フィン・ウゴル系民族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
 フィン・ウゴル系民族
Lenguas finougrias.png
総人口
~26,505,000
居住地域
ロシアフィンランドハンガリーエストニアなど
ハンガリーの旗 ハンガリー 9,982,000
フィンランドの旗 フィンランド 4,948,400
ロシアの旗 ロシア 2,322,000
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2,288,100
ルーマニアの旗 ルーマニア 1,227,623
エストニアの旗 エストニア 936,000
スロバキアの旗 スロバキア 520,500
スウェーデンの旗 スウェーデン 507,600
カナダの旗 カナダ ~450,000
セルビアの旗 セルビア 253,899
ウクライナの旗 ウクライナ 156,600
ノルウェーの旗 ノルウェー 60,000–100,000
言語
ウラル語族フィン・ウゴル語派(母語)
関連する民族
サモエード人
サーミ人男性とサーミの伝統的なテント

フィン・ウゴル系民族(フィン・ウゴルけいみんぞく、Finno-Ugric peoples)とはウラル語族フィン・ウゴル語派言語を話す民族の総称である。

分類[編集]

フィン系

ウゴル系

生活[編集]

フィン・ウゴル系民族は、ユーラシア北方の針葉樹林またはツンドラ地帯において狩猟採集トナカイ遊牧を生業にする民族が多い。テュルク系バシキール人)などの遺伝子を持つマジャール人のように騎馬遊牧民族もあった。フィンランドハンガリーの住民は現在は文明化されている。

言語[編集]

ウラル語族フィン・ウゴル語派に属す。

形質[編集]

フィン・ウゴル系民族はモンゴロイドコーカソイドの混合人種に属す。東(ハンティ人マンシ人)はモンゴロイドの要素が濃く、西(フィン人エストニア人)はほとんどコーカソイドであり、北欧ゲルマン系の人々と区別し難い。またマジャール人はウラル山脈から西進する間に、各種族と著しい混血を経ているため、形質的に周辺諸民族とは区別はできない。

遺伝子[編集]

ウラル系諸族に関連する遺伝子としてY染色体ハプログループN1系統があげられる。特に、フィン・ウゴル系民族と関連するのはN1a1系統である(N1a2がサモエード系に多い)。

ハプログループN1は東アジア発祥と考えられ[1]、ほとんどのウラル系民族で高頻度に観察される。中国北東部の遼河文明時代の人骨からN1系統が60%以上の高頻度で検出されており[2]、フィン・ウゴル系民族と関連する櫛目文土器の最古のものが遼河地域の興隆窪文化(紀元前6200年-紀元前5400年)の遺跡で発見されていることから、ウラル系民族はもともと遼河文明の担い手集団であったのかもしれない。

またmtDNAハプログループZは極北地域を中心にサーミ人フィン人、シベリア、北東アジア、中央アジア、朝鮮、日本などで観察されており[3]、Y染色体ハプログループN1と同じような流れが想定され、ウラル語族の拡散との関連を示唆するものと考えられる。

ヘルシンキ大学法医学部は、北ユーラシアのフィン・ウゴル語系に対する集団遺伝学の研究を2002年から2008年にかけて実施した。その結果、フィン・ウゴル語系集団のほとんどが、西ユーラシアおよび東ユーラシアの遺伝子プール、遺伝的浮動、連続創始者効果の混合を有していることが明らかになった。北ユーラシアのフィン・ウゴル語系集団は南の集団よりも遺伝的に下のハプロタイプの多様性を示す異種群であることが判明した。北ユーラシアのフィン・ウゴル語系集団には、分子集団遺伝および北ユーラシアの北方、北極の領域への順応によって形作られた複雑な遺伝的変化により、固有の遺伝子的特徴がある[4]

脚注[編集]

  1. ^ Roosti et al.(2004)Phylogeography of Y-chromosome haplogroup I reveals distinct domains of prehistric gene flow n Europe. Am.J.Hum.Genet.75:128-137
  2. ^ Yinqiu Cui, Hongjie Li, Chao Ning, Ye Zhang, Lu Chen, Xin Zhao, Erika Hagelberg and Hui Zhou (2013)"Y Chromosome analysis of prehistoric human populations in the West Liao River Valley, Northeast China. " BMC 13:216
  3. ^ 篠田謙一 (2007)『日本人になった祖先たち - DNAから解明するその多元的構造』 日本放送出版協会 P126
  4. ^ Ville Nikolai Pimenoff[1]