パラリーガル
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パラリーガル(paralegal)は、弁護士の監督の下で定型的・限定的な法律業務を遂行することによって弁護士の業務を補助する者。
概要[編集]
弁護士業務の付随業務を遂行することからこう呼ばれ、日本では、2006年以降に広がった貸金業者の過払い金返還請求の実働部隊で活躍したことで知名度を上げた。
弁護士の菊地幸夫は、パラリーガルは事務職員と弁護士の中間であり、弁護士的な専門的な知識を備えながら弁護士を補助する役割を果たすと解説し[1]、弁護士ドットコムは、国家資格は必要ないが法律に関する専門的な知識が要求されると解説している[2]。
その仕事が誕生した米国では、今や大学等が養成課程を用意するほどメジャーな職業になっている。
日本では制度上、依然としてその資格が認められておらず、現在は法律事務のアシスタントに過ぎない(顧客とのカウンセリングなど、監督者である弁護士が承認したとしても、弁護士法では認められていない)。
弁護士でないがゆえに職務が限定された法律事務員の仕事として働く傍ら、やがては自身も弁護士や司法書士・行政書士などになるために資格取得を目指す人もいる。
またリクルートメント上、大学法学部卒業者や行政書士試験合格者など一定以上の法学の知識を有する者である事が条件とされる場合がほとんどである。
アメリカでも、まずはパラリーガルとして実務経験を積んだ上で、正規の法律資格の取得を目指してロースクールなどに進学する例が多い[3]。
「パラ」の意味は「副次的(な)」「補助的(な)」「(…に)准ずる」「(能力の)劣るもの」などあるが、実務面においてその分野での熟練した経験や、中程度ないし高レベルの専門教育を受けている者のことを示す場合もある。パラリーガルのほかにも「パラプロフェッサー」「パラ・メディカル」など、熟達した現場のアシスタントという意味合いが非常に強い[4]。
欧米の中規模以上の法律事務所では一般的な存在であり、日本の法律事務所においても、大規模法律事務所を中心に一般的な存在となりつつある。法律業務に付随する翻訳・書類作成・文献調査・資料収集・資料分析などに従事することが多い。
古典的な法律事務所においては、依然として一般的な事務員がこれに相当する業務をしている。しかし、ある程度以上の規模のある大手渉外事務所などの法律事務所では、業務の効率化と精緻化を両立するため、単なる秘書と、ある程度の専門的な資質・技量を持ったパラリーガルとに業務内容を完全に分離する例がある。
各国でのパラリーガル[編集]
アメリカ[編集]
アメリカの場合、パラリーガルとして働くために必要な資格は州によって異なり、特に要件を定めていない州もある。その場合、パラリーガルとして採用されたその日からパラリーガルを名乗ることが出来る(未経験であっても)。カリフォルニア州などでは教育もしくは弁護士による監督のもとで実務経験を積むことでパラリーガル資格の取得が可能になる。
出典[編集]
- ^ 小室さんで注目「パラリーガル」とは?菊地弁護士が「スッキリ!」で説明 デイリースポーツ 2017年5月18日
- ^ 「眞子さま」ご婚約予定の小室圭さんの法律事務所での仕事「パラリーガル」って? 弁護士ドットコム 2017年05月17日
- ^ 『週刊ダイヤモンド』(2010年11月27日号)「仕事&資格大図鑑」p40より
- ^ paraの接頭辞の意味解説
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- パラリーガルについて知りたい。 レファレンス協同データベース 国立国会図書館
- パラリーガルWeb - パラリーガルに関する解説・パラリーガル同士の交流掲示板など
- [1] - アメリカ法曹協会(ABA)のページ
- [2] - アメリカ法曹協会(ABA)のパラリーガルおよびリーガルアシスタントの定義
- [3] - West LA college catalog 2011 - Paralegal degree and certificate.