ハンドパン

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Pantheon SteelのHalo.上から見下ろした写真。

ハンドパン(handpan)は楽器の一つである。鉄を主成分とする金属製の体鳴楽器であり、2000年にスイスのPanArt社が開発したハング(Hang)および、それに似た形状に作られた楽器の一群の総称である。

歴史[編集]

2000年頃,スイスのPANArtが、トリニダードトバゴスチールパンから発展させたHangを開発、発表した。アジアや中東圏の打楽器の特徴をも兼ね備えたこの楽器は、欧米を中心にまたたく間にその人気が広まった。一方でその製法や入手方法についてはベールに包まれ、Hangはその神秘性を増していった。[1]
2006年に放送されたPANArtへのテレビ取材でその製法の一部が露呈すると、以降、世界中でHangを模倣した、あるいはインスピレーションを受けた楽器が作られ始めるようになる。
2007年秋、アメリカのPantheon Steel社がHangの代替品としてのHaloをウェブ[2]上で発表した。 その後英語圏でハンドパンと言う言葉が産まれ、最初期(~2009年辺り)の4メーカーの製品、すなわちAfrotonのCaisa,BellArtのBells, Pantheon StellのHalo,Metal SoundsのSpacedrumらを指す様になる。 2009年にはフォーラムサイトhandpan.orgが現れ、ハンドパンの名称がその定義とともに広まるようになる。

今日では欧米を中心とした世界中に多くのメーカー[3]が産まれ、各々が材料、製造技術、形状、音に工夫を凝らし、そのバリエーションを広げている。

構造と特徴[編集]

多くのハンドパンは、直径45~60cm、高さ20~40cm程度のサイズである。 同時に一台辺り7~10程度のtonefieldと1つのdingを有している事が多い。 形状は進化を続けており、2016年現在、音数は15、音域はA2~G5までの開発が確認されている。 高熱による表面への窒化処理を行うメーカーが多く、これにより硬質化による寿命の延長やチューニングのしやすさ、耐錆性を持つことに成功している。コストや音質への影響から、あえて窒化処理を行わないメーカーもある。

また、金属製のドーム型スリットドラムを、その形状から『ハンドパン』の一群に含ませる見方もあるが、構造自体は全く似て非なるものである。

奏法[編集]

基本的には両手の指により演奏され、他のハンドパーカッションのメソッドが適応される。

その為、演奏者により奏法にも幅があり、目指す音楽表現に適した奏法がその時々で用いられ、また現在も開発され続けている。

名称について[編集]

批評家の間で名称についての議論が積み重ねられてきた一方で、愛好家たちはこの新しい楽器の一群を指す一般的な名称が必要であると感じ続けていた。ハングドラム、パンタム、パンドラムなどそれぞれ様々な呼ばれ方がされる中で、英語圏でハンドパンという名称が『手で演奏するスチールパン』と言う意味合いとして直観的に理解され、人々から支持され慣習表現として用いられるようになってきた経緯がある。 [4]

楽器学の分類的に見れば『Hangは最初のhandpan』と言い替えることができる。しかしその一方で、PANArtのFelix RohnerとSabina Schärerはインタビューで以下のように発言している。 "To state it clearly and precisely: we do not make percussion instruments, handpans or hang drums."、"The Hang is sometimes referred to as a hangdrum, but the inventors consider this a misnomer and strongly discourage its use"[5] すなわち、hangはhangであり、パーカッションではない。ハンドパンやハングドラムと呼んで欲しくはない、という主張である。ちなみにPANArtはHangの名称に商標を取得している。

出典[編集]

  1. ^ swissinfo.ch”. 2016年8月13日閲覧。
  2. ^ Sub-forum "New hand pan development" by the Hang-Music Forum.”. 2007年11月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月13日閲覧。
  3. ^ World Map of handpan makers
  4. ^ What is a handpan?”. Discussion about the term on www.hangforum.com. 2013年8月17日閲覧。
  5. ^ Newsletter PANArt, May 19th, 2010”. hangblog.org (2010年5月19日). 2013年8月17日閲覧。