プロ市民

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プロ市民(プロしみん)とは、以下のような造語である。

  1. 「自覚・責任感(=プロ意識)を持つ市民」を意味する造語。後者の意味が普及して、ほとんどこの意味では使われていない[1]
  2. 「市民」とメディアなどで称されているが、左派系のイデオロギーを持って頻繁に活動しているプロの政治活動家への皮肉、または彼らを「市民」と表記する者を批判する際に用いられる用語。似ているが非なる言葉に「専従」がある[2]。この意味では2ちゃんねる用語だったが、昨今では2ちゃんねるに限らず、こちらの意味で使われることが多い[1]

発生[編集]

当初の意味[編集]

「自覚・責任感を持つ市民」としての「プロ市民」は、1990年代に佐賀県鹿島市長の桑原允彦が考え出した造語であり[1]、鹿島市の総合計画にも見受けられる[3]政治にもっと関心を持とう、地域密着型の活動を通しプロ意識を持って政治や地域活動に参加する市民になろうという運動や人々を指す言葉であったとされているが、ネガティブな使われ方としての「プロ○○(○○の部分には職業等の名前が入る)」という造語が使われることはこれ以前からも度々あったので、さほど特殊な用語ではなかった(総会屋の別名である「プロ株主」がその好例)。

この「プロ市民」は、以下で記述されている「プロ市民」との意味合い及び関係性は一切無い。

変質[編集]

2ちゃんねる用語としては、「左翼活動家を言い換える隠れ蓑」あるいは「市民活動で利権を得る者たち」を意味としての「プロ市民」がある。つまり「アマチュアのふりをしたプロによる市民活動」というような意味合いである。プロ市民が左派系市民団体に使われる背景には、右派系が似たような活動を行う際に「市民 」ではなく、「右翼団体」「右翼」と表記・報道されてきたからである。鈴木邦男によると日本では人口比で市民活動までする者は僅かだが、メディアにシンパがいることで数百人どころか十数人の活動まで報道されるなどメディア露出が多いと述べている。鈴木は参加者やメンバー自体が少なく、国民にも共感する者が多く得られないであろう左派市民団体の言動がマスコミに大きく取り上げられてきたことを熱心な右翼活動家だった時は不公平だと思っていたと述べている。鈴木は右派は投票程度しか政治的な行為をしない者が圧倒的多数であり、自身の経験から左派団体専従の総数よりも右派系団体のメンバー総数の方が少ないと述べている。更に鈴木はそもそも日本人に馴染みのある国民を使った国民団体にせずに、「市民」「市民団体」という言葉自体が外国籍がいることを内包しているからと解説している[1]

ジャーナリスト清谷信一も「プロ市民団体」と「普通の市民団体」をメディアはしっかりと分けて伝えるべきだとし、また「右翼団体」の抗議の場合は「右翼団体」として報道されるのに対し、「プロ市民団体」「左翼団体」は単に「市民団体」と報道される矛盾を指摘している[4][5]

また漫画家の小林よしのりは、『新・ゴーマニズム宣言』において「プロ市民」という言葉を用いている。小林は薬害エイズ裁判において、共産党など左翼系も受け入れて原告支援団体を率いる立場となった。しかし、次第に労働組合や、日本民主青年同盟(民青)などの共産党系左派組織に乗っ取られ[6]、結果団体から追い出された挙句にバッシングまでされたためである。この経緯については、『新・ゴーマニズム宣言スペシャル 脱正義論』にて、薬害エイズ支援学生ボランティア団体を「戦争責任追及」など無関係な問題に誘導しようとする左翼活動家たちの暗躍を目の当たりにした小林は、「プロ市民」という言葉を多く用いるようになったと述べている[7]

以下ではこの意味でのプロ市民について記載する。

捉えられ方[編集]

市民活動とは、政治についての知識をある程度身に着けている者、若しくは初心者が、問題意識を持って政治などについて議論や集会などの活動を行うものであるが、プロ市民という際、その活動者の活動を「特定グループに属する市民・党派や、特定のプロパガンダ、外国勢力などのために利益誘導の活動を行っているのであろう」とみなした者が否定的文脈において用いている。この「プロ市民」は、プロ株主の持つ意味合いに近い。

