パタスモンキー

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パタスモンキー
パタスモンキー
パタスモンキー Erythrocebus patas
保全状況評価[1][2][3]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svgワシントン条約附属書II
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 霊長目 Primates
: オナガザル科 Cercopithecidae
亜科 : オナガザル亜科 Cercopithecinae
: パタスモンキー属 Erythrocebus
Trouessart, 1897[4][5]
: パタスモンキー E. patas
学名
Erythrocebus patas (Schreber, 1774)[3][4]
和名
パタスザル[6][7][8]
パタスモンキー[4][9][10][11]
英名
Hussar monkey[4][7][11]
Military monkey[7][11]
Patas monkey[3][5][11][9]
Red monkey[4][7]

分布域

パタスモンキー (Erythrocebus patas) は、哺乳綱霊長目オナガザル科パタスモンキー属に分類される霊長類。本種のみでパタスモンキー属を構成する。別名パタスザル

分布[編集]

ウガンダエチオピアガーナカメルーンガンビアギニアギニアビサウケニアコートジボワールコンゴ民主共和国シエラレオネスーダンセネガルタンザニアチャド中央アフリカ共和国トーゴナイジェリアニジェールブルキナファソベナンマリ共和国南スーダンモーリタニア[3]

形態[編集]

体長58 - 75センチメートル[11]。尾長62 - 74センチメートル[11]体重オス12キログラム、メス6キログラム[10]。オスよりもメスの方が小さい[6]。体色は赤褐色[11]。腹部や四肢・尾は白い[11]。パタス (patas) は現地の言葉で「赤い」の意[6][7]。属名Erythrocebusは「赤いサル」の意[4]

顔は黒い[4][11]。一方で飼育下の屋内などでは淡色になるとされる[11]。白い口髭が生える[11]。四肢は長く[6]、指は短く頑丈で、地表での生活や走行に適している。

幼獣は明褐色で、顔はピンク色だが生後2か月ほどで黒くなる[11]。オスの陰茎は赤く、陰嚢は明青色[11]

分類[編集]

パタスモンキー属をオナガザル属の亜属とする説もある[3][4]

生態[編集]

アカシアの低木林やサバンナなどに生息する[6]。地表棲傾向が強い[11]。夜間は低木の上などで休む[11]。1頭のオスと複数頭のメスからなる群れ(ハレム・単雄群)を形成する[10]。走行速度は時速55キロメートルに達するとされ、霊長類の走行速度では最も速い[11][9]。群れで行進するように移動することもあり、Military(軍隊の意)やHussar(軽騎兵の意)の由来になっている[7]。行動圏は50平方キロメートルに達する[8]

アカシア類などの木の葉、草本の芽、花、果実、樹脂、キノコ、昆虫などを食べるが、鳥類やその卵、爬虫類を食べることもある[10]

繁殖様式は胎生。雨季に交尾を行う[11][9]。妊娠期間は5か月半[10][11]。1回に1頭の幼獣を産む[10][11]。昼間に出産し[11]、これは夜行性の捕食者を避ける・昼間に木陰で休むことから群れに遅れないようにするためだと考えられている[9]。オスは生後4年で性成熟を迎える[8]。メスは生後1年半から3年半、多くの個体で生後3年以内に初産を迎える[11]

人間との関係[編集]

東部個体群をNisnasと呼称することもある[4][7]

実験動物として利用されることもある[3][7]

絶滅のおそれは低いと考えられているが、農地開発や過放牧による生息地の破壊、害獣としての駆除、食用の狩猟などにより生息数は減少している[3]。1977年に霊長目単位でワシントン附属書IIに掲載されている[2]

日本では2018年現在エリュトロケブス・パタスとして特定動物に指定されている[12]1959年恩賜上野動物園で飼育下繁殖例がある[13]

参考文献[編集]

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  1. ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng> (Retrived 16/4/2018)
  2. ^ a b UNEP (2018). Erythrocebus patas. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Retrived 16/4/2018)
  3. ^ a b c d e f g Kingdon, J., Butynski, T.M. & De Jong, Y. 2008. Erythrocebus patas. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T8073A12884516. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T8073A12884516.en. Downloaded on 16 April 2018.
  4. ^ a b c d e f g h i 岩本光雄「サルの分類名(その2:オナガザル,マンガベイ,ヒヒ)」『霊長類研究』第2巻 1号、日本霊長類学会、1986年、76-88頁。
  5. ^ a b Colin P. Groves, "Order Primates,". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 111-184.
  6. ^ a b c d e 増井光子 「パタスザル」『標準原色図鑑全集 19 動物 I』 林壽郎著、保育社、1968年、38頁。
  7. ^ a b c d e f g h 小寺重孝 「オナガザル科の分類」『世界の動物 分類と飼育1 (霊長目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1987年、54-85頁。
  8. ^ a b c 杉山幸丸、相見満、斉藤千映美、室山泰之、松村秀一、浜井美弥 「パタスザル」『サルの百科』 杉山幸丸編、嶋田雅一イラスト、データハウス、1996年、128-129頁。
  9. ^ a b c d e 中川尚史 「パタスモンキー」『世界で一番美しいサルの図鑑』湯本貴和全体監修・古市剛史「アフリカ」監修、エクスナレッジ、2017年、170-171頁。
  10. ^ a b c d e f 大澤秀行 「単雄群を守るサバナの走者 パタスモンキー」『動物たちの地球 哺乳類I 7 ニホンザル・ゲラダヒヒほか』第8巻 43号、朝日新聞社1992年、202-204頁。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u Thelma E. Rowell 「グエノン,マカク,ヒヒ」早木仁成訳『動物大百科 3 霊長類』 伊谷純一郎監修、D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、70-85頁。
  12. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)環境省・2018年4月16日に利用)
  13. ^ 中川志郎 「パタスザルの子を育てる」『世界の動物 分類と飼育1 霊長目』今泉吉典監修、東京動物園協会、1987年、126-127頁。
  • 中川尚史 『サバンナを駆けるサル-パタスモンキーの生態と社会』 (生態学ライブラリー) ISBN 487698316X

関連項目[編集]