フトイ

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フトイ
Scirpus tabernaemontani hutoi01.jpg
フトイ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: カヤツリグサ目 Cyperales
: カヤツリグサ科 Cyperaceae
: ホタルイ属 Scirpus
: フトイ S. tabernaemontani
学名
Scirpus tabernaemontani C. C. Gmelin
シノニム

Scirpus lacustris

フトイScirpus tabernaemontani C. C. Gmelin)とはイグサに近い姿のカヤツリグサ科の植物である。

特徴[編集]

「フトイ」という名前は「太い」ではなく「太藺」、つまり「太い藺草」の意味である。実際にはイグサ科ではなく、カヤツリグサ科ホタルイ属に属する。ただし、その姿はさほどイグサに似ている訳ではない。

湿地や浅いなどに生育する大柄な多年草で、高さは2m近くにもなる個体もある。地下茎は太くて横に這い、全体としてはまばらに花茎を立てて大きな群落を作る。地下茎の節から花茎を直立させる。花茎の基部には鞘があって、その先端は少しだけ葉の形になる。しかし花茎の長さに比べるとあまりに小さく、目立たない。花茎の断面はややいびつな円形。

花茎の先端には花序がつく。いくつか枝が出てその先端には小穂がつき、小穂の基部からさらに枝が出るようにして多数の小穂が散房状につく。花序の基部には苞が一つあるが、花序より短くて目立たない。そのためイグサのようには見えず、花序が花茎の先端に上を向いてついているように見える。

日本全土に分布する。

利用[編集]

日本では、時に庭園の池などで観賞用に栽培される。フトイの変種であるシマフトイは花茎に白い横縞模様があり、鑑賞価値が高いものとして栽培されている。

国外では、チチカカ湖に自生するフトイの一種・トトラスペイン語: totora; S. clifornicus subsp. totora T. Koyama)がよく知られている。トトラは、湖上の民・ウル族の暮らしを全面的に支えている。 ウル族はトトラを刈り取って乾燥させ、その束を水面上に大量に積み重ねることによって浮島を作り、トトラで葺いた家をその上に建てて、水上の暮らしを営む[1][2]。家の傍らに畑をもつ際にはトトラの根がその肥料にもなる。漁に用いる舟や移動用のボートもトトラから作る[3]ほか、食材、お茶、燃料、薬、身装品(帽子など)など、生活のあらゆる場面でトトラが用いられている[1][2]。観光客相手にはトトラ細工が欠かせない土産品となっている[2]

画像[編集]

フトイの花序 
トトラを全面的に利用したウル族の浮島と家屋 

脚注[編集]

  1. ^ a b 「天空の湖で究極の地産地消 南米ペルー アンデスの民」 #13 『地球千年紀行 ~先住民族の叡智に学ぶ~』、BS-TBS、2010-5-9日放映。[出典無効]
  2. ^ a b c 「世界で一番高い湖 ~ペルー ティティカカ湖~」 『プレミアム8 世界一番紀行』、NHK BShi、2010-5-12放映。[出典無効]
  3. ^ 茎を刈って乾燥させたものを束にして結び直径50cm程の束を2つ並べて船底にし、やや小さい束をその上に並べて側壁とする。場合によってはこれにトトラで作ったすだれの帆をつける。大きいものは5-6人乗りになる。