フロマージュ・ド・テート
フロマージュ・ド・テート(仏: fromage de tête)、ミュゾ(仏: museau)、またはヘッドチーズ(英: head cheese)は、ブタの頭部を煮こごり状にした料理[1][2]。『フランス食の辞典』においてはミュゾを英語におけるヘッドチーズの同義語として扱っているので[3]、まずはミュゾについて説明する。
ミュゾそのものは料理名というより材料名である。ブタだけではなくウシも含み、鼻および口からあごまでの部位をさすとともに、これら部位を用いて作った料理をさす[4]。ウシは煮込み料理に、ブタは舌や尾を加えた上でゼリー寄せとする。アメリカにおけるヘッドチーズに相当する料理とされ、イギリスではブローン(brawn)と呼ばれると解説する。ドイツ料理ではプレスヴルストないしプレスザックが類似する。
フロマージュ・ド・テートのフロマージュとはチーズのフランス語であるが、テートはラテン語由来の語であり、この意味するところは何ともいえない[5]。テートはラテン語の testa に由来する語で、イタリア語における testa [6]同様「頭」をあらわすが、そもそもこの語は素焼きの壷を意味したものであり、その由来を尊重すれば「壷のチーズ」という意味とも考えられる。頭という語をもって日本語とすれば、「頭のチーズ」という意味になる。語源はともかく、煮こごりのようになって固まったゼラチン質がチーズを連想させる食感をもつ料理という雰囲気だけは確かである。材料としてはブタの頭部のうち、骨と目玉を除いた部分を使う。成型にはテリーヌ型を用いる。現代において、レストランでもあまり見られずシャルキュトリ[7]以外で出会う機会は少ない。
南西フランスには似た調理法ながらブタの頭部だけでなく、野菜も混ぜたマルブラードという料理もあり、これはその姿が大理石(仏: marbre)の模様に似ていることから名付けられたものである[8]。
脚注
[編集]- ^ 日仏料理協会 編『フランス 食の事典(普及版)』株式会社白水社、2007年、12-13頁。ISBN 978-4-560-09202-6。
- ^ “Vol.36 森田 信夫 Nobuo Morita ヘッドチーズ Fromage de tēte sauce ravigot テリーヌ1本分”. All Japan Chefs Association Tokyo. 2017年6月22日閲覧。
- ^ 前掲 (日仏料理協会 2007, p. 664)。
- ^ 以下本段落は特記ない限り前掲 (日仏料理協会 2007, p. 664) による。
- ^ 以下本段落は特記ない限り前掲 (日仏料理協会 2007, pp. 12–13) による。
- ^ 久光重平『西洋貨幣史』国書刊行会、1995年、595頁 。。
- ^ 専門の肉屋
- ^ 前掲 (日仏料理協会 2007, p. 655)。
外部リンク
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、ヘッド・チーズに関するカテゴリがあります。