ビッグX

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ビッグX』(ビッグエックス)は、1963年から1966年まで『少年ブック』に連載された手塚治虫漫画作品、およびそれを原作とするテレビアニメである。また「ビッグX」は、薬品またはエネルギーの名称であると共に、それにより変身した主人公を指す場合もある。

あらすじ[編集]

ナチス同盟編(プロローグ~第9章)[編集]

第二次世界大戦時、無敵の軍隊を作ろうともくろむナチス・ドイツの下で、生物を鋼鉄のように強靭でしかも巨大化させる薬品「ビッグX」の開発を行っていた日本人の朝雲(あさぐも)博士とドイツ人のエンゲル博士は、「ビッグX」の軍事利用を恐れ、その秘密を守るために「ビッグX」の製法を記したカードを朝雲の息子のしげるの体内に埋込んだ。両博士は射殺され、ビッグXの研究書類は全て焼き捨てられた。20年後、朝雲博士の孫・昭は、「ビッグX」の製法を狙うエンゲル博士の孫のハンス・エンゲル率いる秘密結社「ナチス同盟」に襲撃され、父・しげるを殺されてしまう。翌年、しげるの親友・花丸博士との協力で「ビッグX」を完成させた昭は、自ら「ビッグX」で巨大化してナチス同盟に立ち向うのだった。

クロス党編(第10章~第14章)[編集]

ナチス同盟を壊滅させた昭とニーナは、ビッグXで巨大化させたハゲタカに乗って日本へ帰ろうとするが、ハンスの攻撃により密林地帯に不時着してしまう。昭たちを襲撃したのは、世界的なネオナチ系秘密結社「クロス党」だった。全世界に核戦争を起こして人類を滅亡させ、自分たちは放射能が薄くなるまで宇宙に移住しようという陰謀を知った昭は、人類滅亡の引き金となるアメリカ合衆国へと向かう。

ガレア共和国編(第15章~第18章)[編集]

クロス党を滅亡させ、国連にその功績をたたえられた昭とニーナは特務レンジャーの称号を与えられる。ある日昭とニーナは国連からの依頼で、50年来の寒波に襲われたガレア共和国へと向かい、主要作物のジャガイモをビッグXで大きくすることで食糧問題を解決しようとする。しかし、その巨大化したジャガイモを漂着した宇宙生物が乗っ取り、巨大な植物怪獣「キング・ガレア」が誕生してしまう。キング・ガレアはガレア共和国の秘密地下要塞「じねずみ」を制圧し、兵を奴隷化して人類に降伏を勧告する。ニーナを人質に取られてしまった昭は、キング・ガレアを倒すべくハンスと協力を打診するのだが…

月世界編(第19章・第20章)[編集]

国連科学財団のモル・タル博士は、月ロケット「アルテミス」を開発した。国連は勇敢な宇宙飛行士5名を月に送ろうとしたのだが、地球の機密を盗むスパイが紛れ込んでいるのだ、とモル博士は昭に告げる。昭とニーナは宇宙飛行士たちの護衛兼スパイの発見を名目に「アルテミス」に乗船、人類初の月着陸[1]を成功させようとする。途中、「アルテミス」に隕石が衝突し、昭はビッグXの力でこれを除去するが体が重くなりすぎてロケットの外壁から滑り落ちてしまう。月面に叩き付けられた昭の前に姿を現したのは、ハボス星で800年前に作られたと自称するアンドロイドカグアだった…。

ミクロX編(第21章~最終回)[編集]

朝雲科学研究所にが落ちた。開発中のビッグXに落ちた雷はその成分を変質させ、生物の細胞を拡大ではなく縮小させる「ミクロX」に変えてしまった。昭は花丸博士にこのことを報告しようとするが、謎の男に襲われてユー・ユーと名乗る男に捕えられ、挙句薬を注射されて小さくされてしまう。ユー・ユーは化学者の蟻田博士を脅迫してミクロXを作らせ、最強の化学兵器として南北での戦争を続けるアブラム共和国に売りつけようとする。戦争の兵器として作られたビッグXを、またも戦場で使わせるわけにはいかない。身体が元の大きさに戻った昭は、蟻田博士に協力しアブラム共和国でのミクロXの使用を阻止しようとする。

アニメ版[編集]

