バロメッツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
バロメッツの想像図

バロメッツ(Barometz)は、黒海沿岸、中国モンゴルヨーロッパ各地の荒野に分布するといわれた伝説植物である。このには、の入った実がなると考えられていた。

特徴[編集]

スキタイの羊、ダッタン人の羊、リコポデウムとも呼ばれるこの木は、本当の名を「プランタ・タルタリカ・バロメッツ」といい、ヒョウタンに似ているものの、引っ張っても曲がるだけで折れない、柔軟な茎をもっているとされた。

時期が来ると実をつけ、採取して割れば中から肉と血と骨をつ子羊が収穫できるが、この羊は生きていない。実が熟して割れるまで放置しておくと、「ぅめー」と鳴く生きた羊が顔を出し、茎と繋がったまま、木の周りの草を食べて生き、近くに畑があれば食い散らかしてしまう。周囲の草がなくなると、やがて飢えて、羊は木とともに死ぬ。ある時期のバロメッツの周りには、この死んだ羊が集中して山積みになるので、それを求めて狼や人があつまって来るのだと言う。この羊は蹄まで羊毛なので無駄な所がほとんど無く、その金色の羊毛は重宝された。肉はカニがするとされた。

伝説の発端[編集]

この伝説は、ヨーロッパ人の誤解から生まれた物だと考えられている。バロメッツから採れる羊毛とされた繊維は木綿の事で、木綿を知らなかった当時のヨーロッパ人は「綿の採れる木」を「ウールを産む木」だと解釈して、この植物の伝説が産まれたとされる。

参考文献[編集]

  • 『幻獣事典』 新星出版社2009年、p130(全192ページ)。
  • 『世界不思議物語』 日本リーダーズダイジェスト、1979年、p180(全591ページ)。