フォーミダブル級フリゲート

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フォーミダブル級フリゲート
シュープリーム (73)
艦級概観
艦種 フリゲート
艦名 英語の形容詞
建造期間 2002年 - 2006年
就役期間 2007年 - 就役中
運用者  シンガポール海軍
性能要目
排水量 満載 3,800 t
全長 114.8 m
全幅 16.3 m
吃水 6.0 m
機関 CODAD方式
MTU 20V 8000 M90ディーゼルエンジン (8,200 kW/11,000 hp) 4基
スクリュープロペラ 2軸
速力 最大: 31ノット
航続距離 4,200海里 (18kt巡航時)
乗員 70名および航空隊15名
兵装 76mmスーパー・ラピッド砲 1基
タイフーン 25mmRWS 2基
12.7mm単装機銃 4基
シルヴァーA50 VLS
アスター30 SAM; 8セル)
2基
シルヴァーA43 VLS
アスター15短SAM; 8セル)
2基
ハープーンSSM 4連装発射筒 2基
B515 3連装短魚雷発射管
A244/S短魚雷用)
2基
艦載機 S-70B哨戒ヘリコプター 1機
C4I CENTRIXS 作戦調整システム
インマルサット衛星通信)
ACCESS 作戦指揮システム
(ST-1衛星通信)
海軍戦術情報システム
(DSTA CMS+リンク 11
レーダー ヘラクレス 多機能型 1基
スキャンター2001 航海用 1基
ソナー EDO 980 ALOFTS 曳航式 1基
電子戦
対抗手段
C-PEARL-M 電波探知装置
NGDS 8連装チャフフレア発射機 2基

フォーミダブル級フリゲート (英語: Formidable-class frigate)は、シンガポール海軍が運用するフリゲートの艦級。トライデント級(: Trident class)とも称される[1]

フランス海軍ラファイエット級フリゲートの派生型であり、原型艦譲りの優れたステルス性を備えたステルス艦である。またこれに加えて、新型のヘラクレス多機能レーダーを中核とした防空システム、曳航ソナーシーホーク哨戒ヘリコプターによる対潜戦システムを備えており、多任務に対応できるようになっている。

艦前部の武装。シルヴァー社のVLSの発射孔も水平方向からのレーダー波から遮蔽されて配置される。Oto Melara 76/62 Super Rapid砲もステルス化されて搭載される。
艦中部の写真。ハープーンも、遮蔽板に囲まれて配置される。
艦橋。短艇格納庫は、レーダー反射防止ネットで覆われる。
後部。ヘリ格納庫が見える。

来歴[編集]

計画名はNGVP(New Generation Patrol Vessel)であり、当初計画では、1997年から1998年にかけて、1,000トン級ミサイル・コルベット8隻が発注されることになっていた。しかし各種の新技術を導入する要請から、まもなく艦はフリゲート級にまで拡大され、これに伴い計画は遅延した。2000年3月3日、設計およびネームシップの建造がフランスDCN社に発注され、2002年11月14日より建造が開始された[1]

設計[編集]

本級はステルス性を向上させるため、艤装の艦内収容を徹底している。魚雷発射管や搭載艇は勿論のこと、や係留装置などもできるだけ艦内に収容し、開口部にもレーダー波を吸収する覆いがかぶせられている。船体もV字形の傾斜がかけられ、上構は逆V字形の傾斜がかけられた一体構造でレーダー波を反射しにくいように設計されている[2][3]

その一方、主機関としては、原型艦と同様にCODAD方式を採用しており、MTU 20V 8000 M90ディーゼルエンジン4基で2軸の推進器(固定ピッチ・プロペラ)を駆動する[3]。ディーゼル推進は、一般的にガスタービン推進よりも煙突を小型化できる一方で、放射雑音が多く、音響ステルス性には劣るとされている。

装備[編集]

