フェラーリ・512BB
512BBは、イタリアの自動車メーカーフェラーリが1976年から製造販売したスポーツカーである。1981年に512BBiにマイナーチェンジされ、1984年テスタロッサに引き継がれた。現行当時はフェラーリ生産車のフラグシップであり、日本国内でデビューした当時はスーパーカーブーム絶頂期で、ランボルギーニ・カウンタックと並び、当時の少年達に最も人気が高い自動車の一つとなった。
512BB[編集]
概要[編集]
フェラーリ・512BB | |
---|---|
![]() 512BB | |
![]() 512BBのエンジン | |
概要 | |
製造国 |
![]() |
販売期間 | 1976年 - 1981年 |
ボディ | |
乗車定員 | 2名 |
ボディタイプ | 2ドアクーペ |
駆動方式 | MR |
パワートレイン | |
エンジン | 4,942cc180度V型12気筒 |
最高出力 | 360hp/6,800rpm |
最大トルク | 46.0kgf·m/4,600rpm |
変速機 | 5速MT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 98.4in(2,500mm) |
全長 | 4,400mm |
全幅 | 1,830mm |
全高 | 1,120mm |
車両重量 | 3,084ポンド(1,515kg) |
系譜 | |
先代 | 365GT4BB |
後継 | 512BBi |
フェラーリ・365GT4BBからランボルギーニ・カウンタックと「公道世界最速」の称号を競いあっていたが、排気ガス規制が訪れて特にこの種の車両には深刻な問題となった。その対策としてフェラーリ・365GT4BBの排気量を約600ccアップし4,942ccとしたマイナーチェンジ版である。また多用されていたFRPやマグネシウムのパーツをコストダウンのためスチールやアルミニウムに置換し120kg近く重くなった[1]。それまでフェラーリの慣習として1気筒あたりの排気量を車両名としていたが、この車両のネーミングは排気量5リットルでシリンダー数12を意味している。BBとはベルリネッタ・ボクサー(Berlinetta Boxer )の略で、「2ドアクーペ」「ボクサー型エンジン」を意味するが、実際にはエンジンは180度V型である。929台が生産された。
エンジン[編集]
内径φ82mm×行程78mmで4,942cc、圧縮比9.2。4個のトリプル・チョーク・ウェーバーキャブレター付き。ドライサンプの12気筒DOHCをミッドシップに縦置きで搭載した。水平対向エンジンとされるが、厳密には180度のバンク角を持つV型である。排気量をアップすることで低回転域での扱いやすさを重視しており、公称最高出力は365GT4BBの380hp/7,200rpmから360hp/6,800pmへとダウンした。しかし公称最高速度は302km/hで変更ない。エンジン下部に2層構造で5速MTが組み込まれている。
シャシ[編集]
角型断面の剛管スペース・フレームに、サスペンションは前後ともウィシュボーンとコイルで後輪には4本のコニ製ショックアブソーバの組み合わせ。4輪ベンチレーテッドディスクブレーキを装備。
ボディ[編集]
ピニンファリーナとスカリエッティの共同作品による流麗かつ低いスタイルで、ボディは鉄とアルミにFRPで構成された。フロントスポイラーと側面にNACAダクトが追加された。前部ボンネットフードに後部のエンジンフードはカウル式で、各々車体中央から外側に向かって側面のフェンダー部分も含めて一体で開閉する。前部ボンネット内にはごく少量の荷物が収納できた。内装はこの時代としては豪華で、インパネやシートも本革仕様で2シーター。この時代のフェラーリは製造時期によって細かな仕様や部品が頻繁に変更されており、各車両によって機関や装備の仕様等が微妙に違う場合もある。英国向け等として右ハンドル仕様車も存在し、米国向け仕様は5マイルバンパーやサイドマーカー等、外観の仕様も微妙に異なる。
512BBi[編集]
512BBi | |
---|---|
![]() 512BBi | |
![]() 512BBiのエンジン | |
概要 | |
製造国 |
![]() |
販売期間 | 1981年 - 1984年 |
ボディ | |
乗車定員 | 2名 |
ボディタイプ | 2ドアクーペ |
駆動方式 | MR |
パワートレイン | |
エンジン | 4,942cc180度V型12気筒 |
最高出力 | 340hp/6,000rpm |
最大トルク | 46.0kgf·m/4,200rpm |
変速機 | 5速MT |
系譜 | |
先代 | 512BB |
後継 | テスタロッサ |
1981年にボッシュKジェトロニックインジェクションを搭載した512BBiへマイナーチェンジされ、規制への対応で有利になるとともにエンジン始動性等の点で扱いやすくなった。トルクは46.0kgm/4,200rpmを発揮していたが、最高出力は公称340hp/6,000rpmに低下した。公称最高速度は280km/h。1007台が生産された。
脚注[編集]
- ^ 『幻のスーパーカー』P144、福野礼一郎著、双葉社、1998年
フェラーリ ロードカータイムライン 1970年代-1990年代<- Previous Next -> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
タイプ | 1970年代 | 1980年代 | 1990年代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||||||||||||
FR | V12 | 365GTB/4 | 550マラネロ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2+2 | 365GTC/4 | 365GT/4・2+2 | 400 | 400i | 412 | 456 GT | 456M GT | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
MR | V6/V8 | ディーノ246 | 308 | 308QV | 328 | 348 | 348GTB/GTS | 360モデナ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
308 | F355 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2+2 | ディーノGT4 | モンディアル | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
V12 | 365GT4BB | 512BB | 512BBi | テスタロッサ | 512TR | F512M | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
スペチアーレ | 288GTO | F40 | F50 |