パリウム
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パリウム(pallium)とは、カトリック教会で、教皇自身が身に着けている、および管区大司教に教皇から親授される、祭服の一種。司牧の権威と使命の象徴。白い羊毛地に、黒(受難節に際して赤)い絹で六つの十字架の文様が縫い取りされた帯状の肩被いで、首を通して両肩に掛ける輪状の部分の前後に先端が黒い2本の垂れ飾りが付いている。着用の際はキリストの磔刑の際に使われた3本の釘を象徴する3本のピン(aciculae)が前後と左肩の十字架上に付けられる[1]。
この羊毛で作られた祭服は、迷子の羊を肩に担ぐ「善き羊飼い」の姿を象徴するもので、キリストがペテロに授けた三つの使命、つまり「わたしの子羊を飼いなさい」、「わたしの羊の世話をしなさい」そして「わたしの羊を飼いなさい」を想起させるものである[1]。
大司教用のパリウムには子羊の羊毛が使われるが、教皇用にはこのキリストの「わたしの子羊を飼いなさい」と「わたしの羊を飼いなさい」の言葉を反映して子羊と羊の羊毛が使われる[2]。
ベネディクト16世は、1千年紀で用いられていた、長い垂れ飾りを左肩から垂らす古い形式のパリウムを復活させた。十字架の縫い取り文様も赤を好んだ[2]。
毎年6月29日のペトロとパウロの大祝日のミサの中で、直近1年に任命された管区大司教に親授される。2014年までは教皇が祝別を行った上で直接大司教らの肩にかける儀式が行われていたが、2015年以降は祝別をしてミサ後に手渡されるのみに簡素化され、着用の儀式は後日に各教区で行うように改められた[3]。
ギャラリー
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古い様式のパリウムを身に着けたインノケンティウス3世 (ローマ教皇) が描かれたフレスコ画。
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教皇ベネディクト16世は長い垂れ飾りを左肩から垂らす古い様式のパリウムを好んだ。十字架の縫い取りも黒でなく赤を好んだ。
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パリウムの変遷
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十字架の縫い取り上に付けられたピン(ベネディクト16世)
脚注
[編集]- ^ a b “The rite for the Inauguration of the Petrine Ministry of Leo XIV - Vatican News” (英語). www.vaticannews.va. The Holy See (2025年5月16日). 2025年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月19日閲覧。
- ^ a b Wooden, Cindy (2006年6月23日). “CNS STORY: Pope's pallium noticeably different from ones he'll give archbishops”. New Liturgical Movement. Church Music Association of America. 2025年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月19日閲覧。
- ^ “聖ペトロ・聖パウロ大祝日:教皇、最近任命の首都大司教らとミサ”. ja.radiovaticana.va. バチカン放送局. 2018年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月2日閲覧。