ビッグ・ボス

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ビッグ・ボスBIG BOSS、1935年 - 2014年)は、コナミ(現、コナミデジタルエンタテインメント)のゲーム、メタルギアシリーズに登場する架空の人物で同シリーズの主人公の一人。

人物[編集]

1935年生まれ。元FOXHOUND隊員であり、独立武装国家アウターヘブン(MSF)の首領。本名はジャック。身長180cm、体重89kg。ベトナムに於いてLRRP(長距離偵察作戦)に参加し、SOG(スペシャル・オペレーションズ・グループ)、グリーンベレーワイルド・ギースで活躍、70回以上のミッションを務めた。その後傭兵として世界各国を回り、伝説的存在となる。80年代に様々な地域紛争、民族紛争に参加、一時期はジャーナリズムによる批判の的にもなった。作戦中に右目視力を失った事もあり戦線を退き、その後は軍事教育を講じるようになる。90年に入り、ハイテク非正規特殊部隊FOXHOUNDの初代作戦総司令官として任命され、国内に呼び戻される。同時に軍事要塞国家アウターヘブンを南アフリカ奥地に築き、世界の軍事統制を目論むが、自ら派遣したFOXHOUNDの新人隊員ソリッド・スネークの想定外の活躍によって阻止される。アウターヘブン崩壊の際に死亡したと思われていたが、奇跡的に生き延び、中東に逃れて独立武装要塞ザンジバーランドを築いた。同時に世界が深刻なエネルギー危機を迎える中、石油精製藻類OILIXを開発したキオ・マルフ博士を拉致し、世界に対して軍事的、経済的優位を確保しようと試みる。しかし、新体制となったFOXHOUNDによって再び送り込まれたソリッド・スネークの手により計画は頓挫、全身を焼き尽くされ、その生涯に幕を閉じた。

上記の設定は『メタルギア』及び『メタルギア2』のものであるが、『MGS3』『MPO』で描かれたビッグボスの経歴と異なる部分がある。

事実、後に明らかになったビッグボスの真の目的は、地球規模にまで拡大した「愛国者達」の勢力に対して軍事的、経済的に優位に立つことで世界の均衡を保つことであった。アウターヘブンやザンジバーランドの建設も、全ては愛国者達の拡大を阻止すべく行った行動であったとしている。

『MGS4』では、実際には愛国者達の創始者ゼロの手によって回収、人工的な脳死状態にされ、その身体は生きたまま保存されていたことが明らかになる。ビッグママが遺体を保管していたが、後にこれはソリダス・スネークの死体であることが判明する。ソリダスはビッグボスの純粋なクローンであり、遺伝情報も一致することから誰にも疑いようは無かった。本物のビッグボスの遺体は愛国者達の管理下に置かれていた。

ネイキッド・スネークNaked Snake)のコードネームを持つ。「スネーク」はゼロ少佐によってつけられ、「ネイキッド」は潜入の痕跡を残さないことを要求されたために、潜入時点では所持品がほぼ無いに等しかったことに由来している。後のビッグ・ボスはソリダス・スネーク、体細胞を利用して創られたソリッド・スネークリキッド・スネークのオリジナルでもある。『MGS3』ではパラメディックとの初対面時に「ジョン・ドゥ」と名乗るが、アメリカでは身元不明の男性死体を指して"ジョン・ドゥ"と呼ぶ習慣があり、作中では「ドゥ」が本当のファミリーネームかどうかは明かされない。ザ・ボスからは「ジャック」と呼ばれているが、こちらは愛称であり本名ではない。

キャスト[編集]

声優(日本語版) 声優(英語版) モーションアクター
メタルギアソリッド3 大塚明夫 David Hayter 吉田瑞穂
メタルギアソリッド ポータブル・オプス -
メタルギアソリッド ピースウォーカー 田中美央
メタルギアソリッド4 大塚周夫 Richard Doyle 大塚明夫
メタルギアソリッドV 大塚明夫 キーファー・サザーランド

来歴・関わった事件[編集]

バーチャスミッション・スネークイーター作戦[編集]

1964年。FOXHOUNDの前身であるFOX部隊に所属するCIA工作員「ネイキッド・スネーク」として登場。1964年8月24日[1]から9月初旬にかけて連合国内での極秘任務中、師であり伝説の兵士である「ザ・ボス」をやむなく殺害、以降ボスの座を受け継ぎ、ザ・ボスを超える者として「ビッグボス」の称号を得た。

