パンをふんだ娘

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パンをふんだ娘」(パンをふんだむすめ)は、ハンス・クリスチャン・アンデルセン創作童話である。

あらすじ[編集]

ある村に、インゲルと言う美しい少女が住んでいた。インゲルは裕福な家庭へ奉公に出されたが、それは元から自分の美貌を鼻に掛けるところが有ったインゲルの高慢な性格に拍車をかけることとなった。

ある日、インゲルは里帰りをすることになり奉公先の夫人からお土産にパンを持たせられる。その帰り道、インゲルは雨上がりに出来たぬかるみの前で立ち止まる。そして、自分のドレスを汚したくないと思いお土産のパンをぬかるみに放り投げ、パンの上に飛び乗った。ところが、その途端にパンはぬかるみの底へインゲルを乗せたまま沈み、二度と浮かび上がることは無かった。

インゲルが慢心のために底無し沼へ沈んだ話は人々の間で語り草となり、その様子は地獄に落ちたインゲルの耳にも伝わって来た。そして、インゲルの母が愚かな娘を持ったことを嘆きながら死の床に就いても、インゲルはたかがパン一切れのためにどうして自分が地獄へ落ちなければならないのかと全く反省しなかった。

そんなある日、いつものように地上で底無し沼へ沈んだインゲルの話をしていた子供たちの中で一人の少女がインゲルを憐れみ、神様にインゲルが天国へ行けるよう祈りを捧げる。その少女もやがて年を取り、死の床に就くが、幼い頃に聞いたインゲルの話を片時も忘れることは無く、インゲルの為に涙を流して天に召された。

その祈りは聞き届けられ、インゲルは灰色の小鳥に生まれ変わる。そして、インゲルはどんな小さなパン屑であっても粗末にせず、他の鳥に分け与えた。そして、灰色の小鳥が他の鳥に分け与えたパン屑の量があの時に踏んだパンと同じ量になった時にインゲルの罪は許され、長い苦しみから解き放たれて天国へ召されたのであった。

影絵劇[編集]

この童話は、北沢杏子の脚色、劇団かかし座の操演によりNHK教育テレビの番組『にんぎょうげき』において影絵劇『パンをふんだむすめ』として映像化された。1975年11月12日11月19日と2週に分けて放送された。以降も数年おきに再放送が行われ、直近では2008年に『こどもにんぎょう劇場』で再放送されている。2010年にはラジオドラマで放送された。

山田美也子による主題歌(作詞:北沢杏子、作曲:越部信義)が(いわゆる)トラウマになっているという視聴者が多い作品としても知られている。

なお本作では、ストーリーの大筋は一致しているものの、「インゲルが地獄に落ちたことを人々が語ったり、母が晩年に悔やむ描写がない」「インゲルを憐れむ少女が幼くして亡くなった」「ラストで小鳥が天国へ行った明確な描写はない」等、若干原作とは異なっている描写がある。また、原作とエピソードの順番が入れ替わっている。

声の出演[編集]

コミカライズ[編集]

漫画家の萩尾望都が1971年10月に「白い鳥になった少女」としてコミカライズしている。この作品は単行本『11月のギムナジウム』等に収録されている。