プラダ男女差別事件

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プラダ女性差別事件は、リナ・ボヴリースによって、ラグジュアリーファッションブランド、プラダの職場でのセクハラ男女差別が摘発され東京地裁に提訴された事件[1]

概要[編集]

2009年、名門パーソンズ美術大学卒業後にシャネルに勤め、ファッション業界18年間のベテランだったボヴリースはプラダに対して女性人権に関して提訴した。2012年、森岡礼子裁判官はこの判決内容で事件を却下した。「ラグジュアリーファッションブランドなら差別は認められ、報酬の高い女性社員ならある程度のセクハラは耐えるべき」と、プラダは被害者であるボヴリースに対して名誉毀損として反訴した。2013年、ボヴリースは判決内容とプラダの名誉毀損事件を、国際連合人権高等弁務官事務所に報告した。2013年4月30日、国際連合人権高等弁務官事務所はボヴリースのカウンターレポートを公開し、2013年5月17日、国連経済社会理事会は日本政府に対して、緊急に職場でのセクハラを違法にする新たな規制の導入を勧告を出した[2]

社会的影響[編集]

国際連合人権高等弁務官事務所は日本政府に対して、職場でセクハラが違法である新しい法律を作るよう「委員会は締約国に対し、緊急に、特に職場でセクハラを違法で犯罪とする重大性に比例制裁が行われる新しい法律を導入するよう勧告する」と勧告を出した。この事件は、日本の働く女性の社会地位の低い現状が世界メディアで報道され、国際的に日本の男女差別の改善が注目されるきっかけとなった。歴史上初めてファッション業界の女性人権問題が国際連合人権高等弁務官事務所に報告され勧告が出た事件でもある[3]。2016年、日本の世界男女格差指数は101位で、経済大国として考えられない低さであり、ガンビアタジキスタンより低く、改善には日本女性の積極的な発言が必要とされる[4][5]

背景[編集]

リナ・ボヴリースは、パーソンズ美術大学を卒業後18年間、世界的に有名なラグジュアリーブランド、シャネルやプラダのアメリカ本社などでキャリアを積んだ。 ニューヨークロンドンハワイパリなどの本社に務めた。2009年4月、彼女の履歴書の強さに、プラダジャパン株式会社は、彼女を日本、グアム、サイパンの従業員500人と42店舗の統括責任者として、日本国籍の彼女を採用した[6]

セクシュアルハラスメント[編集]

2009年4月、プラダジャパン株式会社の社長ダヴィデ・セシアは日本の40店舗の数店舗を、ニューヨークから着任したばかりのボヴリースと訪問した。訪問後、セシアはボヴリースに15名の店長、副店長達は醜く、太っていて、「プラダルック」ではないため「消す」必要があると伝えた。その直後、人事部長の高橋裕幸は13名の対象社員達に対して乏しい売上を理由に降格異動命令を出した。高橋は「あの歯と体型が好ましくない」と発言した。その後、最も離れた地方へ降格異動を命令した。女性社員が降格異動命令を断る社員には、退職届を提出させた[7]

エイジハラスメント[編集]

30才以上の女性は年寄りと判断された。年寄りと判断された女性社員達はナンバーワンのトップの売上の成績の店長から地方のアウトレットの最低レベルの店員へ降格異動を命令された。アウトレットは姨捨山と呼ばれた[8]

身体的虐待[編集]

2009年、女性社員は身体的虐待を受けた。職場でのストレスと鬱病で髪の毛が抜けた。彼女はずっとハラスメントを受けているが、彼女は40才なので何の価値もないと言った。上司が怒るたび、彼は彼女をオフィスに呼び出し1時間怒鳴りつけ彼女の顔に携帯を投げつけた[9]

強制販売[編集]