作戦中に捕虜となった際、EVA(のちのビッグ・ママ)をかばうためオセロット少佐(後のリボルバー・オセロット)に体当たりし、暴発した彼の拳銃によって右目を失っている[2]

有毒な生物でも手当たり次第に食べたり、通信の会話では天然ボケのような言動も見せている。他にもEVAの胸元に目を奪われたり、ワニキャップで仲間の反応を期待したりと、自身のクローンであるソリッド・スネークに比べて人間らしいユニークな一面もある。なお、軍事兵器や銃器への知識の造詣は深いが、科学的な知識には疎い一面も。普段は映画を見るような性格ではないものの、007は知っている様子。

愛煙家であり、タバコではなく葉巻を好んでいる。また、葉巻のタバコとの違いを熱く語るといったあたりにも拘りを持っている模様。晩年である後のMGS4では最期まで葉巻を愛用していた。

また、段ボール箱の魅力を体感した最初のスネークでもあるが、後付け設定となる為『メタルギア』では段ボールの魅力を語る事はない。弱点としては吸血鬼が苦手であり、その話題が出るだけで吸血鬼が登場する悪夢に苦しむほど。 シギントに段ボールの魅力を語ったところ、変人扱いされる。 また、先述の手当たり次第食べたがるくらいの食欲旺盛っぷりもさることながら、食べごたえのある動植物が好物とみられる。しかも大好物となる食料に関しては食べると『美味すぎる!』と絶賛したり『もっと食わせろ!』等といったセリフを言う。また保存が効く加工品においては、レーションを除いたものを好んでいる。キャプチャーできる動植物に関しては並々ならぬ食への興味を持っており、動植物の生態といった情報よりも第一に食べられるのか、味はどうなのかの方を重視しているくらいであり、動植物の解説役のパラメディックに呆れられている。ジャングルの中ではもっぱら生でキャプチャーした食料を食べていると思われるが、一部シーンでは蛇や魚を串焼きにして食べている。

サンヒエロニモ半島事件[編集]

1970年。スネークイーター作戦終了後ビッグボスの称号を捨てFOX部隊を除隊していたが、ジーン率いる現FOX部隊から「賢者の遺産」の在処の行方を知る人物とされ、コロンビアのサンヒエロニモ半島へ拉致監禁される。牢屋の相部屋にはグリーンベレー隊員のロイ・キャンベルが監禁されており、彼の仕組んだダクトから脱獄した。脱獄後は元FOX部隊の医療係パラメディック・武器装備担当であったシギントと通信し、ゼロ少佐がCIAに捕らえられたという事とサンヒエロニモ半島メタルギア強奪事件の首謀者がビッグボス自身だとされている事を知る。身の潔白を証明するため、ロイ・キャンベルの協力と現地のソ連兵を説得して仲間とし事件解決に導く。

サンヒエロニモ半島メタルギア強奪事件時の指揮官「ジーン」のアーミーズ・ヘブン計画に影響され、彼から受け継いだ資金と人脈は傭兵派遣会社の資産となる。

ピースウォーカー計画[編集]

1974年。サンヒエロニモ半島事件から4年後、コロンビアで国境なき軍隊 (MSF) を組織し率いていたところ、コスタリカ平和大学のガルベス教授(本名をウラジーミル・ザドルノフ)と生徒のパスから、軍を持たないコスタリカに侵入している謎の武装集団を撤退させてほしいという依頼を受け、カズヒラ・ミラー以下MSFを率いてコスタリカに向かう。

「ボス」と呼ばれることを嫌い、仲間内には「スネーク」と呼ぶように指示している。ザ・ボスの遺志が反映されたママルポッドが搭載されたピースウォーカーを破壊したことでザ・ボスとは違う道を歩むことを決意し、正式にビッグボスの称号を名乗ることとなった。

「恐るべき子供達計画」始動が1972年なので、この時点で彼のクローンであるソリッドとリキッドは2歳である。

また、今作でビッグボスの出生年が1935年であることが明らかになった。さらにNORADサンタクロースを追跡しているという話を真に受け、サンタクロースは実在すると信じていることが判明した。

今作でロシア語以外にフランス語も使いこなせる事が判明した他、浜辺で遭遇した「トレニャー」(『モンスターハンターポータブル 2nd』の登場キャラクター)の言葉を理解し自らもネコ語を喋った。

