バミューダトライアングル

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バミューダトライアングルの地図

バミューダトライアングル(Bermuda Triangle)は、フロリダ半島の先端と、大西洋にあるプエルトリコバミューダ諸島を結んだ三角形海域。昔から飛行機、もしくは、その乗務員のみが消えてしまうという伝説がある。この伝説に基づいて、多くのフィクション小説映画漫画などが製作されている。

概要[編集]

超常現象を取り扱う雑誌書籍テレビ番組の報道によると、通過中の船舶や飛行機が突如何の痕跡も残さず消息を絶つ海域とされる。消息を絶つ直前にコンパスや計器の異常等の兆候があるとされる。100年以上前から100を超える船や飛行機、1000以上の人が消息不明となっているとされる。「魔の三角地帯(または三角海域)」とも呼ばれている。

ただし、「事件」について書かれた記事を引用する際に勝手に内容を改変し、単なる遭難事故を「怪事件」に仕立て上げてしまう例や、関連書籍等で事例として取り上げられた遭難事故の記録が存在しない、完全な作り話である例もあるという(『トンデモ超常現象99の真相』などを参照)。また、ある種の特異な事例(完全な晴天時に乗組員のみが消えてしまうなど)のほとんどは事実を誇張、または歪曲したものであることが分かっている(下記関連書参照)。また、下記関連書籍でも調査の結果指摘されているように、バミューダトライアングルの「伝説」が広く知られるようになるにつれ、来福丸転覆事故[1]やシティ・オブ・グラスゴー号遭難事件、ベラ号遭難事件のように大西洋上の異なる地域(数百キロ、あるいは1000キロ以上離れた場所)で起きた事故や遭難もバミューダトライアングルで遭難したかのように語り継がれることが増え、実際にこの地域で起きた事故を遙かに上回る数の遭難が関連付けられる事となった(中には1902年のフレヤ号遭難事件(発生場所:メキシコ西岸沖)や1950年のグローブマスター機爆発事件(発生場所:アイルランド沖)のように、発生現場が遠く離れた太平洋北海近くの北大西洋であるにも関わらずこの事例に入れられたものも存在する。また1840年のロザリー号事件や1962年のパイパー・アパッチ機事件の様に該当する事件や船舶・飛行機自体がそもそも存在していなかったり、1969年のビル・ヴェリティ事件の様にバミューダ海域で忽然と姿を消したとされた人物がその後もヨットで航海をしていたり[2]、1950年のサンドラ号遭難事件の様に来福丸転覆事件同様に都合の悪い部分を改竄して、さも謎の消失をしたかの様に装ったり[3]するなど明らかに捏造故事付けの類のものが存在する。中には1972年のV・A・フォッグ爆沈事件の様に、発生場所がメキシコ湾奥のテキサス州ガルヴェストン沖であり、様々な調査から原因などが判明し、乗組員の遺体も何体か収容されている事などから、バミューダトライアングルの肯定者の多くですら謎の消失事件としていないものでさえ、如何にもミステリーな事件であるかの様に改竄して謎の消失事件であると主張するものすら存在する[4]。)。その結果ますます「伝説」の信憑性が増すという悪循環を引き起こす事になる。

多くの場合はハリケーンなどの悪天候時に起こったものや操縦ミス、計器の確認ミスであり、船や飛行機などの遭難件数が他の一般的な海域よりも多いという事実はない。この地域はハリケーンやの多発地帯として有名であり、ハリケーンに遭遇して遭難したと証明されている案件も多い。また、周辺に目印となる島や構造物も無いため遭難しても救助されにくい。特にこの海域は強力なメキシコ湾流が流れており、短時間で航空機や船舶の残骸が遠くに流されるという事も考えられる[5]

一例として、1945年12月5日アメリカ海軍アヴェンジャー雷撃機5機が訓練飛行中に消息を絶った事件について、バミューダ・トライアングルの典型的な飛行機消滅の超常現象として長期にわたり出版、報道されている。このエピソードの紹介の際に語られることが多い「どっちが西かも分からない。何もかもが変だ……方向が掴めない。海さえ普通じゃない」「白い水に突入」などの隊員の台詞は、実際の通信記録には存在しない[6]。また当日(1945年12月5日)7時4分にマイアミ管制塔の管制官が「FT……FT……」と言う内容の遠い、はるかに遠い、かすかな無電を傍受していて、『FT』はこの消息を絶った5機のコールサインであり、しかも傍受されたのは燃料切れになった筈の時刻から2時間も経っていたとする話もあるが、午後8時位までは飛行出来るだけの燃料を積んでおり、この時点では燃料切れは起こしておらず、通信記録からこれは訓練生のボッシ少尉(コールサイン:FT3)から飛行教官のテイラー中尉(コールサイン:FT28)への呼びかけである事が分かっている。