売上の減少を隠すため、会社は社員達にプラダのバッグや他の商品の強制販売をさせた。プラダの元副店長によると、プラダジャパンのリテールオペレーション課長、大藪里美は店舗が閉店する1時間前に連絡しこう伝えたと言う。「店長と副店長はプラダの“新着商品”の中から最低$1,500(約15万円)以上の商品をその日中に購入しろと言われました。大藪里美さんに、$1,500(約15万円)は私達にとって高額な購入額ですと交渉しましたが、命令であり、2月に“キャンペーンボーナス”として入金され、お金がないならクレジットカードで購入するよう指示されました。」 大藪は店長達に社員割引が反映される社員の購入ではなく、正規の顧客が購入したかたちで入力するよう指示をした。元店長が「私は新着商品から$1,700(約17万円)購入し正規の顧客が購入したかたちで入力しました。私の副店長も同じ事をしました」と証言した。プラダジャパンの人事部は店長、副店長達に対して会社のホリデーパーティーの経費から返金した。支払いは“キャンペーンボーナス”として記載されカムフラージュ化された。しかし、元店長が後で計算したところ、$1,500(約15万円)返金されたが、消費税は各自自分で支払った。$1,500(約15万円)丁度の商品もないため、自己負担で$200(約2万円)、結局$1,700(約17万円)を購入したと話した。他の元店長によると、プラダジャパンの人事部長である高橋裕幸は2月に良い結果出たため、各社員に店舗から最低1つの商品を購入するよう強制してきたと言う。この時は、店長達に返金する予算がなかった。3名のプラダジャパンの元社員達によると、セシアと高橋は商品を購入しないと会社の人数を減らすと伝えられたと証言。元店長によると「私が2009年に退職に追いつめられるまでは、ほぼ毎月私達は自分で何かを購入して売上をあげるよう指示されましたが、1月以降は本社に返金できるお金がなかったので30%の社員割引で自分達の報酬から購入しなければ店舗スタッフを減らすという指示でした。」[10] それ以外の地方店舗の店長が裁判所に2月7日に提出した陳述書によると、「高橋は彼女にプラダの商品を買え、又は、“会社は”彼女の店舗の社員をカットすると言った。このような指示は必ず電話で伝えられた。」証言している。[11]

内部告発[編集]

2009年9月、プラダジャパンの人事部長は夜7時にボヴリースのオフィスへ現れ、「少しお話をいいですか?」と呼び出し、「人事警告です。社長がヘアスタイルを変えろ、やせろ、君の醜さが恥ずかしいからミラノからの訪問者に会わせたくない、と言っている。」彼は笑いながら、「私は、(プラダブランドの)ミューミューの店長だって歯並びが悪い理由でクビにしたんですよ。」と言った。ボヴリースはプラダミラノ本社の最高経営責任者、セバスチャン・スールにメールを送り助けを求めた。2009年10月、スールは全ての証拠を彼に送れば誰もクビにならないと言った。スールは香港上場の準備をしていた。数日後、彼女はプラダジャパンの社長のオフィスに呼ばれ、「会社でセクシャルハラスメントについて発言してネガティブなエネルギーをもたらした」と理由に解雇通知を口頭で受けた。プラダジャパンの社長と人事部長は彼女を自宅へ帰るよう指示し、その後、無断欠勤をしたと摘発し、解雇通知はボヴリースの想像だったと主張しはじめた。ボヴリースは弁護士に連絡をとり、スカート下の足にレコーダーをテープで貼り付け会社へ戻るようアドバイスを受けた。会社へ戻ると自分のデスクからコンピューターは撤去されていた。プラダの人事部長は彼女に、会社のポリシーに対して文句を言うのでトラブルであり、作り話をし、他の社員達の仕事を妨害していると伝えた。このトラブルを理由に、彼女はシニアエグゼクティブから販売員へ降格異動になったと伝えられた。後日、ボヴリースの弁護士はプラダから既に記入された退職届を受理した。そこには、「話し合いを通して同意した通り、退職届に署名をお願いします。」と記載されていた。ボヴリースの弁護士達はレコーダーを確認し、そのような会話はされていない事を確認した。人事部長はボヴリースの弁護士に、「そうです。彼女の退職について彼女とお話をしました。彼女から自分が会社で起こしたたくさんのトラブルについて悪かったと反省しており、彼女から退職したい告白されました。」と伝えた。ボヴリースの弁護士は、「彼女との最後の会話は全て録音しており、書面化しています。退職についてのお話など一切ありません。」と伝えたところ、プラダの人事部長は電話を切った。その後、プラダは彼女の健康保険や年金など告知なしで停止。プラダは彼女を追放し、最終的に精神病と攻め、会社に二度と戻れないよう不当な扱いを繰り返した。この状況からボヴリースは2009年12月、労働審判に申し立てをする結果となった[12][13][14]

