プレーンズ・インディアン・ドッグ

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プレーンズ・インディアン・ドッグ(英:Plains-Indian Dog)とは、北米大陸原産の犬種である。幾つかのアメリカインディアン部族によって広く飼育されていた。

歴史[編集]

何千年にも亘って北米のインディアンたちによって飼育されてきた犬種の一つで、犬質の強化のためにコヨーテ交配させる事によって身体能力が高く、病気にきわめて強い犬種になった。ことに大平原地帯では、「トラヴォイ(Travois)」という荷物運搬用の棒(ティピーの柱でもある)を引いたり、番犬として村の見張りをしたり、家畜として飼われていたバッファローを守る護畜犬としてコヨーテや泥棒からそれを守ったり、ペットとして飼われたりとさまざまな役割を果たした。ちなみに他の多くのインディアン専用犬種とは異なり、食用にされる事は無かった。

かつては非常にありふれた犬種ではあったが、インディアンの酷使により数が減少し、19世紀には絶滅の危機に瀕した。しかし、細々と生き残っていた犬を全米中から集めて繁殖を行い、少しずつ数を回復しつつある。現在はインディアン部族によって伝統的に使われるかペットとして飼育されていて、その他の人も少数だがペットやドッグスポーツ用に飼育している。まだまだ頭数が少ないため、あまり原産地外では名が知られていない犬種である。

特徴[編集]

顔つきはオオカミに似るが、ボディはそれよりもコヨーテに似ていて、無駄のない原始的な姿をした犬種である。引き締まった筋肉質の体つきで、脚は長い。三角のやや大きめの立ち耳、ふさふさした垂れ尾でコートはスムースコート。毛色は黄系の地色に黒いサドル。体高46~53cm、体重16kg前後の中型犬で、性格は少々内向的だが、見知らぬ人に対しても攻撃性を持たず、大人しく従順である。身体能力が非常に高く、寿命も15~16年と非常に長く、遺伝的にかかりやすい病気は無い。また、遠吠えの声が1頭1頭異なるため、ニューギニアン・シンギング・ドッグのように遠吠えの声が合唱のように聞こえるという特徴も持つという。

参考[編集]

『デズモンド・モリスの犬種事典』(誠文堂新光社)デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]