ピエール・グルー

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ピエール・グルー(Pierre Gourou、1900年8月31日 - 1999年5月13日)は、フランス熱帯地理学者ブリュッセル自由大学 (ULB) 理学部の名誉教授。1947年から1970年まで、ブリュッセル自由大学在職のまま、コレージュ・ド・フランスにおける熱帯世界研究講座の代表者も務めた[1]1961年には、エミール・バンヴェニストクロード・レヴィ=ストロースとともに、『L'Homme, revue française d'anthropologie』を創刊した[2]

概要[編集]

グルーは、インドシナ半島の専門家であり、特に紅河デルタ(トンキン・デルタ)について研究を行った。

大学で地理学を学んだ後、1926年から1935年まで、当時フランス領インドシナの拠点であったハノイに滞在し、リセの教員をしながら、フィールドワークに従事した。1936年には、その成果をまとめた博士論文「トンキンデルタの農民」をパリ大学(第4大学=パリ・ソルボンヌ)に提出し、学位を得た[3]

1936年ブリュッセル自由大学教授となり、その後、モンペリエ大学ボルドー大学でも教鞭を執った[3]1940年には、フランス政府から派遣されてセネガルへ赴き、その後の熱帯地域への関心を決定づけたとされる[1]

グルーは、ポール・ヴィダル・ドゥ・ラ・ブラーシュの系譜を引く人文地理学者であり、熱帯地方の実証研究にたずさわりながら、広く人文地理学全般に関わる論点を提起し、地理学や隣接分野の研究者に影響力をもった[4]

1984年には、イギリス王立地理学会から金メダル(パトロンズ・メダル)を受賞した[5]

おもな業績[編集]

  • Le Tonkin, Paris, Exposition coloniale internationale, 1931. - 『トンキン地方』
  • Les paysans du delta tonkinois, Paris, EFEO, 1936. - 『トンキンデルタの農民』
    • 日本語による部分訳:内藤莞爾・訳『仏印の村落と農民 上巻』生活社(東亜研究叢書 第22巻)、1945年
    • 日本語訳:村野勉・訳『トンキン・デルタの農民―人文地理学的研究』丸善プラネット、2014年
  • Esquisse d’une étude de l’habitation annamite dans l’Annam septentrional et central, Paris, EFEO, 1936. - 『北部および中部アンナンにおけるアンナン民家の研究粗描』
  • L’utilisation du sol en Indochine française, Paris, Centre d’études de politique étrangère, 1940. - 『フランス領インドシナにおける土地利用』
  • La terre et les hommes en Extrême-Orient, Paris, Flammarion, 1940 - 『極東における土地と人間』 その後、1972年に新版
  • L’avenir de l’Indochine, Paris, Centre d’études de politique étrangère, 1947.
  • Les pays tropicaux. Principes d’une géographie humaine et économique, Paris, PUF, 1947. - 『熱帯諸国』
  • L’Asie, Paris, Hachette, 1953. - 『アジア』その後、1971年に新版
  • La densité de population au Congo belge, Bruxelles, Académie royale des sciences coloniales, 1955. - 『ベルギー領コンゴの農村人口密度』
  • L’Afrique, Paris, Hachette, 1970. - 『アフリカ』
  • Leçons de géographie tropicale, Paris, Mouton, 1971. Recueil de leçons données au Collège de France de 1947 à 1970. - フェルナン・ブローデルによる序言つき
  • Pour une géographie humaine, Paris, Flammarion, 1973. - 『人文地理学のために』
  • L’Amérique tropicale et australe, Paris, Hachette, 1976. - 『熱帯および南アメリカ』
  • Terres de bonne espérance. Le monde tropical, Paris, Plon, « Terre humaine », 1982. - 『大いなる希望の土地 -熱帯世界-』
  • Riz et civilisation, Paris, Fayard, 1984.
  • L’Afrique tropicale, nain ou géant agricole ?, Paris, Flammarion, 1991.

脚注[編集]

  1. ^ a b 西村 1984, p. 91
  2. ^ NICOLAI H. (dir), PELISSIER P., RAISON J.-P., 2000, Un géographe dans son siècle, actualité de Pierre Gourou, Paris, Karthala aperçu disponible sur le site Google Livres
  3. ^ a b 西村 1984, p. 90
  4. ^ 西村 1984, pp. 93-94
  5. ^ Medals and Awards, Gold Medal Recipients (PDF)”. Royal Geographical Society. 2014年4月23日閲覧。
  • 西村孝彦「地理学と文明 : ピエール・グルーの地理学観」『金沢大学文学部地理学報告』第1号、金沢大学、1984年3月29日、 89-113頁。 NAID 110004812211

参考文献[編集]

  • Michel Bruneau, « Pierre Gourou 1900-1999, Géographie et civilisations », L’Homme, 153 / 2000, 7-26 disponible sur Les Éditions de l'EHESS