訴訟[編集]

2010年3月19日、ボヴリースは、女性の権利の侵害を主張してプラダに対して民事訴訟を起こした。2010年5月15日、プラダ店舗の元女性管理職の社員達も女性の権利の侵害を主張してプラダに対する民事訴訟を提起した。プラダは、女性の権利を主張した事によってブランドのイメージとロゴが傷ついたと反訴 [15]。2012年10月26日、東京地方裁判所の森岡礼子裁判官は、「ラグジュアリーファッションブランドなら差別は認められ、報酬の高い女性社員ならある程度のセクハラは絶えるべき。」という判決内容でプラダ男女差別事件を却下した。ボヴリースは裁判中に裁判官に脅迫的行為があった事実や政治的陰謀の疑いを懸念し控訴せず、国連へ報告した。2013年4月30日、国際連合人権高等弁務官事務所はボヴリースのカウンターレポートを公開し、2013年5月17日、国連経済社会理事会は、日本政府に対して、緊急に職場でのセクハラを違法にする新たな規制の導入を勧告した [16]

報道[編集]

2013年5月28日、ヴォーグ はボヴリースの記事、"Prada Vs The UN" を掲載、人気記事1位となった。プラダと日本の裁判所に反対して22万人以上の署名が世界中から集まった[17][18][19]

References[編集]

  1. ^ Lauren Leibowitz (2013年4月24日). “Prada Employee's Lawsuit Now Involves 'Discrimination,' Aid From UN”. The Huffington Post. 2014年1月8日閲覧。
  2. ^ http://nymag.com/thecut/2013/05/un-pressures-prada-to-stop-discrimination.html
  3. ^ http://2013.pressclub.ch/fr/conference/first-case-worlds-fashion-history
  4. ^ https://business-humanrights.org/en/prada-lawsuit-rina-bovrisse-backed-by-united-nations-in-sexual-harassment-discrimination-case-japan
  5. ^ http://reports.weforum.org/global-gender-gap-report-2015/rankings/
  6. ^ Pesek, William (2010年9月9日). “Prada Wears Devil in Eyes of This ‘Ugly’ Woman: William Pesek”. Bloomberg. http://www.bloomberg.com/news/2010-09-09/prada-wears-devil-in-eyes-of-this-ugly-woman-william-pesek.html 2013年10月3日閲覧。 
  7. ^ http://www.japantimes.co.jp/news/2010/03/12/national/prada-accused-of-maltreatment/
  8. ^ http://www.salon.com/2013/11/14/prada_suicide_and_sexual_harassment_a_whistle_blower_speaks_out/
  9. ^ http://www.salon.com/2013/11/14/prada_suicide_and_sexual_harassment_a_whistle_blower_speaks_out/
  10. ^ http://www.aol.com/article/2010/05/14/prada-japan-accused-of-forcing-staff-to-buy-its-merchandise/19446981/
  11. ^ http://www.japantimes.co.jp/news/2010/03/12/national/prada-accused-of-maltreatment/
  12. ^ http://www.aol.com/article/2010/04/21/in-japan-the-prada-look-comes-with-a-side-order-of-discrimina/19421777/
  13. ^ http://nymag.com/thecut/2010/03/ex-prada_employee_sues_japanes.html
  14. ^ http://www.japantimes.co.jp/news/2010/03/12/national/prada-accused-of-maltreatment/
  15. ^ Matsutani, Minoru (2010年8月25日). “Prada countersues plaintiff claiming harassment”. The Japan Times. http://www.japantimes.co.jp/news/2010/08/25/national/prada-countersues-plaintiff-claiming-harassment/#.UsV6SzndGfQ 2014年2月15日閲覧。 
  16. ^ United Nations
  17. ^ https://www.change.org/p/プラダは-元社員-ボヴリース里奈さんに対する訴訟を撤回して下さい
  18. ^ http://www.vogue.co.uk/news/2013/05/28/prada-rina-bovrisse-lawsuit---un-statement-released
  19. ^ http://www.barrons.com/articles/the-woman-calling-out-the-failures-of-abenomics-1465952263