ビッグX
ジャンル テレビアニメ
放送時間 月曜19:00 - 19:30(30分)
放送期間 1964年8月3日 - 1965年9月27日(59回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 TBS東京ムービー
演出 朝岡隆志ほか
原作 手塚治虫
脚本 角田次朗ほか
出演者 太田淑子
島田彰
永井一郎
白石冬美
山本圭子ほか
オープニング 「ビッグX」(上高田小学校)
エンディング 同上

特記事項:
花王石鹸(現:花王)一社提供
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1964年8月3日 - 1965年9月27日TBS系で放映された。東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)の初制作作品である。またTBSでは『エイトマン』に次ぐ国産アニメにして、初の19時枠での放送である。

花王石鹸(現・花王)一社提供(国産アニメでは唯一)でオープニングのラストでは、宇宙空間に浮かぶ花王石鹸の商標「月のマーク」に腰掛ける朝雲昭(声:太田淑子)が映され、昭が「この番組を提供するのは、僕の大好きな月のマークの花王石鹸です。」とコメントすると、画面が「提供(月のマーク)花王石鹸」と描かれた提供クレジットに変わる。

当初、ピー・プロダクションに企画が持ち込まれたが、既に制作中のテレビアニメ「0戦はやと」などで手一杯だったため、社内の反対で話が流れた[2]。このため、TBSでテレビの人形劇を制作していた藤岡豊に、アニメの制作プロダクション設立を促し、藤岡は間借りしたTBS社屋の4階で『ビッグX』を制作した。このとき設立された東京ムービーは、『ビッグX』制作のためのプロダクションであり、会社登記も第1話放送後であった[3]

1966年、実写作品はこの『ビッグX』と『マグマ大使』が候補に上がったが結果的には『マグマ大使』が実写特撮ドラマ化された。

原作では、主人公の朝雲昭はビッグXの薬液をシャープペンシル[4]の注射器で自ら打って、後に経口薬により変身。アニメ版でのビッグXはシャープペンシル型の装置から出る光線状のエネルギーで、それを昭が胸に当てて、目盛1で鋼鉄の体に、目盛2で20倍の巨体に変身するという設定である。

少年ブック連載の漫画版では、ビッグX(朝雲昭)は、超能力少女ニーナらと共にナチス同盟と戦う連続物語となっていたが、アニメ版は1話完結で、多くはナチス同盟と無関係の敵と戦う話になっている。また宿敵ハンスは、原作では中盤よりナチス同盟の兵器であるロボット・V3号に酷似したロボット(頭部の形状、カラーリングは異なる)に脳を移し変えるのだが、アニメ版は最後の最後まで人間であり、特に最終回では、科学者である実妹のイリーナの制止を振り切って、専用円盤でビッグXと戦い、最後は「俺は遂に降伏しなかった」と叫んで円盤と自爆して果て、墓に埋められる最後だった。

2006年より第1話及び40話 - 最終話(第59話)まで収録したDVD-BOXが発売されたが、第2話 - 39話までは未収録。その理由はフィルムの紛失が原因とされている。

なお、これより前に発売された「東京ムービーアニメ主題歌大全集 第1巻」(ビデオソフト、LD)では、第2期エンディング及び第41話「雪男の泉」の予告編はそのまま収録されているが、オープニングは1999年に発売されたビデオソフト&LD用に作られた、本編の再編集版が収録されており、提供クレジットシーンは無い。オリジナルオープニング及び第1期エンディングは、DVD版まで待たなければならなかった。

2013年7月9日には、NHK BSプレミアムの『手塚治虫×石ノ森章太郎 TV作品 初回・最終回大集合!』の一環として、第1話と最終回が放送、EDは双方ともオリジナル版だったが、OPは、第1話はオリジナル版であるものの提供コメントシーンは抜き、最終回は「再編集版」だった。

スタッフ[編集]

