バカボンのパパ

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天才バカボン > バカボンのパパ
青梅市赤塚不二夫会館のバカボンのパパの立体像

バカボンのパパバカボンパパ)は、赤塚不二夫のギャグ漫画・『天才バカボン』、ならびにそれを原作としたアニメの登場人物である。

人物像[編集]

『天才バカボン』の主人公で、バカボンとハジメの父。妻はバカボンのママ。誕生日は本人によると「昭和元年12月元日のクリスマスの夜」[1]。これは昭和元年(1926年)12月25日生まれ(昭和最初の日)のことと解釈される[2]。生年月日は植木等と同じである。連載開始が昭和42年(1967年)であったため、年齢は41歳[3]とされており、アニメ第2作後期エンディングでもそのように歌われている。血液型はBAKA型という特殊型で、なめると甘い味がする。

パパ側の親族に関しては、「わしの生まれたはじめなのだ」「わしの天才がバカになったのだ」で、「一郎」という名のパパの父親(通称「パパのパパ」)と、父親の弟(つまりパパの叔父)が登場しており、二人ともパパに顔が似ている。また「〜はじめなのだ」では、パパの父親が子供代わりに飼っていた、ウマの「馬之助」・ブタの「トン勝」・ニワトリの「ダシ夫」・ネコの「シャミ吉」の計4匹のペットが存在していたが、パパが産まれると用済みとばかりに、出産祝いに全て丸焼きにしてパパと父親に食べられてしまい、叔父をあきれさせた。なお、この2話ではパパの母親は登場せず、叔父が「3年前(1923年)に入院した」[4]と言っていた程度だったが、その後「母をたずねて三千円」(1972年発表)で登場。それによると、パパの母親は20年前(1952年)にパパから3,000円借金をしたのだが、その夜母親は突然失踪してしまったという。その後母親に再会したパパは、母親に「3000円返してください」と返済を迫り、さらに利子も請求するなど、借金と失踪がきっかけで、母子の情愛がなくなってしまったのであった。なお、母親の名は、前述のパパ誕生秘話では「マリア」となっていたが、「母をたずねて~」では「トロ」となっている。

熊本県七城中学校(実在)[5]東京都のバカ田高校を経て[6]バカ田大学を首席で卒業。学級委員も務めた。大学時代のあだ名はキャロル、またはノールス(がいつも留守だから)。バカ田大学の卒業式の日、「東洋工業に入社してマツダ・キャロルを作るのだ」などと言ったことがある。妻であるバカボンのママと出会ったのも大学時代である。

口癖は「これでいいのだ!」「タリラリラ〜ン[7]」「コニャニャチハ」「はんたいのさんせい」「さんせいのはんたい」など。サブタイトルのほとんどに使われている「〜なのだ」という語尾の多用も一般的にパパの特徴とみられているが、原作初期は「〜だよ」など普通の語尾で会話することの方が多かった。「コニャニャチワ」は当時投稿の挨拶などに多用され、現在でもラジオ番組の投稿に用いられる挨拶の変形の元祖であるとされている。また、理解不可能な事態に直面すると、「国会で青島幸男が決めたのか?」と言うこともある[8]

ハチマキと腹巻を身に付け、口元に髭を生やしている。鼻毛を伸ばしているように見えるが、実はである[9]。ハラマキの下に履いているズボンの色はアニメ版第1作目では藤色だが、第2作目以降は青(紺)色になっている。

レバニラ炒めが好物で、しばしばこの料理の名を口にする。おでんではタコの足が好みで、竹輪が嫌い。以前は唐辛子たこ焼きも好物だったが、二つとも何らかの理由で嫌いになった。タバコも吸うが、そのシーンはあまり出てこない。アニメ第3作では「ハイライト」らしきタバコが出てきている。

