ビジネスロジック
ビジネスロジック(英: business logic)は、データベース上のデータに対する処理手順といったようなものを指す、ソフトウェア工学的な用語である。「アルゴリズム」という語が説明に使われていることがあるが、アルゴリズムは数学的・論理的に明確な概念であり間違った説明の仕方である。基本的には、エンタープライズ系(業務支援系)ソフトウェアを開発する企業が内部的に、もしくは顧客への販売促進のために用いる用語である。この用語は、主にプログラムが3層構造となるWebアプリケーション開発で使われる。ビジネスロジックは3層の中の中間層(アプリケーションサーバ)に相当する。いずれにしても、ビジネスロジックという用語は明確な定義がなく、人によって意味が異なる可能性がある。
ビジネスロジックの範囲
[編集]- 実世界のビジネスオブジェクト(勘定、貸付金、旅程表、在庫目録などなど)をモデル化したもの
- そのようなビジネスオブジェクト間の相互作用を示したもの
- ビジネスオブジェクトにアクセス・更新する経路と方法を示したもの
ビジネスロジックは以下の部分からなる[1]:
ビジネスロジックの位置
[編集]単層アプリケーションでは、プレゼンテーション部分とビジネスロジックとデータベース部分が融合し、相互に知識を共有し、結合度が高い。この状態では、一部の修正が他の部分に影響を与えるため、一箇所の変更のためにシステム全体を再度テストし直さなくてはならなくなる。また、データベース部やビジネスロジックの再利用性も低下する[2]。
多層アーキテクチャでは、ビジネスロジックは分離されたモジュールとなる。一般的な3層アーキテクチャでは、ビジネスロジックは中間層を形成する(ビジネス層、ビジネスロジック層などと呼ぶ)。実際には、ストアドプロシージャや入力チェックおよび表示形式などの決定という形でビジネスロジックの一部は、他の2つの階層(ユーザサービス層とデータベースサービス層)にも織り込まれる。Hower[3] らはこのような方式を批判し、ビジネスロジックは全てビジネス層で保持すべきで、ユーザサービス層やデータベースサービス層にビジネスロジックを含めないようにすべきだと主張している。
脚注
[編集]- ^ Steven Minsky (2005年3月27日). “The Challenge of BPM Adoption”. eBizQ. 2008年1月28日閲覧。
- ^ Khawar Zaman Ahmed and Cary E. Umrysh (2001年10月17日). “Introduction to Enterprise Software”. Developing Enterprise Java Applications with J2EE™ and UML. Addison-Wesley. ISBN 0-201-73829-5
- ^ Chad Z. Hower. “Dude, where's my business logic?”. The Code Project. 2008年1月28日閲覧。
参考文献
[編集]- Brett McLaughlin (2002年3月). “Business Logic, Part 1”. Building Java Enterprise Applications, Vol I: Architecture. O'Reilly and Associates. ISBN 0-596-00123-1 — McLaughlin はFacade パターンを使ってビジネスロジック層を実装する手法を論じている。
- Kathy Bohrer (1997年11月). “Middleware isolates business logic”. Object Magazine (New York, USA: SIGS Publications, Inc.) 7 (9): 41–46;. ISSN 1055-3614 .
- Harumi Kuno, Mike Lemon, Alan Karp, and Dorothea Beringer (2001年). "Conversations + Interfaces = Business Logic". In F. Casati, D. Georgakopoulos, and M.-C. Shan (ed.). Technologies for E-Services: Second International Workshop, TES 2001, Rome, Italy, September 14-15, 2001, Proceedings. Lecture Notes in Computer Science. Vol. 2193. Springer Berlin / Heidelberg. ISSN 0302-9743。
- Volker Turau (2002年). "A framework for automatic generation of web-based data entry applications based on XML". Proceedings of the 2002 ACM symposium on Applied computing, Madrid, Spain: Web and e-business application. ACM Press. pp. 1121–1126. ISBN 1-58113-445-2。 — Java Servlet と JavaServer Pages を使ったアプリケーションフレームワークの解説。ビジネスロジックとプレゼンテーションの分離ができ、双方の開発がスムーズになる。
- Pau, L-F. and Vervest, P.H.M. (2003年12月8日). Network-based business process management: embedding business logic in communications networks. ERIM Report Series Research in Management. Erasmus University .
関連項目
[編集]- Enterprise JavaBeans
- ユーザインタフェース管理システム(UIMS)
- Magic pushbutton - アンチパターンの一種
- ビジネスロジック層
- プレゼンテーションロジック