フィリックス・ザ・キャット

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フィリックス・ザ・キャット
Felix the Cat
『フィリックスと金の鵞鳥』(1936年)
初登場 『Feline Follies』(1919年11月9日)
作者 オットー・メスマー
パット・サリバン
詳細情報
種族 ネコ
性別
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フィリックス英語: Felix the Catフィリックス・ザ・キャット)は、黒猫をモチーフにしたアメリカ漫画アニメーションキャラクターである。1919年に生み出された。

日本では、戦前は主に「フェリックス」と呼ばれ、また1960年代前半には雑誌『家庭全科』(国際情報社刊)で「黒猫フェリックス」(ジョー・オリオ英語版作)の題で連載されていたが、一般に日本語読みはフィリックスである。

歴史[編集]

笑うフィリックス(オットー・メスマー英語版原画による初期のもの)

名前の由来は「フェリシアス」(ラテン語由来、幸運の意味)と「フェーリス」(同、猫の意味)より。漫画家アニメーターであるオットー・メスマー英語版が創作し、1919年に、オーストラリア出身で渡米後に映画プロデューサーになったパット・サリバン英語版により『Feline Follies英語版』というタイトルでアニメーション化され劇場に登場した。数分程度の短い白黒サイレントアニメーションであり[1]、初期のものは、体型は普通の猫に近く、フィリックスという名前もなかった。しかしすぐに大きな目、2本脚で歩く特徴的なキャラクターとなり、フィリックスの名が付けられ子供から大人まで広く人気を呼び、続編が多数(約150本)製作された。大リーグ球団ニューヨーク・ヤンキースの公式キャラクターとなったりVFA-31(アメリカ海軍航空隊)のマークに用いられた。アメリカ国外でも知られ、日本の漫画家田河水泡は、『のらくろ』のキャラクター創造のヒントがフィリックスであった旨を晩年のラジオ番組で明らかにしている[2]

フィリックスを部隊マーキング等に用いるVFA-31(アメリカ海軍航空隊)のロゴ

しかしサリバンの死によってフィリックスの版権は混乱、贋作アニメや無許可商品が粗製乱造された。またトーキーをいち早く導入したマックス・フライシャーの、ソング・カー・テューンズや、ウォルト・ディズニーミッキーマウスの登場にもかかわらずサイレント作品に固執したことも一因となり、フィリックスの人気は凋落。わずかにメスマーが新聞に細々と連載を続けるのみとなった。

フィリックスの人気がよみがえるのは第二次世界大戦後である。メスマーの助手を務めていたジョー・オリオロの手になるリニューアルによるもので、ほっそりした体型と2本の長い脚ですっくと立つ、現在広く知られるスタイルに生まれ変わった。同時に脇役も多種多様な顔ぶれがそろった。アメリカでの人気も高いが、世界各国でも、この新しいフィリックスが広く知られるようになった。これは、1958年にカラーでテレビアニメ化されて各国で放送されたことにもよる。日本でも、白黒放送ではあるが1960年にNHKテレビで、1963年にはフジテレビで放送され人気を呼んだほか、雑誌『家庭全科』にジョー・オリオロ筆の4コマ(時には3コマ)漫画が掲載され、当作のキャラクターを起用したガム「フィリックスフーセンガム」が発売された。その後も人気は衰えず、日本でも1980年代には女性雑誌やテレビコマーシャルのキャラクターなどに採用されて、21世紀に入っても親しまれている。

2014年ドリームワークス・アニメーションが当作の版権を取得した[3]

新しいフィリックス[編集]

ジョー・オリオロはオットー・メスマーの創作したフィリックスの容姿を変えたが、それだけではなく、特にテレビ版においては多彩な脇役を配し、魔法の黄色いかばん(トリック・バッグ、Magic Bag または Bag of Tricks)を持たせて活躍させるなど、新たな世界を開拓した。黄色いかばんはフィリックスの思いのまま、どんな物にでもなって用を弁ずる万能の小道具であり、『ドラえもん』の四次元ポケットとの共通点が多く、漫画評論家の米澤嘉博も『ドラえもん』の発想の原型のひとつとして、フィリックスを上げている[4]。またフィリックスは正義感が強く、銀行強盗や破壊行為などの悪事を企てたり、黄色いかばんを奪おうとする大博士(だいはかせ)とロックのコンビを相手に、一時は負けそうになりながら最後にはフィリックスが勝利を収める勧善懲悪的な話が主であるが、それだけでなく、豆博士(まめはかせ)との絡みやテレビ人間との丁々発止、あるいはフィリックスの日常生活を題材にした話もあり、多様な展開を見せる。4コマ漫画版では黄色いかばんや悪役は登場せず、もっぱらメスの白猫キティとフィリックスのやり取りが中心になっていた。一人称は作品や声優によって異なっており、「僕」もしくは「俺」が主である。

1997年平成9年)から衛星アニメ劇場で放送されたアニメ版『フィリックス』はサイケデリック色が強い。フィリックスの他にも、ロスコ、キャンディ、シェバなどのキャラクターが存在する。

1990年代に創美出版からVHSが、2001年にイーストウエストジャパンからDVDが発売された。

登場キャラクター[編集]

(参考:[5]