性格は子供っぽく、しかも子供の悪い面を体現したかのような人物像で常に誰かをからかったりイタズラしている。バカボン一家以外の彼を知る人物は総じてパパを「バカでいじわる」と評する。また、常識や倫理観にも欠けており、面白がって取った行動が会社を潰したり、人の人生を破滅させたり直接死に追い込むことも少なくない。

ママによると、「をつけない人」らしい(アニメ第1作70話)が、実際は頻繁に嘘をついており、いわば人を騙すことが多い。特にアニメ第3作では強調され、身内のバカボンらや、バカ田大学の後輩が被害に遭っている(72、84話など)。この嘘つきがたたってしまい、パパがトラックにはねられて入院した際には全く信用されなかったこともあった(原作6巻、アニメ第3作1話等)。しかし非常に家族想いで、気まぐれだが義憤に駆られることもたびたびあったりと完全な悪人というわけではない。

普段は支離滅裂、破天荒な言動をしているが、時折、至極まともなことを言うことも少なくなく、友人の前で嘘を付いてでも見栄を張ろうとしたママを批判したこともある。

アニメ第1作では道路交通法違反(無免許運転)で2度検挙されている。第9話では、取り調べの警官に交通事故の写真(漫画の写真ではなく実物の写真)を見せられた上に、「お前たちのような人がいるから、何人もの命が奪われてんだぞ!! 分かってんのか!!」と目ン玉つながりのおまわりさんに怒鳴られ、彼が持ってきた交通事故の写真を見て余りにも無残な様子からショックを受け、バカボンと号泣した。また、第72話では運転免許を取得するため自動車教習所に通っていたが、無免許運転発覚で免許を取得することができなくなった(いわゆる欠格期間)。しかし、人のトラックがパンクしてるのを見て「足はパンクしないのだ」と言って、免許の取得はあきらめた。

アニメにおいてパパは歌が特に上手で、歌唱大会などでその歌声を披露して周りを虜にすることもある。かあさんの歌を歌って強盗や殺人犯、無銭飲食や痴漢などの犯人を白状させたこともあった[10]。ちなみに十八番は「矢切の渡し」と「北の宿から」である[10]

バカになった経緯[編集]

もともとはハジメをも凌ぐ天才児で、生まれてすぐに天上天下唯我独尊と口にし、家庭教師をつとめたり自動車の修理を簡単にこなしたりしていたが、アクシデントによってバカになってしまう。なお、バカになった経緯は原作とアニメでは若干異なる。

原作 
パパが道を歩いている時にクシャミをし、その勢いで頭の歯車を口から吐き出してしまい、「もう天才はやめるのだ」と言ってバカになった。
アニメ第1作
ある日交通事故に遭った衝撃で、天才児だったバカボンのパパの口から脳味噌が飛び出して近くにいた馬が飲み込んでしまい、それと同時に馬の口から脳味噌が飛び出してバカボンのパパが飲み込んでしまうことで、バカボンのパパの脳味噌と馬の脳味噌とが入れ替わってしまう珍現象[11]が生じ、以降、現在のバカボンのパパのキャラクターとなった。
アニメ第2作
なぜか馬に逆恨みされ、蹴飛ばされたショックで脳味噌の歯車が壊れたためとなっている。

職業[編集]

原作者の赤塚不二夫は「パパは無職(バガボンド=放浪者)でないといけない」としているため、原作、アニメともに基本的には無職ということになっている。アニメ第1作では「パパが無職なのは子供番組として良くない」というテレビ局の要請で植木屋と赤塚に無断で設定され、赤塚はこれに憤慨した。原作ではそのほかにクリーニング屋の従業員、化粧品のセールスマン(ただし夢)、大工、サラリーマン、夜警、僧侶、洋食の料理人、変わったものでは唐辛子の味見係などいろいろやっているが、全て雇い主側から解雇されたり辞職している。アイロンを放置してクリーニング屋を火事で全焼させたり、取引先に暴言を吐いて勤務していた会社を倒産に追い込んだことすらある。アニメ第3作の「家庭教師のパパなのだ」で我利野邸の家庭教師募集の広告を見て家庭教師をしたことがある。

