プロビデンスの目

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プロビデンスの目(プロビデンスのめ、: Eye of Providence)とは、を描いた意匠プロビデンスキリスト教摂理という意味で、神の全能の目: all-seeing eye of God)を意味する。光背や、三位一体の象徴である三角形としばしば組み合わせて用いられる。

概要[ソースを編集]

この「目」は、「太陽」と「」と「金星」(あるいは「」)の、三位一体を表している。つまり、「太陽(神)」でもあり、「月(神)」でもあり、「金星(神)」(あるいは「星(神)」)でもある、「究極の存在」、即ち、「究極の神」を、表している。

太陽と月と金星の物語[ソースを編集]

この「目」の「思想的な」起源はかなり古い。「少なくとも」紀元前数千年に遡る。それは、世界最古の文明とされるメソポタミア文明やエジプト文明の神話から、明らかである。

この「目」は、元々は、「太陽」のシンボル(図像的表現)である「丸」と、「月」のシンボルである「三日月」を、合成したものである。ゆえに、一つしかないのである。

金星神とは何か[ソースを編集]

古代人は、「月(神)」が支配する「夜の世界」と、「太陽(神)」が支配する「昼の世界」があると考えた。

そして、夜が昼に、昼が夜に、移り変わる、2つの世界の境(さかい)に、「明けの明星」と「宵の明星」である、「金星(神)」がいると考えた。

ゆえに、「金星(神)」は、「夜の世界」を破壊して「昼の世界」を創造し、「夜の世界」を破壊して「昼の世界」を創造する、「破壊神」にして「創造神」であると、考えられた。

古代人は考えた。

「私達の世界も、「夜(闇)の世界(時代)」と「昼(光)の世界(時代)」を交互に繰り返し、その境(さかい)には「金星神」がいて、「金星神」は(人類を含む)古い世界を滅ぼして、全てを無に還し、そして新しい世界を創造するのだ。そしてそれは永遠に繰り返されるのだ」と。

古代人は、世界(宇宙)の歴史(あるいは人類の歴史)を、一日や一年の、「夜昼」や「季節」の移り変わりと、同じものであると考えた。彼らにとって、それは、「自然法則」であり「摂理」であった。

基本図式[ソースを編集]

この事象を、図式にすると、「円環」で表される。

1. ポイントが一箇所の場合: 円環の頂点に「金星」がいる。「金星」は「月」と「太陽」に分離し、「月」は円環の頂点に留まり、「太陽」は円環に沿って時計回りに移動する。やがて、「太陽」は「月」と再び邂逅する。すると、「太陽」と「月」は合体して「金星」になり光り輝き、世界の破壊と創造を行い、半日が終わる。そして、「金星」は再び「太陽」と「月」に分離し、今度は、「太陽」が円環の頂点に留まり、「月」が円環に沿って時計回りに移動する。そして今度は、「月」が「太陽」と邂逅すると、「月」と「太陽」は合体して「金星」になり光り輝き、世界の破壊と創造を行い、一日が終わる。そして、最初に戻る。この図式の場合、円環を2周すれば1日である。

2. ポイントが2箇所の場合: 円環の頂点と底に、「月」と「太陽」を配置する。これらは動かない。「金星」が円環の頂点である「月」から出発し、円環に沿って時計回りに移動し、円環の底の「太陽」と邂逅すると、「金星」は「太陽」と合体して「月」となり、世界の破壊と創造を行い、半日が終わる。そして、「月」は再び「金星」と「太陽」に分離し、円環の底の「太陽」から出発し、円環に沿って時計回りに移動し、円環の頂点である「月」と邂逅すると、「金星」は「月」と合体して「太陽」となり、世界の破壊と創造を行い、一日が終わる。そして「太陽」は再び「金星」と「月」に分離し、最初に戻る。この図式の場合、円環を1周すれば1日である。

基本法則[ソースを編集]

「太陽」+「月」→「金星」、「金星」→「太陽」+「月」

「太陽」+「金星」→「月」、「月」→「太陽」+「金星」

「月」+「金星」→「太陽」、「太陽」→「月」+「金星」

「太陽」=「地球」

使用[ソースを編集]

中世からルネサンスにかけて以降、三位一体の象徴としてデザインが用いられた。現在でもアメリカ合衆国の国章の裏面をはじめ町や大学の紋章、アメリカ合衆国ドルをはじめとする通貨のデザインで用いられている。

陰謀論[ソースを編集]

初期のフリーメーソンで用いられたプロビデンスの目
ド・シミティエレが提案した国章案

フリーメイソン陰謀論者やそれにまつわる都市伝説では、三角形に目を配したプロビデンスの目はフリーメイソンの象徴とされる。この紋章がUSドル紙幣に描かれていることはアメリカ合衆国がフリーメイソンの支配下にある証拠だ、と唱える者もいる。これらの図像学研究においては、プロビデンスの目は「神が全てを見通す目」だと考えている。未完成のピラミッド型の建造物の上で、まわりを栄光の光によって囲まれる三角形の目で監視する、という意味。神の目で人類を監視していることを示しているとされる。

アメリカのドル札だけではなく、日本の千円札を透かして見ると野口英世の左目と富士山の頂上付近が重なって見える様子が「プロビデンスの目」であり[1]日本銀行紋章も、フリーメイソンがアメリカ合衆国と同じく日本経済にも関与していると考察する者もいる[2]。 尚、野口英世は、ジョン・コールマン氏著書の三百人委員会会員のロックフェラー財団の研究員に属し貢献した。 ロックフェラー財団は、福島県の野口の生家を保存を目的として「野口英世博士記念会」設立し、現在は野口英世記念館となった。紙幣発行の日本銀行も資本の30%程度は非公表であるとし、同行は三百人委員会が保有している私有銀行であるとの陰謀論を唱える者もいる。また世界の紙幣発行のFRBも国有ではなく、三百人委員会の資本が入っているとしている。

