Fastly

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Fastly, Inc.
URL www.fastly.com ウィキデータを編集
種類 公開会社
上場情報
設立 2011年3月 (13年前) (2011-03)
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ
設立者 Artur Bergman
主要人物 Joshua Bixby（CEO）
業種 インターネット
サービス
収益 増加 2億ドル[1]
従業員数 1,000

Fastly（ファストリー）は、アメリカ合衆国のクラウドコンピューティングサービスプロバイダである。Fastlyは自身のネットワークについて、開発者がコアクラウドインフラストラクチャをネットワークのエッジ、つまりユーザにより近い場所まで拡張することを助けるために設計されたエッジクラウドプラットフォームであると説明している[2]。Fastly edge cloud platformには、コンテンツデリバリーネットワーク、画像の最適化、ビデオとストリーミング、クラウドセキュリティ、負荷分散などのサービスがある[3]。Fastlyクラウドセキュリティのサービスには、DoS攻撃からの保護、ボットへの対処、Webアプリケーションファイアウォールなどがある[4]。Fastly web application firewallは、Open Web Application Security Project（英語版） ModSecurity（英語版） Core Rule Setと独自のルールセットを利用している。

Fastlyのプラットフォームは、Varnish上に構築されている[5]。

歴史[編集]

Fastlyは2011年3月にWikiaの元CTOのArthur Bergmanによって設立された[6]。2013年6月にシリーズBの資金調達で1000万ドルを調達した[7]。2014年4月、FastlyはHerokuのCDNアドオンであるCDN Sumoを買収したと発表した[8]。2014年9月にはシリーズCの資金調達でさらに4000万ドルを調達し[9]、続いて2015年8月に7500万ドルのシリーズDラウンドの資金調達を行った[10]。

2015年9月、Googleはユーザーにサービスの提供を行うために、Fastlyや他のCDNプロバイダーとパートナーシップを結んだ[11]。2017年4月、Fastlyはエッジクラウドプラットフォームの立ち上げを発表し、同時に画像の最適化、負荷分散、Webアプリケーションファイアウォール（英語版）の提供を発表した[12][13]。

また、2017年4月に5000万ドル[14]、2018年8月に4000万ドルの資金調達[15]を受けている。2019年4月に新規株式公開（IPO）を行い、同年5月17日にNYSEに上場した[16][17]。2020年8月には、サイバーセキュリティ企業のSignal Science社を7億7500万ドルで買収することを発表した[18]。

オペレーション[編集]

FastlyのCDNサービスは、サイト固有のファイルを保存する'cdn.mydomain.com'のようなアドレスを提供する代わりに、すべてのウェブサイトトラフィックをFastlyのサーバ経由でルーティングするリバースプロキシモデルに従っている。その後、世界中の約60箇所のうち、リクエストユーザの位置に一番近いPoint of presence（英語版）からコンテンツを取得する[19]。月額50USドルの最低料金が適用される従量課金制サービスとして価格設定されており、帯域幅は地域に応じた料金で課金される[20]。コンテンツはFastlyのサービスに直接アップロードされるのではなく、エンドユーザがコンテンツにアクセスするのに必要な時間を削減するために、オリジンサーバやキャッシュサーバから定期的にプルされる仕組みになっている[21]。

FastlyはHTTP/3プロトコルベースのUDP、DRM有効化コンテンツ、メディアアクセスを制限するための暗号化とセキュアトークンなどをサポートしている[20]。

2021年6月8日18時50分頃にFastlyはCDNに障害が発生したことを報告した[22]。これにより、Reddit、gov.uk、Twitch、Spotify、Amazonなどの多数の主要なウェブサイトや、主要なニュースサイトのニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、CNN、BBCが利用できなくなった[22]。その他にも、日本経済新聞社、読売新聞社、メルカリ、フィナンシャル・タイムズ（FT）、日本の政府系サイト、楽天グループのウェブサイトなどのサイトも一時的に閲覧できなくなった[23][24]。パーセル・ヒーローの消費者調査部門の責任者、デビッド・ジンクスは、世界中の小売業に与えた損失を約1500億円であると試算している[24]。影響を受けた技術系ニュースサイトのThe Vergeは、Googleドキュメントを利用して進行中の障害について報告するという対処を行った[25]。この障害は、主要なウェブサイトの特定の機能にも影響を与え、たとえば、Twitterが使用している絵文字のホスティングサーバへの影響により絵文字が使えなくなった[26]。Fastlyは停止の原因を特定のユーザの設定によって引き起こされたソフトウェアのバグであると説明している[27]。

