プロテロスクス

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プロテロスクス
生息年代: 三畳紀, 252–250 Ma
Proterosuchus fergusi.png
P. fergusi の骨格
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 四肢動物上綱 Tetrapoda
: 爬虫綱 Reptilia
階級なし : Archosauriformes
: Proterosuchidae
: Proterosuchus Broom1903
タイプ種
Proterosuchus fergusi Broom1903
シノニム
  • Chasmatosaurus Haughton 1924
  • Elaphrosuchus Broom 1946
  • Proterosuchus fergusi Broom1903
  • Proterosuchus yuani Young, 1936
  • Proterosuchus alexander
  • Proterosuchus goweri

プロテロスクス (Proterosuchus) は、三畳紀前期に生息したクルロタルシ類に属する化石爬虫類。化石は南アフリカ共和国中国から発見されている。カスマトサウルスC. aleandri,C. vanhoepeni,C. yuani)は全ての種がプロテロスクスに再分類されており、プロテロスクスのジュニアシノニムに該当する。P. fergusiがプロテロスクスの模式種であり、P. yuaniが中国に生息していた種である。

形態[編集]

P. fergusiの復元図

プロテロスクスの姿は現代のワニと類似しており、長い顎や強力な首の筋肉、短い四肢や長大な尾といった特徴を共有していたが、吻部はフック状に湾曲し、円錐形の単純な形状の歯が並んでいた[1]。この顎はディキノドン類リストロサウルスといった獲物を仕留めるために適応した結果である可能性がある。

生態[編集]

P. fergusiの頭骨

現代のワニのように潜伏型の捕食動物であり、水辺に獲物が近づくのを待ち、長大で筋肉質な尾を遊泳に用いて高速で水を押し、水面下から襲い掛かったとされている。しかし、プロテロスクスの脚は頑丈で、陸上を不自由なく歩行可能であった。肘を外側に突き出し、完全には伸ばさない状態で歩行していた[1]。陸上と水中の両方を生活圏にしていたことは大きなアドバンテージであり、水での冷却や日光浴により体温調節が可能となっていた。現代のワニのような潜伏型の捕食動物であるため、プロテロスクスは生涯の大部分において1つの環境に留まっていた。このことがエネルギーの節約に大いに貢献し、プロテロスクスは食料を数か月に渡って摂食することなく生存が可能であった。

プロテロスクスは水中で遊泳でき生活していたが、主に魚ではなく陸上動物を捕食対象としていた。目は頭の上方に位置し、水面下に潜伏して獲物の来訪を待ち伏せし十分獲物が接近すると獲物に飛び掛かって水中に引きずり込むという狩りを行っていた。

現生鳥類及び爬虫類の強膜輪(眼球の骨)とプロテロスクスの強膜輪を比較した結果、プロテロスクスは24時間を通して散発的に活動していた可能性が示唆され、初期の主竜類が薄暗い光に適応していた可能性が提示されている。ただし南アフリカ共和国のプロテロスクスは極付近に生息していたため、一般的な主竜類とは異なる光条件下で生活していて他の主竜類と同列に扱えない可能性もある[2]

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P. yuaniの復元図

模式種であるP. fergusiは南アフリカ共和国東ケープ州ターカスタッドから発見され、1903年にロバート・ブルームが命名した[3]。同種はカルー盆地ビューフォート層群リストロサウルス群集帯から発見されている。1924年にはカスマトサウルスとして分類されたC. vanhoepeni[4]1946年にはエラフロスクスとして分類されたE. rubidgei[5]1965年にはC. alexandri[6]を含む生物がカルー盆地から報告された。これらの種は体格に関連した特徴に基づいて互いに判別されたが、これらの特徴は1つの種が成長していく異なる段階を抽出したものと後に考えられるようになった[7]Proterosuchus fergusiが優先権を持つため、これらの種はP. fergusiのシノニムとされている。

中国の新疆ウイグル自治区ウルムチ市北東部ジムサール付近のツァンファングー層群からカスマトサウルスの種であるC. yuaniの標本が発見され、1936年に報告された[8]1970年にプロテロスクスとして再分類されP. yuaniに改められた。

1964年に記載されたC. ultimus[9]も同様にプロテロスクスに属すると考えられていたが、後にプロテロスクスにはさほど近縁でなくアルコサウルス類に属しうる疑問名とされている[10]

分類[編集]

ワニや翼竜恐竜を含むグループである主竜類に属する。かつてはワニの祖先にあたるとされていたが、現在ではより原始的な生物として理解されている。

出典[編集]

  1. ^ a b # Proterosuchus fergusi”. Biodiversity Explorer. 2014年11月4日閲覧。
  2. ^ Schmitz, L.; Motani, R. (2011年). “Nocturnality in Dinosaurs Inferred from Scleral Ring and Orbit Morphology”. Science 332 (6030): 705–8. doi:10.1126/science.1200043. PMID 21493820. 
  3. ^ Broom, R. (1903年). “On a new reptile (Proterosuchus fergusi) from the Karroo beds of Tarkastad, South Africa”. Annals of the South African Museum 4: 159–164. 
  4. ^ Haughton, S.H. (1924年). “On a new type of thecodont from the Middle Beaufort Beds”. Annals of the Transvaal Museum 11: 93–97. 
  5. ^ Broom, R. (1946年). “A new primitive proterosuchid reptile”. Annals of the Transvaal Museum 20: 343–346. 
  6. ^ Hoffmann, A.C. (1965年). “On the discovery of a new thecodont from the Middle Beaufort Beds”. Researches of the National Museum, Bloemfontein 2: 33–40. 
  7. ^ Welman, J. (1998年). “The taxonomy of the South African proterosuchids (Reptilia, Archosauromorpha)”. Journal of Vertebrate Paleontology 18 (2): 340–347. doi:10.1080/02724634.1998.10011062. 
  8. ^ Lucas, S.G. (1993). “Vertebrate biochronology of the Triassic of China”. In Lucas, S.G. and Morales, M. (eds.). The Nonmarine Triassic. New Mexico Museum of Natural History & Science Bulletin. pp. 301–306. http://econtent.unm.edu/cgi-bin/showfile.exe?CISOROOT=/bulletins&CISOPTR=1098&filename=2370.pdf. 
  9. ^ Young, C-C., 1964, The pseudosuchians in China: Palaeontologia Sincia, v. 151, new series C., n. 19, p. 1-205.
  10. ^ Liu, J., Butler, R. J., Sullivan, C. & Ezcurra, M. D. ‘Chasmatosaurus ultimus,’ a putative proterosuchid archosauriform from the Middle Triassic, is an indeterminate crown archosaur. Journal of Vertebrate Paleontology.

関連項目[編集]