  • 原作:手塚治虫
  • 脚本:角田次朗、村野守美、広瀬正、山野浩一、山本グループ ほか
  • 演出・絵コンテ:朝岡隆志、清水浩二、岡本光輝、出崎統、木下蓮三 ほか
  • 動画監督:浜本征三
  • 作画:鈴木英二、木下蓮三、堀口忠彦、井上晴美、中村やすお、小鷹文雄、藤井達朗、橋本吉雄、谷口守泰ほか
  • 美術:半藤克美、椋尾篁ほか
  • 背景:大塚綾子ほか
  • 撮影指導:高橋澄夫
  • 撮影:杉本伸一
  • トレス・彩色:田中文世ほか
  • 録音監督:清水浩二
  • 録音制作:中村武雄
  • 録音進行:武田晴道
  • (録音)協力:東京プロモーション、東京人形シネマ
  • 製作:稲田伸生
  • 進行:石山卓也、花井稔ほか
  • (制作)協力:東京T.V.Fプロダクション、アートフレッシュほか
  • 編集:佐々木喜美子
  • 音楽:冨田勲
  • 音響効果:斎藤大士
  • 主題歌:「ビッグX」作詞:谷川俊太郎 作曲:冨田勲 歌:上高田小学校)
  • 制作:藤岡豊、久保田仁司、郷田三朗
  • 制作:東京ムービー

声の出演[編集]

主人公。
昭が「ビッグX」を使って巨大化した時。単なる巨大化ではなく少年から青年に姿が変わり、原理は不明だがコスチュームも変化する。
昭の庇護者。
ナチス同盟に捕まっていた超能力少女。
ナチス同盟の首領。冷酷非情だがどこか悪に染まりきれていない面があり、昭達からは幾度か救いの手を差し伸べられ、改心の兆しを見せたこともある。しかし意志薄弱な面もあるがため、改心の兆しを見せても誘惑や甘言に乗せられ、尽く恩を仇で返す裏切り行為を繰り返し続けた。意志薄弱な面は最後まで改善されること無く最終的には昭からも見限られてしまい、倒されてしまう事となる。
原作では中盤からロボットの体に脳だけを移植した姿となる。
  • 朝雲しげる博士:仲野宏
昭の父。
アニメオリジナルキャラ。ハンスの実妹にして、天才女性科学者。

サブタイトル[編集]

  1. ビッグX登場
  2. V3号の襲撃
  3. 要塞脱出
  4. 砂漠の対決
  5. ビッグXの危機
  6. どれい狩
  7. 死の湖の対決
  8. 黒いオーロラ
  9. ライオン帝国
  10. 悪魔の太陽
  11. 海の墓場
  12. カイザー0号との対決
  13. 仮面の男
  14. 毒ガス列車
  15. 大怪鳥ヒンメル
  16. 宇宙人スナルリ
  17. 無重力線
  18. 死火山の怪
  19. スペードバイキング
  20. 決戦20対21
  21. 走れビッグX
  22. 狂った大噴水
  23. 幻の海賊船
  24. ロボット撃破指令
  25. キングの電送作戦
  26. 蟻地獄作戦
  27. 空中都市
  28. 大竜神対ビッグX
  29. 大昔ミサイル
  30. あの耳を狙え
  31. ゴム人間の反乱
  32. 悲しき昆虫博士
  33. 真空人間サルベージ
  34. 大都市全滅作戦
  35. ロボット城
  36. 火の馬
  37. 海底秘密研究所
  38. 宇宙の虎
  39. 軽くて重い男
  40. 虹の国から
  41. 雪男の泉
  42. 銀河に向って
  43. パール博士の発明
  44. エンゼル星よりの使者
  45. ニーナの危機
  46. セントローザの秘密
  47. 宇宙ランドの秘密
  48. 大氷原の決戦
  49. 大くらげ出現
  50. グレート3
  51. 地球第五氷河期
  52. サマリンガの魔法使い
  53. 盗まれた実験
  54. 人面獣ゾンビー
  55. サンゴ礁の奇跡
  56. ハンスの復讐
  57. アマゾンの黒雲
  58. 月世界の対決
  59. 最後の決戦
TBS 月曜19:00枠
【当番組より花王石鹸一社提供枠】
前番組 番組名 次番組
白馬の剣士(第1期)
(19:00 - 20:00)
ビッグX

単行本[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 当時、まだアポロ計画は月着陸までこぎつけておらず、アポロ11号の月面着陸は本エピソード発表から3年を待たねばならなかった。
  2. ^ うしおそうじ『手塚治虫とボク』草思社、2007年、p244-p248
  3. ^ 「大きいことはいいことだの60年代 『ビッグX』はビッグなヒーローとして誕生した!!」『アニメージュ』1981年9月号、徳間書店、p59-p66。
  4. ^ 「万年筆型」というのは誤り、当時のシャープペンシルは今より高価だった

外部リンク[編集]