フィリックス・ザ・キャット(フィリックス)
- 三井淳子菅谷政子(NHK版)、日髙のり子(VHS、ダイハツのCM)、矢薙直樹(DVD)、堀絢子(劇場版)、中尾隆聖(1997年版)、浅野まゆみ(OVA)
原作表記はFelix the Cat。正義感が強く、怖いもの知らずで冒険好き。エピソード毎に探偵、保安官(アメリカの西部時代を描いたエピソード)、花屋、銀行員、トレジャーハンター、さらにはプロフェッサーの甥であるポインデクスターのベビーシッターなど様々な仕事をしている。宝物であるトリック・バッグ(魔法の黄色いかばん)はフィリックスの思い通りに潜水艦や飛行機などに変化する上、フィリックスにしか使いこなすことができない。
プロフェッサー(大博士)
声 - 永井一郎(VHS)、北村弘一(DVD)、大木民夫(劇場版)、高木渉(OVA)
原作表記はProfessor。頭頂部が禿げた白髪白髯で小柄な老人。名前どおり科学者で、いろいろな武器や道具を発明して悪事を働き、またフィリックスの黄色いかばんを奪い取ろうとする。得意の変装でフィリックスを騙すこともある。ポインデクスターのおじでもある。基本的にフィリックスとは仲が悪いが、自分の研究室でポインデクスターにイタズラされることを恐れ、ベビーシッターとして彼を雇うこともある。
ポインデクスター(豆博士)
声 - 小幡昭子(NHK版)、かないみか(VHS)、山門久美(DVD)、千葉繁(劇場版)、水田わさび(OVA)
原作表記はPoindexter。子供ながらにIQ222の天才科学者で、プロフェッサーの甥っ子。フィリックスと仲がよい。善人ではあるが研究熱心なあまり、結果的に悪人に手を貸すこともある。登場回数は多くない。シリーズによってはプロフェッサーとともにフィリックスの黄色いかばんを奪うのを手伝うこともある。
ロック・ボトム(ロック)
声 - 大宮悌二(NHK版)、大塚明夫(VHS)、鈴木正和 (DVD)、松井範雄(OVA)
原作表記はRock Bottom。ブルドッグのような犬を擬人化した巨漢の悪人。プロフェッサーの手下になって悪いことをする。フィリックスの家の隣に住んでいるエピソードも存在する。
ヴァヴーム(バブーン)
「爆弾小僧」や「爆弾くん」とされることもある。原作表記はVavoom。フード付きの服を着た年齢不詳のエスキモー(イヌイット)男性。小柄で「ヴァヴーム!」と大声を上げるのみだが、その声は巨岩やコンクリート壁を吹き飛ばす程の威力がある。ダイヤモンドを食べても平気な胃袋の持ち主。「バブーン」と呼ばれる場合もある。
マスター・シリンダー(テレビ人間)
声 - 相模太郎(NHK版)、飯塚昭三(VHS)、楠見尚己(DVD)
原作表記はMaster Cylinder。太い金属製筒型の胴体に機械の腕が付き、顔はテレビ画面になっており、そこに目鼻口があり、言葉を発する。月に我が家を構え、火星から地球侵略を企てており、ポインデクスターに新発明品を作らせるために誘拐することもある。かつてはプロフェッサーの手下であったが、今では誰もマスター・シリンダーを制御することができない。
クラング将軍(タコ将軍)
声 - 仲木隆司 (VHS)、清水敏孝 (DVD)
タコ擬人化したキャラクター。マスター・シリンダーの部下として地球侵略の手伝いをする。
マーティン
火星人。フィリックスやポインデクスターの仲間で、「四次元宇宙カプセル」を使い宇宙空間をワープすることができる。
ブラーニ
妖精レプリカーンの王様。レプリカーンの国の財宝をプロフェッサーたちに狙われるため、フィリックスに助けを求めることがある。
キティー・キャット(キティー)
公式サイトの英語表記はKitty Kat。短編映画時代のフィリックスのガールフレンド。以後のアニメにはしばらくの間登場しなかったものの、現在は公式キャラクターの1人に加えられて『ベイビーフィリックス』等に登場している。社交的な性格で友人思い。
インキーとウィンキー
フィリックスの甥っ子である双子の兄弟。それぞれ青(インキー)と赤(ウィンキー)の帽子とパンツを身に着けている。好奇心旺盛でわんぱくなため、イタズラでフィリックスを困らせることもある。
スキドゥー
フィリックスと付かず離れずの関係のねずみ。

日本における歴史[編集]

また、1970〜80年代においてサンリオがフィリックスのキャラクター版権を所持していた時期も存在しサンリオキャラクター総選挙にもフィリックスの姿が存在していた。

主なフィルモグラフィ[編集]

『フェリックスと春の嵐』、フィリックスとウィンキーとインキー(1930年)
The Goose That Laid the Golden Egg(1936年)

関連項目[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ トーキーすなわち有声映画の登場は1923年以降。カラー映画の登場は1920年代後半。
  2. ^ ヒストリーチャンネル 『フィリックス・ザ・キャットの真実』 2009年初放送
  3. ^ McNary, Dave (2014年6月17日). “DreamWorks Animation Buys Felix the Cat”. Variety. 2021年11月14日閲覧。
  4. ^ 『藤子不二雄論』河出書房新社 P223
  5. ^ FELIX THE CAT フィリックス・ザ・キャット - ウェイバックマシン(2016年8月28日アーカイブ分)

参考資料[編集]

外部リンク[編集]

フジテレビ 月〜土18:55 - 19:00 明治乳業一社提供
前番組 番組名 次番組
とびだせフィリックス
(第1期)
(1963年1月〜11月)
マイティ・ハーキュリー
(第1期)
とびだせフィリックス
(第2期)
(1964年8月〜1965年6月)
マイティ・ハーキュリー
(第2期)
シンドバッドの冒険
(第2期)
とびだせフィリックス
(第3期)
(1967年4月〜12月)
シンドバッドの冒険
(第3期)