ドラマCD「平和とカズヒラのブルース」では、カズヒラ・ミラーとの出会いのエピソードが描かれており、出会う前までは傭兵としてコロンビア政府軍を指揮していたが、カズヒラが率いる反政府軍との戦闘後に契約が切れてしまったようである。反乱軍との戦闘後、保護したカズヒラと勝ったら仲間になるという勝負に挑む。アロワナの早食いではMGS3の時のようにサバイバルビュアーを使用していたり、カズヒラの仲間を説得して仲間にしていたりと終始優位に進み、カズヒラと共同経営者という名目でMSFを結成する。

今作でも段ボール好きは健在で、カズヒラを相手に熱く語っている。段ボールはかぶって使うものと認識しており、カズヒラにその点を指摘されても黙殺する。また、段ボール戦車を作ったMSF隊員に礼が言いたいと言い出す。

チコ、パスの救出、マザーベースの崩壊[編集]

1975年。消息不明となっていたパスがキューバの米軍キャンプに囚われ、拷問を受けていることが判明する。 独断でパスを助けに向かったチコもまた囚われてしまい、彼らを救出するためにキューバへ向かうが……。

アウターヘブン蜂起[編集]

1995年。特殊部隊FOXHOUND総司令官として登場。主人公であるソリッド・スネークのサポート役となり、無線では「コチラBIGBOSS」と始め、「~over」と終了する。その後のメタルギアソリッドシリーズに見られるようなジョークや雑学混じりの無線は一切なく、要件だけを話してすぐに交信を終了していた。また、普段はこちらから呼びかけても応答が無い。新たなアイテムを発見した場所で通信するとそのアイテムの使い方を説明する。武器に関しては「ツカイカタハ ワカッテイルナ?」で終わるが、敵のユニフォームを発見した部屋で通信を行うと「セーラーフク カ?」と天然ボケな返答をする。

南アフリカに出現した独立武装国家アウターヘブンを調査するためグレイ・フォックス、そして新人隊員であるソリッド・スネークを送り込む。しかし物語の後半からそのサポートがおかしくなり始め、最後にはアウターヘブンの統率者が彼自身であったことが判明する。新人であるスネークを送りこんだのも情報攪乱のためであったが、スネークの活躍を予想できず、アウターヘブンの崩壊を許してしまった。最終局面で「オマエハヤリスギタ ヤリスギタノダ」(お前はやりすぎた、やりすぎたのだ)と叫んで戦いを挑んでくる。戦いの末スネークに敗れ、一時行方不明となるがエンディング後に「また会おう」という言葉を残していた。

ザンジバーランド騒乱[編集]

1999年。アウターヘブンでのソリッド・スネークとの戦いで瀕死の重傷を負っていたが、両手、両足、右目、右耳を失った状態でサイバネティック・オーガニズムの実験媒体として体の一部が機械化された状態となって生き延びており、作品では「もはや人間の体ではなくなった」という記述が見られた。中東に独立武装要塞ザンジバーランドを築き、アウターヘブンにいた有能な兵士達を何人か救出し、再び仲間に引き込んでいた。OILIXを開発したキオ・マルフ博士を拉致し、世界に対して軍事的、経済的に優位に立とうとした。

しかし、新体制となったFOXHOUNDによって再び送り込まれた、ソリッド・スネークの手により計画は頓挫。最終局面では、メタルギアとの戦いで傷つき装備も失ったスネークの前に出現し、マシンガンを乱射して追撃するが、ライターとスプレーを組み合わせて即席の火炎放射器を作り上げたスネークに再び敗北、ついに命を絶たれる。 「どちらが勝っても、我々の闘いは終わらない。敗者は戦場から解放されるが、勝者は戦場に残る。そして生き残った者は死ぬまで、戦士として人生を全うするのだ。」という言葉を遺しており、スネークにとってトラウマとなっている。

また、この頃にはザンジバーランドの基地内には子供達が何人か遊んでまわっている区画があり、ビッグボスが連れてきてくれたと話す子供がいる、この子供達のほとんどは戦災孤児とみられる。中には少年兵を志願する子供もいるらしいが、本当にビッグボスが少年兵目的で連れてきたのかは不明。

その後[編集]

