パノラマ島奇談

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パノラマ島奇談』(パノラマとうきたん)は、江戸川乱歩の著した中編小説である。『新青年』に大正15年(1926年)から昭和2年(1927年)にかけて連載された。

概要[編集]

本作は『新青年』1926年10月号から1927年4月号に5回にわたって連載された(26年12月号と27年3月号は休載)。連載時の編集者は横溝正史である。

初出時のタイトルは『パノラマ島奇譚』で、単行本収録時に『パノラマ島奇談』と改題された。しかし、収録時等の表記は「奇譚」、「奇談」、「綺譚」等必ずしも一定していない。

エドガー・アラン・ポーの「アルンハイムの領地」や「ランダーの屋敷」が乱歩の念頭にはあった様であるが、連載時はパノラマ島の描写が退屈がられたのか、あまり好評ではなかったという。しかし、後に萩原朔太郎の賞賛を受ける等、評価されるようになったと乱歩は語っていた。

登場人物[編集]

人見廣介(ひとみ ひろすけ)
売れない物書き。現実に諦観を抱き、独特の理想郷を夢想する日々を送っている。
菰田源三郎(こもだ げんざぶろう)
廣介の大学の同窓生の大富豪。「双生児」と揶揄された程に、廣介と瓜二つの容姿をしている。持病のてんかんの発作で命を落とす。
千代子(ちよこ)
菰田の若妻。生還後、急に素っ気なくなった夫に不審と思慕の入り混じった感情を抱く。
北見小五郎(きたみ こごろう)
文学者。菰田の妹の依頼で、パノラマ島に侵入する。

あらすじ[編集]

売れない物書きの人見廣介は、定職にも就かない極貧生活の中で、自身の理想郷を夢想し、それを実現することを夢見ていた。そんなある日、彼は自分と瓜二つの容姿の大富豪・菰田源三郎が病死した話を知り合いの新聞記者から聞く。大学時代、人見と菰田は同じ大学に通っており、友人たちから双生児の兄弟と揶揄されていた。菰田がてんかん持ちで、てんかん持ちは死亡したと誤診された後、息を吹き返すことがあるという話を思い出した人見の中で、ある壮大な計画が芽生える。それは、蘇生した菰田を装って菰田家に入り込み、その莫大な財産を使って彼の理想通りの地上の楽園を創造することであった。幸い、菰田家の墓のある地域は土葬の風習が残っており、源三郎の死体は焼かれることなく、自らの墓の下に埋まっていた。

人見は自殺を偽装して、自らは死んだこととし、菰田家のあるM県に向かうと、源三郎の墓を暴いて、死体を隣の墓の下に埋葬しなおし、さも源三郎が息を吹き返したように装って、まんまと菰田家に入り込むことに成功する。人見は菰田家の財産を処分して、M県S郡の南端にある小島・沖の島に長い間、夢見ていた理想郷を建設する。

一方、蘇生後、自分を遠ざけ、それまで興味関心を示さなかった事業に熱中する夫を源三郎の妻・千代子は当惑して見つめていた。千代子に自分が源三郎でないと感付かれたと考えた人見は千代子を、自らが建設した理想郷・パノラマ島に誘う。人見が建設した理想郷とはどのようなものだったのか。そして、千代子の運命は?

収録[編集]

テレビドラマ[編集]

登場人物と舞台のモデル[編集]

作中ではM県S郡と書かれているが、舞台は三重県Mie県)の鳥羽(鳥羽は旧志摩郡Shima郡)の離島であるとされる[1]。作家の伊藤裕作らは作中の路程などから、三重県の旧椋本村(現・津市)が舞台設定に反映されているほか、椋本出身で農業用ため池を開発した駒田五良八と、紅茶輸出を手掛けた駒田作五郎が菰田のモデルであると推測している。またエドガー・アラン・ポー「アルンハイムの地所」と谷崎潤一郎「金色の死」の影響を指摘している [2]

脚注[編集]

  1. ^ 江戸川乱歩著『パノラマ島奇譚』の舞台 - 鳥羽市観光情報サイト - 知る”. 鳥羽市観光課. 2012年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月24日閲覧。
  2. ^ (みちのものがたり)「パノラマ島」異聞への道 三重県 乱歩の「動機」を妄想する”. 朝日新聞be (2016年10月8日). 2016年12月4日閲覧。

関連項目[編集]

  • 江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 - 映画作品。登場人物の名前と展開が本作と一部共通しているが、ストーリーは乱歩の他作品のものも混合されている。

外部リンク[編集]