原因仮説[編集]

上記捏造説が一般化するまでは様々な説が唱えられたことがあり、現在においても当時の説が繰り返し出版報道されている。それらの主なものは以下のとおりである。

ブラックホール説[編集]

バミューダ海域には宇宙で見られるようなブラックホールが密かに存在し異世界と通じていて、それに飲み込まれてしまうと戻れなくなるのだろうという説。確かに残骸が残ることはないだろうが、そもそも周囲の海水はおろか大気すらも際限なく吸い込まれてしまうと考えられるため、少なくとも現代の科学で証明できるような証拠は存在していない。

宇宙人説[編集]

宇宙人UFOを使い、航空機や船舶そのものや乗客・乗員をさらったという説もUFOブームが起きた1940年代後半以降一時盛んに取り沙汰されていたが、これを証明するような証拠が何もない上に、もし本当に宇宙人やUFOが実存していたとしてもなぜこの場所でさらう必要があるのか証明されていないばかりか、さらわれたはずの航空機の残骸と搭乗員の遺体が発見されるなど、辻褄が合わないことがほとんどである。ワーナー・ブラザース・スタジオのアトラクションで再現されている。

メタンハイドレート説[編集]

リチャード・マッカイバー博士により唱えられ、また、オーストラリアメルボルンにあるモナシュ大学ジョセフ・モナガン教授、学生デヴィッド・メイによって2003年9月にアメリカの物理学雑誌[7]に発表された説である。

  • 船舶の沈没 - メタンハイドレートによってメタンの泡が大量に瞬時に発生しそれによって船の浮力を失わせる(海水とは密度が異なるので)。海中で爆発が起き、大きな穴が開きそれで、船が吸い込まれる。
  • 航空機の墜落 - エンジンがメタンを吸い込み酸欠によって不完全燃焼を起こし、出力低下から揚力を失い墜落する。この現象はレシプロタービン共説明可能。爆発が起きたときに電磁波を発するため、それでレーダーやコンパスがおかしくなり、制御不能となり、墜落。
  • 航空機や船舶の残骸が発見されない理由 - 航空機や船舶の残骸が発見されない理由はメタンガスの放出により舞い上がった土砂が放出が止む際に沈んだ残骸の上に堆積してしまうため残骸が発見されないとも考えられている。強い海流によっても流されてしまうため。
  • バミューダトライアングルでメタンガスが発生する理由 - この海域は世界でも最大級の暖流が流れ込んでおり、メタンハイドレートは多少の水温の変化でメタンガスを放出するので、この暖流によってメタンガスが放出されやすいとも考えられる。

しかし、実際には航空機や船舶の残骸が発見されているほか、メタンハイドレートが発生したことと遭難の因果関係を証明する事案は1件も確認されていない。だが、コンパスがおかしくなったりすることもある。

マイクロバースト説[編集]

冷気の塊が海面に落下し、バースト(破裂)したように強風を引き起こす現象という説。これは従来のレーダーに捉えられず、短期間で収まるため、消滅事件の原因として注目された。ただし、マイクロバーストは低空でしか発生しないため、高空を飛行する飛行機で事故が発生する理由は説明できない。

その他[編集]

2006年3月16日にフジテレビ系で放送された『奇跡体験!アンビリバボー』内において、「電子雲」なるものが原因ではないかとされる考察が特集されていた。この説はワームホールができる事によって、この近辺を飛行する航空機、航行する船舶が「タイムスリップ」することが、残骸を残さず行方不明になる事故を起こしていると考えるものである。なお、電子雲は原子核の「周辺を回っている」としばしば形容される電子が、量子論的には確率的にぼんやりと存在するものであることを比喩的に表現したミクロの世界の用語であり、水蒸気から細かい水滴が発生することで見える通常の雲のようにふわふわとその辺りに浮かんでいるといったようなものではない。

近世以降探検家たちに恐れられた粘りつく海、サルガッソ海は、この海域にあり、海難事故がそれによって起こると考えられる(詳細はサルガッソ海参照のこと)。

30年ほど前に消えた旅客機戦闘機がまったく同じ状態で中の人間のみがミイラ化、または白骨化した状態で見つかったという奇談もあり、日本のバラエティ番組などで真実であるかのように語られている。これらが作り話であったことは証明済みである(サンチアゴ航空513便事件を参照)。

類似の海域[編集]

ドラゴントライアングル[編集]

