ヘロイン (ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲)

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ヘロイン
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド楽曲
収録アルバムヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ
リリース1967年3月12日[1]
録音ロサンゼルス、TTGスタジオ(1966年5月)
ジャンルロック
時間7分12秒
レーベルヴァーヴ・レコード
作詞者ルー・リード
作曲者ルー・リード
プロデュースアンディ・ウォーホル
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ 収録曲
Side 1
  1. 日曜の朝
  2. 「僕は待ち人」
  3. 宿命の女
  4. 毛皮のヴィーナス
  5. 「ラン・ラン・ラン」
  6. 「オール・トゥモロウズ・パーティーズ」
Side 2
  1. ヘロイン
  2. 「もう一度彼女が行くところ」
  3. ユア・ミラー
  4. 「黒い天使の死の歌」
  5. 「ヨーロピアン・サン」
ミュージックビデオ
「Heroin」 - YouTube

ヘロイン」(Heroin)は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド1967年に発表した楽曲。

概要[編集]

ルー・リードは1964年6月にシラキュース大学を卒業すると[2][3]、故郷のニューヨークに戻り、ピックウィック・レコード(Pickwick Records)というレコード会社に勤めた。リードは後年、ラジオのインタビューで次のように答えている。

あるレコード会社でソングライターとして働いてたんだが、会社は俺を部屋に閉じ込めて「さあサーフィン・ソングを10曲書くんだ」などとせかすわけだ。俺は「ヘロイン」を書いて、「あんたらにいい曲ができたよ」と言った。彼らは「ありえない。絶対にありえない」って言っていた[4]

ただし「ヘロイン」の歌詞は海とまったく無関係ではない。「千年前に生まれたらよかったのに/ばかでかい帆船に乗って/真っ暗な海に向かって旅立ちたかった/こんな土地からさっさとおさらばするんだ/船乗りの制服と帽子を身に着けて」という一節がある[5]

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは1966年4月にニューヨークのセプター・スタジオでファースト・アルバムのために本作品を録音するが、同年5月にロサンゼルスのTTGスタジオで再録音された。ベースは入っていない。「D♭」と「G♭」のコードで主に構成されている。

1967年3月12日に発売されたアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』に収録された[1]。アナログ盤では、本曲からB面。

2012年10月に発売された同アルバムの45周年スーパーデラックス・エディション盤に様々なテイクが収録された(ライブ・バージョンは後述)[6]

ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」の2004年版で448位にランクされている[7]

演奏者[編集]

他のバージョン[編集]

「ヘロイン」最も古い録音バージョンは、1965年7月にモーリン・タッカー以外のバンドメンバーがニューヨークのラドローストリートで録音されたテイクである。同じように『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』に収録された「僕は待ち人」や「毛皮のヴィーナス」などの、デモ音源と、収録音源とのサウンドが大きく異なる曲とは違い、収録音源に即した演奏構成となっている。このテイクでリードはアコースティック・ギターでこの曲を演奏しており、このバージョンは1995年のコンピレーション・アルバム『Peel Slowly and See 1965-1969』で聴くことができる。

ライブ・バージョン[編集]

アルバム名 アーティスト名 録音時期と場所 発売日
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ
45周年スーパーデラックス・エディション盤
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド 1966年11月4日、オハイオ州コロンバス 2012年10月
1969: The Velvet Underground Live ヴェルヴェット・アンダーグラウンド 1969年11月、サンフランシスコ 1974年9月
Le Bataclan '72 ルー・リードジョン・ケイルニコ 1972年1月29日、パリ 2004年10月19日
American Poet ルー・リード 1972年12月26日、ニューヨーク 2001年6月26日
Rock 'n' Roll Animal ルー・リード 1973年12月21日、ニューヨーク 1974年2月
Live in Italy ルー・リード 1983年9月、ヴェローナローマ 1984年1月
Live MCMXCIII ヴェルヴェット・アンダーグラウンド 1993年6月15日 - 17日、パリ 1993年10月26日

その他[編集]

  • デニス・ジョンソンが1992年に発表した短編集『Jesus' Son』のタイトルは本作品の歌詞("And I feel just like Jesus' son")からとられた[8]。同短編集の日本語版『ジーザス・サン』は2009年に柴田元幸の翻訳により出版された。また、『Jesus' Son』は1999年にビリー・クラダップ主演で映画化された。

脚注[編集]

  1. ^ a b Scott Schinder, Andy Schwartz (2007-12-30). Icons of Rock: An Encyclopedia of the Legends Who Changed Music Forever, Volume 2. Greenwood Press. p. 325. ISBN 978-0313338472 
  2. ^ Colin, Chris. “Lou Reed”. Salon. 2010年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年6月23日閲覧。
  3. ^ Statement from Syracuse University Regarding the Passing of Lou Reed”. 2013年10月28日閲覧。
  4. ^ san sa (2015年4月2日). “Lou Reed - Interview BEST LIVE (NYC '72)”. YouTube. 2019年6月27日閲覧。
  5. ^ Lyrics for Heroin by The Velvet Underground - Songfacts
  6. ^ The Velvet Underground & Nico - The Velvet Underground & Nico (Multi Format Release) (2012, 45th Anniversary Super Deluxe Edition, Box Set) | Discogs
  7. ^ Rolling Stone Magazine's Top 500 Song (2004)
  8. ^ Fiction Book Review: Jesus' Son: Stories by Denis Johnson”. 2017年5月26日閲覧。