名前[編集]

名前は不明だが、アニメ第1作の第1話で警官から姓名を尋ねられ、「バカボン」と答えている(この時の新居の表札は「バカボン」である)。第2作ではママが電話に出たときに「バカボン家です」と応対している。また第4作では背広の注文書の氏名欄に「パパ」と書かれている。電話では「バカボンのパパなのだ」と名乗る。本名は「みんなそろってフチオさん」で「田中田フチオ」(たなかだ -)と自分で言っているが、田中フチオ・中田フチオ親子(義理の親子?)と共におまわりさんをからかっているように見えているので、かなり怪しい。『元祖天才バカボン』ではおまわりさんに「三丁目のバカ田さん」と呼ばれたことがある。

豊福きこうは著書『天才バカボンのパパ「国会で細川総理が決めたのだ!!」宣言』で、バカボンの家の表札の分析から父、長男とも姓名なしの「バカボン」で、区別するために父バカボンを「バカボンのパパ」と呼ぶのはないかと推理している。フジオプロのサイトでの質問コーナーでは「そんなもの(本名)はないのだ」と記されている。

映画『天才バカヴォン』ではパパ本人が「バカヴォン」と名乗ったが、この名前も最終的には本当の名前ではないことが判明している。

キャスト[編集]

アニメ第1作『天才バカボン』および第2作『元祖天才バカボン』で声を担当。雨森は、TBSラジオの昼番組『TBS それ行け!歌謡曲』15時台の出張コーナー「ミュージック・キャラバン」にいきなり「バカボンのパパなーのだ!」と登場したことがあった。コーナー担当者の久米宏は、スーパーに買い物に来たついでに見物していた本人を番組冒頭に引っ張り出したと番組で説明していた。晩年には、1982年にTBS系列で放送された『日立テレビシティ・ニャロメのおもしろ数学教室』で登場したパパの声も担当した。
1984年に逝去(享年53)。
1998年SOFT99の『フクピカ』のCM及び2015年第66回NHK紅白歌合戦の企画コーナー「アニメ紅白」の締めで過去の音声が使用されパパが「これでいいのだ!」としゃべった。CMでは大抵後述の富田耕生が起用されるなか珍しい例である。
アニメ第3作『平成天才バカボン』で声を担当。また、アニメ第1作放送直後に朝日ソノラマから発売されたソノシート付き絵本でも声を担当し、アニメ第3作の放送開始以前にもセガ・マークIII用ゲームソフト『天才バカボン』のテレビCMで声を担当している。ゲームでは声は出ない。TBSの健康番組『人間!これでいいのだ』での、番組の案内役として登場したパパの声のほか、各種CM、パチンコ『CR天才バカボン』などでも起用されている。
アニメ第4作『レレレの天才バカボン』で声を担当。
flashアニメ『となりの天才ヴァカボン』・長編アニメーション映画『天才バカヴォン~蘇るフランダースの犬~』で声を担当。バカボンのパパ以外のキャラの声も担当している。
2016年3月11日に放送されたテレビドラマ『天才バカボン〜家族の絆』にて担当。

このほか、『天才バカボン』開始以前にバカボンのパパはアニメ『もーれつア太郎』第1作にも登場しており、第74話(1970年)で初めてしゃべる。このときの声優は同作でココロのボス役を担当していた八奈見乗児である。また、八奈見は元祖天才バカボンの77話Bパート「タイムマシンで先祖にあうのだ」に登場するバカボンのパパそっくりなパパの先祖の声も担当している。また、『これでいいのだ!!映画★赤塚不二夫』にCGキャラクターとして登場した際は、同作で赤塚不二夫を演じた浅野忠信が声優を務めた。

補足[編集]