本級の戦闘システムの中核となるのが、艦橋構造物上の前檣頂部に設置されたタレス社製ヘラクレス多機能レーダーである。これはSバンドで動作するフェーズド・アレイ・レーダーで、ピラミッド型のレドーム内に1面のレーダー・アンテナを収容して、毎分60回転することで全周360度を捜索する。対空目標の捜索距離は250km、同時に400個以上の目標を追尾することができる[4]

また、アスター艦対空ミサイル・システムと完全に統合されており、その射撃指揮も担当する。本級は、シルヴァーA50VLSとシルヴァーA43型VLSを16セルずつ搭載しており、ここに合計で32発のアスター艦対空ミサイルを収容する。シルヴァーA43型は、アスター艦対空ミサイルを収容できるものとしてはもっとも小型のモデルであり、短射程のアスター15のみを収容する。これはアメリカESSMにおおむね相当するもので、個艦防空および僚艦防空に使用できる。一方、シルヴァーA50は底が深く、より大型のブースターを装備して射程が長いアスター30の運用に対応する[1]

原型艦はソナーおよび対潜兵装を持たなかったことから、その設計を踏襲した本型でも、艦体装備ソナーは採用されていない。そのかわりに、EDO社製のモデル980 ALOFTS(Active Low Frequency Towed Sonar)曳航ソナーが装備されている。これはAN/SQS-35の曳航体を流用したアクティヴ・パッシヴ両用のVDS-TASSで、その名の通り、1.1キロヘルツないし1.7キロヘルツという超低周波帯に対応できる。音源音圧は220デシベルである。曳航ケーブルは基本的には200メートル長で、また曳航体の後方にはさらに100メートルのケーブルによって長さ60メートルの聴音アレイが曳航されている[5]対潜兵器としては、A244-S短魚雷用のB515 3連装魚雷発射管を2基、後檣直前の両舷に搭載しているが、ステルス性保持のため、非使用時はシャッター内に格納されている。またS-70B哨戒ヘリコプターを1機搭載している[1]

同型艦[編集]

1番艦はフランスのDCNロリアン工廠で建造されたが、2番艦以降はシンガポールS.B.アンドマリーン社によって国産化されている。

# 艦名 起工 進水 就役 備考
68 フォーミダブル
RSS Formidable
2002年
11月14日
2004年
1月7日
2007年
5月5日
令和元年の観艦式に参加するために、2019年10月に横須賀基地に寄港したが、令和元年台風第19号により観艦式は中止となった。
69 イントレピッド
RSS Intrepid
2003年
3月8日
2004年
7月3日
2008年
2月5日
2014年8月20日から8月25日にかけて海上自衛隊横須賀基地に寄港。
70 ステッドファスト
RSS Steadfast
2003年
11月15日
2005年
1月28日
2008年8月15日から8月20日にかけて海上自衛隊横須賀基地に寄港。
71 テネイシャス
RSS Tenacious
2004年
5月22日
2005年
7月15日
72 ストルワート
RSS Stalwart
2005年 2005年
12月9日
2009年
1月16日
2010年4月13日から4月16日にかけて海上自衛隊横須賀基地に寄港。
73 シュープリーム
RSS Supreme
2005年
5月17日
2006年
5月9日
2010年8月18日から8月24日にかけて海上自衛隊横須賀基地に寄港。

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 657-658. ISBN 978-1591149545. 
  2. ^ 「シンガポールの最新ステルス・フリゲイト 「ステッドファスト」初来日!」『世界の艦船』第698号、海人社、2008年11月、 1-5頁、 NAID 40016244388
  3. ^ a b naval-technology.com (2009年). “Formidable Class Multi-Mission Frigates, Singapore” (英語). 2009年7月20日閲覧。
  4. ^ タレス・エア・システムズ. “HERAKLES - Phased Array Multi Function Radar (PDF)” (英語). 2014年5月21日閲覧。
  5. ^ Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. p. 677. ISBN 9781557502629. http://books.google.co.jp/books?id=4S3h8j_NEmkC. 

関連項目[編集]