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ヘーラクレースの楯

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ヘーラクレースの楯』(ヘーラクレースのたて、古希: Ἀσπὶς[4] または Ἀσπὶς Ἡρακλέους[2])は、古代ギリシアヘーシオドスの著作とされる叙事詩。実際の作者は不明[4]前7世紀末から前6世紀前半ごろ成立[4]ヘーラクレースを描写したエクプラシス作品。

解説

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中央には不壊金剛の、言う方なき潰走ポボスがいて、
輝く火のまなこで見返している。 — 中務哲郎訳『ヘラクレスの楯』144-145行[8]

本作は『神統記』『仕事と日』と同じ写本に収められて伝わったが、言語的特徴はヘーシオドスよりホメーロスに近い[4]

全480行[2]。1-56行は、ヘーラクレースの母アルクメーネーについて『名婦列伝』風に語る[4]。57-480行は、ヘーラクレースのキュクノスアレースの子にして凶賊)退治について語る[4]。139-320行で、ヘーラクレースの楯の描写、すなわちエクプラシスをする[4]

本作は、ホメーロス『イーリアス』における「アキレウスの楯」の、模倣または対抗と考えられる[4]。「アキレウスの楯」の図柄が、天地・人間の様々な営みを静止画的に描いているのに対し、『ヘーラクレースの楯』は、ポボスエリス・猛獣などを躍動的に描いている[4]

日本語訳

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  • 中務哲郎 訳『ヘシオドス全作品』京都大学学術出版会西洋古典叢書〉、2013年。ISBN 9784876982806 

脚注

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  1. ^ 高津春繁『ギリシア・ローマの文学』講談社〈講談社学術文庫〉、2023年(原著1967年)。ISBN 9784065304570 37頁。
  2. ^ a b c 松原國師『西洋古典学事典』京都大学学術出版会、2010年。ISBN 9784876989256 1098頁。
  3. ^ ウェルギリウス『アエネーイス』における造形芸術作品描写(日向 太郎) │ 東京大学文学部・大学院人文社会系研究科”. 東京大学文学部・大学院人文社会系研究科. 2025年8月13日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j 中務 2013, p. 488-490.
  5. ^ 河盛好蔵 監修『ラルース世界文学事典』角川書店、1983年。ISBN 4040211006 38頁。
  6. ^ 岡北一孝「イタリア・ルネサンスの建築エクフラシス:建築・文学・美術を統合的に考える」『Arts and media』第14号、大阪大学大学院文学研究科文化動態論専攻アート・メディア論研究室、2024年https://researchmap.jp/albertiana/published_papers/45960894 CRID 1520582706206024448。20頁。
  7. ^ 安西眞「アキレウスの盾の描写(II.18.478-613)とアキレウス」『フィロロギカ』第5号、古典文献学研究会、2010年https://philologica.jp/assets/files/philologica_05/philologica_5_2010_p46-68.pdf CRID 1010000782077443328。49頁。
  8. ^ 中務 2013, p. 220.