陰謀論に対する反論[ソースを編集]

ただし、プロビデンスの目自体のデザインは古くから教会建築などに用いられる一般的な紋章であり、国章選定の当時はフリーメーソンとの関連があるとは見られていなかった。また国章制定委員会のメンバーであったフリーメーソンメンバーはベンジャミン・フランクリンのみである上、プロビデンスの目使用を提案したのはピエール・ド・シミティエレ英語版である。さらにこの委員会での国章制定は流れ、フランシス・ホプキンソンが提案したデザインを元にしたウィリアム・バートン英語版のデザインした案が最終案の雛形になった。ただしホプキンソン自身が提案した図案に階段ピラミッドはあるがプロビデンスの目はない。さらにこの際の委員会でも決定は行われず、正式決定が行われたのは1782年のことであった。ホプキンソンとバートン、正式決定に関与したチャールズ・トムソン英語版らがフリーメーソンと関係があったという事実は確認されていない。紋章はその後いくつかの修正を経て現在に至っている。

さらにフリーメーソンでもプロビデンスの目のデザインは用いていたが、1782年の国章制定以前に三角形と目によるプロビデンスの目が用いられたフリーメーソンの文書は存在していない。フリーメーソンが公式に三角形と目によるデザインに言及したのはトーマス・スミス・ウェッブ英語版の著書による1797年のことである。フリーメーソンの複数のロッジはこれらの根拠をあげ、国章制定への関与や、この三角形に目を描いた紋章がフリーメーソンを表す紋章であることを否定している[3][4][5]

また、イルミナティの紋章であるとされることもあるが、大英博物館にあるイルミナティ文書の原本や、メンバーが使用していた場所のデザインにプロビデンスの目は存在していない[6]

さらには、日本銀行は法律上出資者に議決権がなく支配を目的とした株式の取得に意味がないこと、米国での連邦準備銀行は各地区銀行の出資によるもので資本構造は明快で不明な出資者による支配はないこと、金融監督により通貨供給量を管理するFRB・実際の紙幣を引き渡す各地区連邦準備銀行・紙幣を印刷するアメリカ合衆国財務省・市場操作により通貨の流通量の間接的な操作を行う連邦公開市場委員会を混同していること、香港のように香港上海銀行他中央銀行以外が長期間紙幣を発行し安定した紙幣の流通を実現している例があること、現在では直接の紙幣の流通残高をはるかに超える信用取引が実体経済を支えていること等から、紙幣発行に関する陰謀論は極めて稚拙なものであり容易に反論できる水準にすぎない。金融による支配についても同様にロスチャイルドロックフェラージョン・モルガンを混同したものが多い。

聖書における「目」[ソースを編集]

  • そこで、蛇は女に言った。「あなたがたは決して死にません。あなたがたがそれを食べるその時、あなたがたの目が開け、あなたがたが神のようになり、善悪を知るようになることを神は知っているのです。」(新改訳聖書 創世記3章4-5節)
  • もし、あなたの手があなたのつまずきとなるなら、それを切り捨てなさい。不具の身でいのちにはいるほうが、両手そろっていてゲヘナの消えぬ火の中に落ち込むよりは、あなたにとってよいことです。もし、あなたの足があなたのつまずきとなるなら、それを切り捨てなさい。片足でいのちにはいるほうが、両足そろっていてゲヘナに投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。もし、あなたの目があなたのつまずきを引き起こすのなら、それをえぐり出しなさい。片目で神の国にはいるほうが、両目そろっていてゲヘナに投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。(新改訳聖書 マルコによる福音書9章43-47節)
  • 気をつけなさい。目を覚まし、注意していなさい。その定めの時がいつだか、あなたがたは知らないからです。(新改訳聖書 マルコによる福音書13章33節)

関連作品[ソースを編集]

以下は、プロビデンスの目に関わる、ある同一(共通)の思想(教義)に基づいた、さらには、同一(共通)の構造を持つ作品群である。思想や構造の作品への反映は、直接的・婉曲的・全体的・部分的なものからキャラクターの名前に留まるものまで、程度はさまざまである。ここでは、かなり直接的な作品をリストアップする。

なお、これらの視聴者や読者やプレイヤーに注意することは、これらは、映画やアニメや漫画や小説やゲームという媒体を用いているが、その内容の本質はけっしてフィクションなどではなく、この現実世界を実際に動かしている根本的な思想とその構造を、隠喩という形で暴露しているのであり、まさに現在進行形の現実、そしてこれから訪れる未来、なのだということである。現実こそがフィクションであり、フィクションこそが現実なのである。

脚注[ソースを編集]

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  1. ^ 『ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説』 竹書房、2006年、75頁、ISBN 9784812429488
  2. ^ 武田了円 『日銀券は悪魔の隠し絵』 第一企画出版、1994年、ISBN 978-4887190207
  3. ^ Grand Lodge of British Columbia and Yukon, Anti-masonry Frequently Asked Questions
  4. ^ Pietre-Stones Review of Freemasonry, The "Masonic" One Dollar: Fact or Fiction? by W.Bro. David Barrett
  5. ^ Eye in the Pyramid
  6. ^ [1]The Bavarian Illuminati records