  • バカボンのパパは赤塚が一番気に入っているキャラクターで、その理由は「どんなに酔っ払っていてもバカボンのパパの顔だけは、ちゃんと描けるから」とのこと。
  • モデルは作者である赤塚の実父と言われている。また、もーれつア太郎のア太郎のモデルキャラでもある。
  • 原作漫画では登場人物が死亡する描写があり、そのほぼすべてにバカボンのパパが関与している。死亡のパターンは次の4つに大別できる。
    1. パパが直接手を下して殺害した。
    2. パパの過失によって死亡した[12]
    3. パパの言動・行動によって自殺に追い込まれた。
    4. パパの故意も過失もないが、パパに関わったために死亡した。
  • 1972年発表の「20年後のお話なのだ」(前後編)では、20年後(1992年)バカボンはスキンヘッドで「マジメ」という不良息子が産まれ、ハジメとママはシワが増え(後編ではママは激太り)に変っているのに対し、パパはほとんど変わっていないが、今まで使った鉢巻きをガラスケースに保管している。また性格もほとんど変わっておらず、不良孫のマジメが巨大リンゴから現れた毛虫(ケムンパスもどき)に襲われ、ママとバカボンが助けるように勧めても、「だめ!! こんな悪ガキは虫に食われて死ねばいいのだ!!」と制止する(結局マジメは毛虫に説教されて改心)など、性格は全く変わっていない。

脚注[編集]

  1. ^ 原作のバカボンのパパ誕生秘話の回より。
  2. ^ バカ田大学後援会『天才バカボンの大神秘―バカボンのパパの知能指数は12500なのだ!?』ベストセラーズ、1993年、12頁。ISBN 4584181543
  3. ^ ただし、インチキの占い師に年齢を聞かれた時「45歳」と答えたことがある。
  4. ^ つまり母親が入院して、パパは3年間も産まれなかった。父親が動物を子供代わりにしていたのはそのため。
  5. ^ 当時赤塚のアシスタントであった、現・漫画家の近藤洋助が七城中学校卒業であったことから、赤塚が「なるべく遠くの出身ということにしたかった」と思ったことにより、この設定が付いたという(2009年8月19日放送『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』日本テレビ)の『日本二の旅』でも紹介。2010年3月11日付・熊本日日新聞においても『「バカボンのパパ」の母校の菊池市・七城中に石碑完成「著作権は問わないのだ」』の見出しで関連記事掲載)。
  6. ^ 曙出版『天才バカボン』第30巻より。
  7. ^ 厳密にはパパの口癖ではなく、初期作品「タリラリラーンのとうがらし」(竹書房文庫第2巻)で、激辛唐辛子製造会社「八色(パーいろ)とうがらし」社内で唐辛子を味見したり飲んだりしたりした際に、錯乱状態になった社員達が叫んだ言葉。この会社にパパが入社した時、うっかり唐辛子の樽に落ちて、顔面が腫れ上がった状態で帰宅した際、パパが「もうあんな会社はタリラリランだ!!」と叫んだ時から、パパが多用する様になった。
  8. ^ クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』でも野原ひろしがこのセリフを使ったことがある。
  9. ^ 竹書房文庫『天才バカボン』17巻「ハナゲもあらしもふみこえるのだ」。アニメでもこの設定に準じており、クシャミなど鼻の穴が映るシーンではきちんと描き分けられているが、鼻毛として描かれている場面も多い。
  10. ^ a b 平成天才バカボン 第58話「おきたらコワイ犯人なのだ」より
  11. ^ 週刊少年キング連載時の「おそ松くん」でもイヤミと犬の脳味噌が入れ替わるという話がある。
  12. ^ アニメ第2作の141話では常に顔を見せず手しか見せない友達の顔が見たいパパがうっかりガスコンロをひっくり返し、その友達と妻子を焼死させた(その時でも顔を気にしていた。なお、原作漫画『30年目の初顔あわせなのだ』では故意の放火だった。)など