パンケーキクラッシュ

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メキシコ地震でパンケーキクラッシュを起こした運輸通信省ビル
阪神・淡路大震災でパンケーキクラッシュを起こした商業ビル
パンケーキクラッシュにより崩壊した世界貿易センタービル・サウスタワー
ハイチ地震で倒壊した建物(右側の建物がパンケーキクラッシュを起こしている)

パンケーキクラッシュ(: pancake collapse)は、建築物の構造崩壊形のうち、「層崩壊」を指す和製英語。倒壊した階層が平たく押し潰されている様子が、パンケーキに似ていることから俗称としてこう呼ばれる。一方、英語圏におけるpancake collapseは、連鎖的な層崩壊(progressive collapse)を指す場合が多い。

建築構造における層階層とは、建築構造法規や建築構造計算あるいは施工上の不備といった原因で、特定階層において他の階層と比べて剛性が小さいといった条件がある建築物に、地震動などの外力が働いた際、柱のせん断破壊もしくは柱梁接合部の塑性ヒンジ化によって、さらに応力分布が変わり連続的に破壊が進み、階層全体が崩壊する現象を言う。建物全体で外力に抵抗する構造崩壊形と比べ、剛性が小さい部分に加速度的に破壊が集中すること、また階層内部の人命財産における被害が甚大であり、上層からの避難にも支障の出ることから、構造関係技術基準などでは避けるべき崩壊形とされる。

防災上は火災などにより構造部材の耐力が低下したことで起こる層崩壊を含む。いずれにせよ、階層の崩壊が次の階層の崩壊の引き金となることもあり、ときに連鎖的な崩壊を呈する。

一般に、中高層建築物の地上1階で最も生じやすい。これは上階からの荷重がもっとも大きく、かつ地震時には全ての階層に生じる水平力をまとめて受ける階層であることと、にもかかわらず、駐車場や店舗として利用するために耐震壁を十分にかつバランスよく設けることができず、場合によってはピロティ形式として耐震壁が著しく少ない状態になっている建築物が少なくないためである。

アメリカ同時多発テロ事件世界貿易センタービルが崩壊した要因として、ツインタワーへの航空機の突入により火災が起こり、支持鉄骨が溶融・破断したことにより途中階部分の層崩壊が発生、連鎖的に層崩壊を生じた可能性があげられた。なお、ツインタワー崩壊の原因については異説もある。

主な事例[編集]