2014年。すでに死亡したと思われていたが、ビッグボスの英雄性を「愛国者達」の象徴に据えようとするゼロによりナノマシンで人工的な脳死状態にさせられ、その体を保存されていた。ビッグママを名乗って活動していたEVA率いるレジスタンスの手でその身体は奪還されたが、最後には炎の中に投じられ、リキッド・オセロットによってとどめを刺される事となった。

しかし、この時の遺体はソリダス・スネークの遺体と摩り替えたダミーであり、ビッグボス自身は生きていた。EVAによって救出された後はオセロットやナオミ・ハンターの手により、身体の欠損をリキッドやソリダスの遺体の一部で補って回復し、作品終盤でJ.D.が破壊されたことにより昏睡状態から解放された。ビッグボスの墓前で命を絶とうとしていたソリッド・スネークの前に突如現れ、「愛国者達」や事件の真相を語る。そして同じく生きていたゼロの生命維持装置を停止した後、「戦うことをやめ、蛇(スネーク)としてではなく人間(デイビッド)として生きろ」と告げ、ザ・ボスの墓石に寄りかかり、葉巻を口にした後ソリッド・スネークの体内に投入されていた(シャドー・モセスで投入された初期型ではなくドレビンによって投入された新型)FOXDIEに感染し静かに息を引き取った。79歳没。

なお、かつての師匠であるザ・ボスをやむ無くとはいえ、手にかけた事を最後まで悔やんでいた。ゼロを絶命させる際にもかつて良き関係だった頃の彼の姿を懐かしんでいた。

恐るべき子供達計画 (Les Enfants Terribles)[編集]

1972年に愛国者達によって遂行された計画。最強の兵士を人為的に作り出す計画と言われていたが、その真意は、「愛国者達」の偶像イコン)として、ビッグボスを再誕させる事だった。後にそのやり方に反発して、ビッグボスは愛国者達と袂を分かつ事になる。

同計画は、アナログクローン技術とスーパーベイビー法を用いてビッグボスのクローン人間を8人作製し、うち6人を意図的に間引きして、残った2人の能力を増大させるというもので、2人は代理母であるEVA(ビッグ・ママ)の身に宿され誕生した。これがソリッド・スネークリキッド・スネーク両名である。

後に、別のクローン技術で、ソリダス・スネークが生み出されるが、彼は同計画とは別件で誕生したビッグボスのクローンである。

ソリッド・スネークとリキッド・スネークの二人は胎児になる以前の段階での意図的な操作により、優性遺伝子を一方にだけ集約することでその能力をさらに増大させている。リキッド・スネークは「俺は劣性遺伝子のみを受け継がされた絞りカスだ」といった趣旨の発言をしており、それが彼のシャドーモセス島での武装蜂起に至る動機へと繋がっている。しかし現実に優性遺伝子を受け継いだ個体はリキッド・スネークの方であり、彼はFOXDIEにより命を絶たれるまでその事実を知らないままだった。この他に、彼らクローンが他の勢力に利用されないように、2人は生殖能力を初めから除かれており、寿命も短く設定されている。ソリダス・スネークは、リボルバー・オセロットから「最も安定した個体」と評された他、『MGS4』ではビッグボス自らが完全なるコピーと述べている。SOPシステムの掌握においてもビッグボスの代わりにソリダスの遺伝子コードが用いられ、認証をパスしている。

尚、現実の科学における遺伝子の優性、劣性とは、異なる対立遺伝子がもつ遺伝形質が子において発現するか否かを指した表現であり、個体の能力に関わるものでは無い。またメタルギアにおけるこの設定は、デザイナーベビーに近い。

なお、メタルギアソリッド2のタンカー編でオセロットが、ソリッド・スネークに対して急速に老化が進んでいる事を指摘し、「50代のビッグボスの体細胞を使った」と発言しているが、ピースウォーカー時点ではリキッド・ソリッドは2歳の誕生日を迎えており、その時点でビッグボスは39歳であるという矛盾が発生している(小説版『MGS4』を見ると、これはソリダスの事を指していると思われるが、それでも矛盾は残る)。 ただ、二人のスネークには寿命を短くする遺伝子操作がされている為、老化進行自体はあらかじめ計画の範囲内とみられる。

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ METAL GEAR SOLID3 公式サイトストーリー
  2. ^ これより以前にザ・ボスのナイフで抉られそうになるも、EVAによって阻止されている。

関連項目[編集]