「特定グループに属する市民・党派や、特定のプロパガンダ、外国勢力などのために利益誘導の活動を行っている者」と捉えられる限りにおいて、職業的アジテーター工作員のほか、職業として市民活動と関わる弁護士(特に人権派と呼ばれる弁護士)・政治家・学者であってもプロ市民とされることがある。なお、欧米諸国によく見られるように、政府の政権交代の度に政府上級官僚NGOあるいはNPO幹部との間で大規模に人的流動が起きる社会では、社会のエリート層として受け止められている市民セクタのプロフェッショナルという階層が存在する。彼らは自らの主義主張と合致しない政権の時期にはNGO、NPOの幹部、専門性の高い部署の活動家として活動し、主義主張の合致する政権が成立すると、政府の上級官僚として迎え入れられて政府スタッフとして活動する[要出典]。また、政策立案・政策提言を行うシンクタンクもまた、こういった層による非営利団体により運営されている。

活動実態[編集]

  • 市民活動(少なくともその一部)に対して懐疑的な立場の者は、発祥とされる2ちゃんねる外でも使用している。ネット上での使用例は多くあり、議員が運営するウェブサイトでも使用例が見受けられる。
  • 類似の概念は海外にも存在しており、ドナルド・トランプが自身のTwitterにおいて「professional protesters」と発信し、日本のメディアもこれを「プロ市民」と訳している[8][9]
  • 週刊新潮』(2007年3月15日号)に、2007年東京都知事選挙候補であった浅野史郎の支援団体(浅野史郎さんのハートに火をつける会)を「プロ市民」と評する記事が掲載された。
  • 2005年、東京都杉並区で『新しい歴史教科書』採択にあたり、反対派市民団体による抗議行動が行われたが、
    • 警察庁は2005年の『治安の回顧と展望』において、中核派が「『つくる会の教科書採択に反対する杉並親の会』と共闘して、市民運動を装いながら、杉並区役所の包囲行動、同区教育委員会への抗議・申し入れ、傍聴等に取り組んだ」と伝えた。
    • また公安調査庁の『内外情勢の回顧と展望』では、この抗議活動に中核派が日本教職員組合などに対し、共同行動を呼びかけたものとしている。この抗議活動を見た清谷信一は、大型のラウドスピーカーや演説内容を「用意周到に集まった彼ら」は、まさに「プロ」であったと語っている[10]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 「右翼」と「左翼」の謎がよくわかる本p171,PHP研究所,監修:鈴木 邦男
  2. ^ 企業や政治団体において、会社勤めの業務の傍らではなく、組合・政治活動のみを行う者。鈴木は共産党の議員は民間・官公の共産党系労組からの抜擢を除いて、学生時代に民青所属・大卒後に就職せずに党で専従活動を行って、その中で党への貢献が高い専従だけがなれると語っている。共産党では彼らのように就職よりも党への活動を優先した党員を職業革命家(職革)と呼んでいた。
  3. ^ 第四次鹿島市総合計画 鹿島市
  4. ^ 2006年9月6日 清谷信一公式ブログ「プロ市民運動」を「市民運動」を区別しよう
  5. ^ 2009年2月24日 清谷信一公式ブログ 左翼活動家は「市民運動」で右翼は「右翼」と報道される不思議
  6. ^ 『新・ゴーマニズム宣言』14章で民青や労組関与の問題を訴えた直後、全日本民主医療機関連合会薬剤師から「(民青や労組の関与を批判するとは)お前は思想差別者だ。(労組などの)団体による数の力でしか世の中は動かないのだ。…支える会を辞任せずとも、こちらから首にする」という居丈高な投稿があったことを小林は公表している。
  7. ^ 新・ゴーマニズム宣言第15巻p34,小林よしのり,小学館
  8. ^ [1]
  9. ^ 2016年11月11日 Yahoo!ニュース トランプ“大統領“「プロ市民がデモをしている」とつぶやき炎上中
  10. ^ 2006年9月6日 清谷信一公式ブログ「プロ市民運動」を「市民運動」を区別しよう

参考文献[編集]

  • 「プロ市民の、毎日が「反日」デー (特集 内も外も「反日」の嵐)」『諸君!』第8巻第36号、文藝春秋、2004年8月、 NAID 40006280265

関連項目[編集]