ブレッドボード

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最近主流になっている、ソルダーレス(=はんだづけ不要)のブレッドボード。この写真は その中でも比較的小さいタイプで、穴が400のタイプ。
(やや珍しい)はんだ付けするタイプのブレッドボード。上のソルダーレスと同じ場所に同じ部品を配置すれば同じ回路ができるようになっており、一旦ソルダーレスタイプで回路を組み実験して成功したら、念のためその部品をそのままこちらに移してはんだ付けして、振動などを受けても部品がはずれることのない恒久的な回路として使う、という目的のもの。
ソルダレス・ブレッドボードで回路を組んだ例

ブレッドボード(英:breadboard, protoboard)とは、電子回路実験(や試作)をするための板のことである[1]

概説[編集]

ブレッドボードは電子回路の実験試作評価などに用いる。

「breadboard」というのは、本来の意味は、パンを切る時にパンをのせる板のことである[1]。「bread ブレッド」(=パン)+「board ボード」(=板)という構成の語であり、あえて日本語に訳せば「パン切り用まな板」といったところである。ラジオの初期からすでに、ラジオ愛好家たちがパン切り用の木製のブレッドボード上で回路を作ってきた歴史があるので、「breadboard」が回路の実験・試作用の板、という意味でも用いられるようになった。(なお現在でも英語圏の一般人の日常生活では「breadboard」と言えばまずパン切り用のまな板を指している。)

ブレッドボードの中でも特に、各種電子部品ジャンパ線を差し込むだけで電子回路を組むことの出来る、はんだ付けが不要なタイプの基板を指す場合、1970年代には英語では「solderless breadboard(ソルダーレス・ブレッドボード)」と呼ばれていた。最近では、はんだづけがないものが一般的になってきて他のタイプはめっきり減ったので、英語でも単に「breadboard」と呼ぶことが多い。ただし、歴史的経緯もふまえると、単に"breadboard"と言った場合、「試作用基板」全般を指しうるため、初期の「板に自力で釘を打ち付けたもの」から「基板からあらかじめ金属端子が多数突き出ていて線を巻きつけるもの」、さらに広義にはユニバーサル基板なども含むことになる。

2010年代の日本のアマチュア工作の世界では、漠然と「ブレッドボード」と言うと、穴に素子やワイヤーを差し込むタイプ(solderlessタイプ)をもっぱら指していることが多い。

歴史[編集]

1920年代TRF受信機。Signal社製。木製の板の上に組み立てられている。

ラジオの初期の時代からラジオ愛好家たちは回路を組むのにブレッドボード(木製パン切りまな板)を用いてきた。1900年代初頭ごろにはすでにブレッドボードは用いられていたのである。入手が容易で、安価で、丈夫で、部品の位置をあれこれ変更するのにも適していたからである[2]。(現代人は忘れがちだが)当時のラジオの部品はひとつひとつが現在のものと比べてかなり大きく、一辺が数cm~10cm弱もあるような塊のような形状の部品ばかりで、おまけにそれなりに重い部品だったので、それらを配置するのにパン切りまな板のサイズや丈夫さはちょうどよかったのである。ブレッドボードそのもの(あるいはそれに似た)を手に入れて、それに、回路の部品(トランスフォーマー真空管キャパシタ銅線端子など)を配置し、はんだ付けして回路を作った。また画鋲を使う、というのも一般的であった。

を打って、それを中継ラグ端子とし、そこに部品や配線をハンダ付けしたり、線を巻きつけることで接続して、回路に関するアイデアについて試行錯誤を行う、ということも行われた。

ブレッドボードについてのアイディアは徐々に増え、さまざまなタイプが登場した。

たとえば1961年の米国特許3145483Aは、木製の板にバネ機能を持った部品や他の部品をあらかじめ組み付けたブレッドボードである[3]。たとえば1967年の米国特許3496419は回路をあらかじめプリントしておく、というものである[4]

現在もっとも広く用いられているブレッドボードは白い合成樹脂製の、差し込み式で はんだ付け不要のタイプであるが、これは1971年にRonald J. Portugalが特許を取得したものである[5]

solderless (はんだ付け不要)タイプ[編集]

ソルダーレスは、面倒なはんだ付けが不要、ということが、大きなメリットである。 はんだが含まれていた頃は、ソルダーレスであるということは重金属問題を回避できるということも意味したので、それもメリットのひとつに挙げられた。

穴に差し込むタイプ
ブレッドボードの図。図のものは大きく4つの区画に分かれているタイプ。赤線と青線は一対のバス。この図のものは、計4組のバスがある。各穴には1,2,3...と番号が振ってあり、またA,B,C,D,Eとアルファベットが振ってあり、数字とアルファベットで穴を特定できるようになっているので、理解したり他者に説明することが容易である。「1」の行のA,B,C,D,Eの穴は互いに(裏側で)導通している、が「2」の行とはつながっていない。例えば1-Aの穴と1-Bの穴に差し込んだものは互いにはんだづけしたような状態になり電流が流れる。が、「1-A」は(そのままならば)隣の行の「2-A」「2-B」...とは絶縁している、という関係になっている。

ソルダーレスタイプのブレッドボードは、回路の変更が瞬時に自在にできる。素子を抜いたり差すだけで交換することができる。また、ジャンパーワイヤーの抜き差しで回路変更も自在である。回路の試作・実験用、また電子回路に関する学習教育用として広く用いられている。

穴の間隔が、(基本的に)汎用のIC(集積回路)の足の間隔と一致しており、ICもそのまま差しこむことができる。

複数のブレッドボードを並べて互いに接続して用いることもできるので、大規模な回路も組むことができる。

ただし、ブレッドボードはその性質上 若干の制約があり、大きな寄生容量(回路によっては寄生インダクタンスも)があるため高周波回路(おおむね10MHz以上)には向かず、また接点の抵抗のため大電流を流す回路(おおむね500mA以上)にも向かない。


ワイヤラッピングタイプ
1977年の、線を巻きつける方式のブレッドボード

1970年代には、基板に金属端子がニョキニョキと立っているもの(生け花の剣山の針の密度が低いようなもの)が現われていた。そこに線を巻きつけること(ワイヤラッピング)で、はんだづけをしなくても回路をつくることができた。

要はんだ付けタイプ[編集]

歴史で解説したように、1970年代には板に打ち付けた釘にはんだづけを行っていた。板に釘を打ち付けるものは、現在でも一応自作可能である。ただし現在では、穴に差し込むタイプが安価に販売されていてしかも非常に使いやすくできており、わざわざ手間をかけて扱いづらい板と釘で作るものを使う人はほぼいない。

広い意味ではユニバーサル基板もブレッドボードの一種とされることがある。


脚注[編集]

  1. ^ a b Oxford Dictionary, "breadboard".
  2. ^ Tangentsoft, What is a "Breadboard"?
  3. ^ [1]
  4. ^ google patent US3496419A
  5. ^ google patent USD228136


関連項目[編集]