ブライトネス

ブライトネス(英語: brightness)は視覚の属性の1つで、光の強弱の見え方のもとになるものである[1][2]。
概要
[編集]ブライトネスはある面から発している光の強弱の見え方(明るい - 暗い)の基になる視覚の属性である[1][4]。多くの色の見えモデルでは記号 で示す。明るさ(ブライトネス)は薄暗さ(英語: dimness)や鈍さ(英語: dullness)の反意語である。この語は「明るい」や「白」に由来する(⇒ #語源)。
ブライトネスは心理量の一種であり[5]、心理物理量である輝度[6]とは別の概念である。一方で光に対する感覚であるため、光(可視放射)の心理物理量と強い関連がある(⇒ #可視放射との関係)。また物体色と関連する明度とも別の概念である[7](⇒ #明度との関係)。
可視放射との関係
[編集]ブライトネスは光を見るヒトの心の中に発生する心理量であり[5]、ヒトと無関係に世界に存在する光の物理量(心理物理量)とは独立している。しかし無関係ではなく、むしろブライトネスと光の物理量の間には深い関係がある。
ブライトネスは可視放射(可視光)の輝度と強く関連する[8][4]。ただし、ブライトネスと輝度は基本的に1:1対応せず、非線形の関係にあり[9]、様々な心理作用によって変化する。心理作用の一例としてホワイト効果が挙げられる。
語源
[編集]形容詞 bright は、同じ意味を持つ古英語の beorht から派生し、転置を経て中英語の briht となった。この単語は、ゲルマン祖語の*berhtazから派生し、最終的にはPIE語源の *bhereg (「白い、明るい」) に由来し、非常に近い意味を持つ。
明度との関係
[編集]「明るさ」は多義語であり、この記事で解説しているブライトネスと、物体の色を意味するライトネス(明度)の両方を広義では指す。そのためブライトネスは明度と別の概念である[7]。
ブライトネスは光の輝度と関連し、「明るい-暗い」の軸を持ち[2]、上限がなく、光源色で使われる。明度は物体の分光反射率と関連し[10]、「白-黒」の軸を持ち[10]、1(100%)の上限があり、物体色で使われる[11]。
歴史
[編集]「ブライトネス」は以前、測光用語の輝度や放射測定用語の放射輝度と混同されて使用されていた。連邦規格1037C(米国連邦電気通信用語集) の定義によると、「ブライトネス」は現在、生理的感覚や光の知覚に関する非定量的な言及にのみ使用されるべきとされている。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c
明るさ ある面から発している光の強弱の見え方の基になる視感覚の属性。... 明るさは,発光面についても非発光面についても用いる。... brightness
(JISZ8113 1998, p. 23) - ^ a b c
「明るさ」という用語は主として2つの意味を含んでいる。1つは輝度に対応し,「明るい–暗い」の次元で変化する現れ方であり,英語では brightness と訳される。
(新井 2019, p. 66) - ^ 千々岩英彰『色彩学概説』東京大学出版会、2001年、15頁。
- ^ a b
明るさ ... 輝度に対応し,「明るい–暗い」の次元で変化する
(新井 2019, p. 66) - ^ a b
知覚属性の1つである明るさ(心理量)
(新井 2019, p. 66) - ^
視覚系の感度を考慮しながら物理量を測定し,再尺度化した値を測光量と呼ぶ。測光量は心理量によって物理量を評価した心理物理量である。
(新井 2019, p. 66) - ^ a b
「明るさ」という用語は主として2つの意味を含んでいる。1つは ... brightness ... もう1つは ... lightness ... 。両者は異なる知覚属性であり,厳密に区別する必要がある場合には,後者を白さや明度と表現することもある。
(新井 2019, p. 66) - ^
明るさ ... 主として関連する測光量は,輝度である。
(JISZ8113 1998, p. 23) - ^
我々の感じる明るさは光の強度と非線形の関係にある
(新井 2019, p. 66) - ^ a b
lightness ... 白さや明度と表現することもある。... 白さは表面の反射率と対応し,「白–灰–黒」の次元で表現され ... 白さの知覚とは照明あるいは照度を考慮しない,表面そのものを知覚すること
(新井 2019, p. 66) - ^ 篠田博之・藤枝 一郎『色彩工学入門 定量的な色の理解と活用』森北出版株式会社、2007年、75-76頁。ISBN 978-4-627-84681-4。
参考文献
[編集]- JIS Z 8113:1998「照明用語」(日本産業標準調査会、経済産業省)
- 新井, 哲也 (2019). “事象知覚の観点から捉えた明るさ”. 基礎心理学研究. 38 (1): 63–76.