出典[編集]

  1. ^ “Fastly Revenue 2018-2021 - FSLY”. macrotrends. 2021年5月25日閲覧。
  2. ^ “How The New York Times Handled Unprecedented Election-Night Traffic Spike”. DataCenter Knowledge (2017年4月18日). 2021年6月13日閲覧。
  3. ^ Kepes, Ben (2017年4月18日). “In the need for speed, Fastly goes all the way to the edge”. Computerworld. 2017年10月10日閲覧。
  4. ^ “Discontent and disruption in the world of content delivery networks”. TechCrunch. 2021年6月13日閲覧。
  5. ^ “The benefits of using Varnish”. Fastly.com. 2020年12月23日閲覧。
  6. ^ Novet, Jordan (2014年9月16日). “Fastly grabs $40M on its quest to build a big, cool content-delivery network”. VentureBeat. 2020年12月23日閲覧。
  7. ^ “Fastly Raises $10M for Content Delivery Network Built for Mobile, Real-Time World”. TechCrunch (2013年6月6日). 2020年12月23日閲覧。
  8. ^ Richards, Ryan (2014年4月16日). “Ruby on Rails on Fastly”. www.fastly.com. 2020年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月23日閲覧。
  9. ^ Miller, Ron (2014年9月16日). “Fastly Growing Quickly Snags $40M As VCs Give Generously”. TechCrunch. 2020年12月23日閲覧。
  10. ^ Lardinois, Frederic (2015年8月5日). “Fastly Raises $75M For Its Real-Time CDN”. TechCrunch. 2020年12月23日閲覧。
  11. ^ “Google Partners With CloudFlare, Fastly, Level 3 And Highwinds To Help Developers Push Google Cloud Content To Users Faster”. TechCrunch. 2021年6月13日閲覧。
  12. ^ Kepes, Ben (2017年4月18日). “In the need for speed, Fastly goes all the way to the edge”. Computerworld. 2017年10月10日閲覧。
  13. ^ “Fastly Releases Edge Cloud Platform”. Bizty. 2021年6月13日閲覧。
  14. ^ “Fastly raises another $50 million for its content delivery networking technology”. TechCrunch. 2020年12月23日閲覧。
  15. ^ Dillet, Romain (2018年7月17日). “Fastly raises another $40 million before an IPO”. TechCrunch. 2020年12月23日閲覧。
  16. ^ Shieber, Jonathan (2019年4月20日). “Fastly, the content delivery network, files for an IPO”. TechCrunch. 2020年12月23日閲覧。
  17. ^ Novet, Jordan (2019年5月17日). “Fastly shares rocket as much as 60% in IPO debut”. CNBC. 2020年12月23日閲覧。
  18. ^ Shieber, Jonathan (2020年8月27日). “LA gets a big SaaS exit as Fastly nabs the Culver City-based Signal Sciences for $775M”. TechCrunch. 2020年12月23日閲覧。
  19. ^ “Fastly network map”. Fastly website (2021年3月31日). 2021年6月9日閲覧。
  20. ^ a b Williams, Mike (2021年2月15日). “Fastly review”. TechRadar Pro. 2021年6月13日閲覧。
  21. ^ “How Fastly's CDN Service works”. Fastly documentation (2018年4月24日). 2021年6月9日閲覧。
  22. ^ a b “Twitch, Pinterest, Reddit and more go down in Fastly CDN outage” (英語). TechCrunch. 2021年6月8日閲覧。
  23. ^ “世界のサイトで大規模障害　NYタイムズや日経電子版 順次復旧、コンテンツ配信サービスのfastlyが原因”. 日経電子版 (2021年6月8日). 2021年6月9日閲覧。
  24. ^ a b “大規模システム障害、世界数千件に影響 1500億円損失も”. 日経電子版 (2021年6月9日). 2021年6月9日閲覧。
  25. ^ “Vast chunks of the internet are offline, including The Verge.” (英語). Twitter. 2021年6月8日閲覧。
  26. ^ “Massive internet outage hits websites including Amazon, gov.uk and Guardian” (英語). the Guardian (2021年6月8日). 2021年6月8日閲覧。
  27. ^ Rockwell, Nick (2021年6月8日). “Summary of June 8 outage” (英語). www.fastly.com. 2021年6月9日閲覧。

外部リンク[編集]

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