フォン (料理)

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フォンフランス語: fond または fonds)は、フランス料理において、主としてソースのベースに使われる出汁の一種[1]煮込みの煮汁のもととしても使用される[2]。語源はラテン語のfundus(基、底)であり、そこから古フランス語のfunzをへて現代のfondとなった説と、古フランス語のfonzまたはfonsをへて現代のfondsとなった説があるが、大半の人はfondとつづる[2]。18世紀の料理人、フランソワ・マラン (François Marin)がはじめてフォンを編み出したと考えられている[3]

フランス料理において代表的な出汁。子牛のすね肉など動物性の材料から引いたもの。これは狭義のフォンで、素材をそのまま煮た白いフォンと、一旦素材を焼いてから作る茶色いフォンが、そしてそれらをデンプンでつないだフォンがある(ただし、この分類も一例である)[4]。なお、広義にはマリネ液、したゆで用のクール・ブイヨンそして魚を使うものも含むが、通常魚のフォンはフュメと呼ぶ[4]。そして料理の基本という意味ではコンソメルージュレなども含む[4]

フォンの例[編集]

以下にフォンの例を示す。

  • フォン・ド・ヴォー fond de veau 「仔牛のフォン」の意。焼き色をつけてから煮出すと茶色になる[4]
  • フォン・ド・ヴォライユ fond de volaille 「鶏のフォン」の意。白いフォン[5]
  • フォン・ド・ポワソン fond de poisson 「魚のフォン」の意。フュメ[5]
  • フォン・ブリュンフォン・ブランとも表記する[1][6]) fond brun 「牛のフォン」の意[7]
  • フォン・ブラン fond blanc 「白いフォン」の意。子牛・鶏を用いる[1]
  • フォン・ド・ジビエ fond de gibier 「鹿、ウサギ、キジなどのフォン」の意。

脚注[編集]

  1. ^ a b c フォン 【fond(フランス)】”. コトバンク. 2013年10月26日閲覧。
  2. ^ a b 日仏料理協会 2007, p. 542
  3. ^ 日仏料理協会 2007, p. 650
  4. ^ a b c d 日仏料理協会 2007, p. 543
  5. ^ a b 日仏料理協会 2007, p. 544
  6. ^ fond brunの発音は[fɔ̃bʁɛ̃]であり、「フォン・ブラン」に近い。これに対し次項のfond blancは[fɔ̃blɑ̃]であり、フランス語としては容易に区別される発音であるが、日本語話者には同じ「フォン・ブラン」となってしまう。このため便宜的にfond brunを「フォン・ブリュン」と呼称する。brunの女性形bruneの発音は「ブリュン」である。
  7. ^ くさばよしみ『うまいぞ!料理人』より

参考文献[編集]

  • 日仏料理協会 編『フランス 食の事典(普及版)』株式会社白水社、2007年。ISBN 978-4-560-09202-6 
  • くさばよしみ『うまいぞ!料理人』フレーベル館、2012年。ISBN 978-4577023372