太平洋の、千葉県野島埼小笠原諸島グアムを結んだ三角形海域を、チャールズ・バーリッツなどのアメリカの超常現象研究家はバミューダトライアングルになぞらえ、「ドラゴントライアングル」(ないし日本の「魔の海域」)と呼んでいる。これは明神礁での調査船遭難事故や、ヴァリグ・ブラジル航空機遭難事故がゆがんだ形で海外に伝わったことで発生したものである。

ブラジルのバミューダトライアングル[編集]

1984年、ブラジルサンパウロ市で発行されている「フォリャ・デ・サンパウロ」(Folha de S.Paulo)新聞は、「ブラジルのバミューダトライアングル」と題する記事を一面張り出して出版した。この三角形はリオデジャネイロ市の中心部のカリオカ広場(Largo de Carioca)付近に存在する三つの巨大高層ビルに囲まれる領域である。これらは政府系企業の本社ビルであり、公費の合法的な無駄使いが多いことで有名であった。あまりにも巨大すぎる無駄使いを象徴するために、「ブラジルのバミューダトライアングル」という表現を用いた。この三角形内では、飛行機や船は消滅しないが(車や財布はしばしば消えてなくなる)、お金が際限なく消失するからである。お金は晴天下良好な天候の下でも消失し、しかも消失の過程がまったく不明であるという例え話である。

バミューダトライアングルが登場する作品[編集]

関連書籍[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 来福丸はバミューダ諸島よりも北に位置するボストンで小麦を積み、ドイツのハンブルグに向かう予定だった。つまりボストンからさらに北へ向かって航行するのであり、態々ボストンより南にあるバミューダトライアングルに向かう理由がない。その為後に来福丸はボストン出港後ではなくパナマ運河を抜けボストンに向かう途中で謎の通信を残して消滅したと言う話に変えられている。しかしこの来福丸事件は嵐の中荒れる海に船体が飲み込まる様を撮影した写真が残っており(救助を要請する無電を傍受して駆けつけたホワイト・スター汽船ホメリック号に乗った人物が撮影した。)、その事からも謎の消滅事件ではない事が分かる。来福丸からのものとされる「まるで短刀(匕首としている場合がある)みたいだ!はやく来てくれ!」「たのむから来てくれ、とても逃げられない」と言う狂気じみた声の謎の通信は全くの捏造であると言える。
  2. ^ 『魔の三角海域』の著者であるクシュはヴェリティ本人と電話で話している
  3. ^ この事件は全長185Ft(約56.4m)の小型貨物船がハリケーンが齎す強い嵐に見舞われて沈没したのが真相なのだが、あくまで謎の消失事件にする為に全長が350Ft(約106.7m)と倍近い数字にされ、しかも好天の中で消失した事にする為に出港日を1950年4月5日から6月に変えられている。さらに謎の消失事件である事を印象付ける為か、「講釈師観てきた様な嘘を言い」を地で行く如何にも長閑な船内の様子が附加されてさえいる。
  4. ^ 船体は発見されたが38名の乗組員の行方は杳としてしれないとか、船長の遺体が船長室で椅子に座りコーヒーカップを手にしたままの姿で発見されたなど。実際は数名の乗組員の遺体が収容されているし、船長の遺体は海図室で上を向いて浮いた状態で発見されている。
  5. ^ 『ナショナル・ジオグラフィックチャンネル 都市伝説〜超常現象を解明せよ!バミューダ・トライアングル』
  6. ^ The Disappearance of Flight 19 bermuda-triangle.org
  7. ^ D. A. May and J. J. Monaghan, "Can a single bubble sink a ship?," Am. J. Phys. 71, 842-849 (2003).
  8. ^ 魔の三角海域 : その伝説の謎を解く (角川書店): 1975|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
  9. ^ この頃(1970年代中頃~後半にかけて)の角川文庫は“超自然の謎シリーズ”としてオカルト物(実際はデニケンの『未来の記憶』、シャトランの『神々の遺産』、ムーニィの『失われた古代文明』などの所謂"宇宙考古学(古代宇宙飛行士説、超古代文明説の事)"関連の著作が多かった。)を盛んに出版していた。その多くが日本語版翻訳権独占の形を取っており、区分が『白』であった事から「角川文庫の白版」と俗称されていた。他にもエドワーズの『超自然の謎』、トレンチの『地球内部からの円盤』、アダムスキーの『UFO同乗記』といったUFO・超能力関連の著作が出版されていた。それら一連の出版物の中で超常現象を否定する立場の著作はこの『魔の三角海域』一書だけである。

関連項目[編集]