ブロードキャストストーム

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ブロードキャストストームが発生するネットワーク構成の例

ブロードキャストストーム: broadcast storm)とは、コンピューターネットワークにおいて、ブロードキャストが際限なく転送され続けることによって起こるネットワーク障害の一種である[1]。一般的な原因は、LANケーブルの配線において、スイッチングハブ同士を漫然と接続し、ループを形成してしまうことによるものである。ブロードキャストストームが発生した場合、異常な量のブロードキャストが通信帯域を占有し、必要な通信が途絶する場合がある。

原因[編集]

ブロードキャストは、あるセグメントに接続されている全ての機器に対して配信することを目的とした通信であるため、ブロードキャストを受信したネットワークスイッチは、原則として全てのポートにブロードキャストを転送する。しかし、ネットワークがループ構成となっている等の理由により、転送したはずのブロードキャストが戻って来た場合、一般的にスイッチングハブは、戻って来たパケットであることを認識できないため、当該ブロードキャストを再転送する。こうして、ブロードキャストが際限なく転送され続け、その通信量は、新たなブロードキャストが発信される度に増え続け、時として、スイッチングハブの処理能力の限界を超えてしまう。

対策[編集]

ブロードキャストストームの対策としては、以下のようなものが挙げられる。マネージドスイッチが必要となる場合もあるが、簡易的なものであれば安価なスイッチングハブでも実装している場合がある。

物理的にループ接続できなくする[編集]

使用していないLANポートにカバーなどを取り付け、差し込めない様にする、使用していないLANケーブルをハブから外しておき、誤って接続する事を防ぐ、管理者以外の人がネットワーク機器に触るのを禁止する、有線ではなくWi-Fiを使用するなどがある。

ループを検知する[編集]

代表例は、スパニングツリープロトコル(STP)やEthernet Ring Protection Switching(ERPS)である。ネットワーク構成を把握するための制御信号を、スイッチングハブ間で送受信し、ループを発見した場合は、ポートを論理的に閉塞する等によりループを開放する。

ブロードキャストに対する帯域制限[編集]

一般的な用途であれば、ブロードキャストがネットワークの帯域を広く占有することはないため、ブロードキャストにおいて使用できる通信帯域をあらかじめ十分に狭く設定しておき、ブロードキャストの量が閾値を超えた場合は、ブロードキャストを転送せずに破棄することにより、ブロードキャストの異常な増大を防ぐ。

出典[編集]

  1. ^ ブロードキャストストームとは - IT用語辞典”. IT用語辞典 e-Words. 2020年9月26日閲覧。