ブームスラング

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ブームスラング
ブームスラング Dispholidus typus
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
: ナミヘビ科 Colubridae
: ブームスラング属 Dispholidus
: ブームスラング D. typus
学名
Dispholidus typus
(Smith1828)
和名
ブームスラング[2]
英名
Boomslang

ブームスラング(学名:Dispholidus typus)は、ナミヘビ科ブームスラング属に分類されるヘビ有毒特定動物。本種のみでブームスラング属を形成する。

分布[編集]

サハラ砂漠を除くアフリカ大陸

形態[編集]

全長100-180cm。体形は細長い。

目は非常に大型で前方にあり、吻端は尖る。そのため、両眼視ができるほか、獲物との距離を正確に測ることができる。

オスは体色に変異が大きい。メスは緑褐色や茶色、焦げ茶色と地味。幼蛇は灰色や灰褐色。

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本種はナミヘビ科ではあるが、ヤマカガシと同じ後牙類で、非常に強力なを持ち、その毒は成人であっても致命的な強さと量である。1957年にはアメリカの著名な爬虫類学者カール・シュミット英語版が本種に咬まれて死亡している。シュミットは本種に咬まれた際の中毒症状を亡くなるまで仔細に記録し、それが後牙類に咬まれた症状の記録として重要となった。

毒の成分はヤマカガシに近く、出血毒であり、血液凝固が妨げられるため、皮下出血吐き気、だるさ、頭痛などが起こる。ただし、毒の回りは非常に遅く、腫れ痛みもほとんどない。そのため、毒蛇だと気づかずに症状が進行し、手遅れになることも多い。現在では、現地の病院などに抗血清が用意されているので、本種に咬まれたら病院へ急行すべきである。

また、本種の性質は非常に温和であるため、向こうから攻撃を仕掛けることはまずない。現地で本種を見つけても、そっとしておくべきである。

生態[編集]

名前の由来はアフリカーンス語オランダ語で『木のヘビ』の意で、その名のとおり樹上性のヘビである。

食性は動物食でカメレオンや樹上性のトカゲカエルなどで、まれにネズミを襲うこともある。獲物に対して何度も噛みついて、仕留めた後に捕食する。

繁殖形態は卵生で、1回に10-14個、最大25個の卵を産む。

脚注[編集]

  1. ^ Luiselli, L., Jallow, M., Trape, J.-F., Chirio, L., Johnny, J., Segniagbeto, G., Howell, K., Msuya, C.A. & Ngalason, W. 2021. Dispholidus typus. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T190603A15357215. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-2.RLTS.T190603A15357215.en. Accessed on 03 February 2024.
  2. ^ 「ブームスラン」と表記されていることもある

参考文献[編集]

  • クリス・マティソン 『ヘビ大図鑑』、緑書房、2004年、110-111、158頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、122頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]