手で食べられ、ビリヤニキチディ、プラオ(ピラフ)などの米料理とも合わせられる。付け合わせとして、マンゴー、ライム、レモンなどの漬物や、ミント、マンゴー、キュウリなどを使ったライタ(ヨーグルトベースの冷製副菜)が添えられる。ビハール州ウッタル・プラデーシュ州では、リッティやバーティと共に提供される。[4]

インドパキスタンバングラデシュでは広く親しまれており、地域ごとに材料や調理法が異なる。一部のレシピでは、カボチャ、ズッキーニ、サツマイモなどの季節の野菜を加えて風味や粘度を調整する。インド国外では、イギリスオーストラリアアメリカカナダなどのインド系移民が多い地域に広まり、カリブ海地域ガイアナジャマイカトリニダード・トバゴ)では「ベイガン・チョーカ」として知られている。[5][6]

呼称と地域言語での名称

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この料理はインド亜大陸の各地域で異なる名称で呼ばれており、以下のような言語別の表記がある:

地域ごとのバリエーション

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グジャラート州では「グジャラート語: रींगणनो ઓળો(rĩgaṇ no oḷo)」と呼ばれ、ナスを焼いて潰した後、マスタードシード、クミン、ターメリック、赤唐辛子、生姜、ニンニク、塩と共に炒める。主に「બાજરાંનો રોટલો(bajra no rotlo)」という雑穀のパン、カディ(ベサンとヨーグルトのスープ)、キチディ、チャース(バターミルク)と共に提供される。

カルナータカ州では「ಎಣ್ಣೆಗಾಯಿ(eṇṇegāyi)」として知られ、ナスを丸ごと茹でて揚げる方法が一般的で、「ಅಕ್ಕಿ ರೊಟ್ಟಿ(akki rotti)」と共に食される。また「ಗೊಜ್ಜು(gōjju)」は焼いたナスを潰して調味料と混ぜたものを指す。

タミル・ナードゥ州では「கத்திரிகாய் தயிர் கொட்சு(kattirikāi tayir koṭsu)」と呼ばれ、ナスを調理・潰した後、マスタードシード、赤唐辛子、ゴマ油で炒め、最後にヨーグルトを加えてコリアンダーで飾る。

ボージュプリー語圏(東ウッタル・プラデーシュ州、西ビハール州)では「भांटा के चोखा(bhā̃ṭā ke chokhā)」と呼ばれ、カリブ海地域(トリニダード・トバゴ、スリナム、ガイアナ)でも「ベイガン・チョーカ」として親しまれている。[7]

マハーラーシュトラ州では「वांग्याचें भरीत(vangyache bharit)」として知られ、特にカンデーシュ地方では結婚式などの社交的な場で提供される。収穫期には「バリット・パーティー」が開催されることもある。調理法には「कच्चा भरीत(kachha bharit)」と「फोडणीचा भरीत(phodni cha bharit)」の2種類があり、前者は生の材料(春タマネギ、トマト、青唐辛子、コリアンダー、フェヌグリーク)を焼きナスと混ぜ、後者は材料を炒めてからナスを加える。綿の茎でナスを焼くことで独特の香ばしさが生まれるとされる。通常はダールバクリーと共に提供される。

抗議の象徴

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2011年9月6日、ニューデリーディッリ・ハートにて、遺伝子組み換え作物およびBtナスの導入に反対する抗議活動の一環として、グリーンピースのボランティアとデリーのホテル「ル・メリディアン」のスタッフが、342キログラム(754ポンド)の有機ベイガン・バルタを調理した。この取り組みにより、単一の調理機会における最大量のベイガン・バルタとして世界記録が樹立された。完成した料理の一部は、インドの首相マンモハン・シンの公邸に送られ、説明文を添えた抗議書簡が同封された。[8][9]

関連項目

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注釈

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  1. ^ Bharta means "mash".[2]

出典

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  1. ^ Kumari, Arunima (2021-01-19) (英語). Encyclopedia of Bihar. Prabhat Prakashan. ISBN 978-93-5048-390-9. https://books.google.com/books?id=18MwBQAAQBAJ 
  2. ^ Richa Hingle (2022). Vegan Richa's Instant Pot Cookbook: 150 Plant-based Recipes from Indian Cuisine and Beyond. Hachette 
  3. ^ Jaffrey, Madhur (2011). An Invitation to Indian Cooking. Alfred A. Knopf. p. 162. ISBN 978-0-375-71211-1. https://books.google.com/books?id=jFyqJdn0qZMC 
  4. ^ KUMAWAT, LOVESH (2020-05-18) (英語). CUISINE. NotionPress. ISBN 978-1-64850-162-3. https://books.google.com/books?id=3OrkDwAAQBAJ 
  5. ^ Clammer, Paul (December 2021). Lonely Planet Caribbean Islands 8. Lonely Planet. ISBN 978-1-83869-004-5. https://books.google.com/books?id=vXKcEAAAQBAJ&dq=baigan+choka+caribbean&pg=PT1413 
  6. ^ Clammer, Paul (December 2021). Lonely Planet Caribbean Islands 8. Lonely Planet. ISBN 978-1-83869-004-5. https://books.google.com/books?id=vXKcEAAAQBAJ&dq=baigan+choka+caribbean&pg=PT1413 
  7. ^ Kumari, Arunima (2021-01-19) (英語). Encyclopedia of Bihar. Prabhat Prakashan. ISBN 978-93-5048-390-9. https://books.google.com/books?id=18MwBQAAQBAJ 
  8. ^ “Protesters say no to BT Brinjal in a unique way”. Hindustan Times. (2011年9月6日). オリジナルの2013年1月3日時点におけるアーカイブ。. https://archive.today/20130103163316/http://www.hindustantimes.com/Protesters-say-no-to-BT-Brinjal-in-a-unique-way/Article1-742464.aspx 
  9. ^ “Giant Baigan ka Bharta makes for a delicious record”. The Times of India. (2011年9月7日). オリジナルの2011年11月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111107020850/http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2011-09-07/delhi/30122772_1_bt-brinjal-gm-crops-chefs 

外部リンク

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