ハンセン (競走馬)

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ハンセン
ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル優勝時のハンセン
欧字表記 Hansen
品種 サラブレッド
性別
毛色 芦毛
生誕 2009年4月23日[1][2]
Tapit
Stormy Sunday
母の父 Sir Cat
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者 Dr. Kendall Hansen[3]
馬主 Kendall E. Hansen, Sky Chai Stables[3][2]
調教師 Michael J. Maker[3][2]
競走成績
生涯成績 9戦5勝[2][4]
獲得賞金 1,810,805ドル[2][5]
勝ち鞍
GI BCジュヴェナイル 2011年
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ハンセンHansen2009年4月23日 - )は、アメリカ合衆国サラブレッド競走馬種牡馬2011年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルを制した。

経歴[編集]

ケンダール・ハンセンの生産したサラブレッドの牡馬で、生産したハンセンとスカイチャイレーシング代表のハーヴェイ・ダイアモンドの共同所有のもと競走馬として登録された[6]

2歳時(2011年)[編集]

ケンタッキー州ルイビルを拠点とするマイケル・メーカー調教師に預けられ[6]、ハンセンは2歳になった2011年にデビューした。その初戦は2011年9月9日のターフウェイパーク競馬場での未勝利戦(オールウェザー5.5ハロン)で、これを2着馬に12馬身1/4差という大差をつけて初勝利を手にした[7]。続いて同競馬場で9月24日に行われたケンタッキーカップジュヴェナイルステークス(L・オールウェザー8.5ハロン)に出走すると、ここも13馬身1/4差という大差で勝ち[8]、大いに注目を集めるようになる[5]

同年11月5日のブリーダーズカップチャーチルダウンズ競馬場で行われ、ハンセンもブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(G1・ダート8.5ハロン)に登録されていた。13頭が登録された同競走の1番人気は無敗でシャンペンステークス(G1)を制してきたユニオンラグズで単勝2.1倍と断然の人気を集め、次いでノーフォークステークス(G1)を制してきた4戦3勝のクリエイティヴコーズが6.9倍で2番人気、3番人気にハンセン(単勝8.1倍)が支持されていた[9]。レースが始まると、ラモン・ドミンゲスを鞍上に据えたハンセンはスタートとともに飛び出して先頭を確保、2番手のスパイツシティという馬を1馬身半ほど離しながら、各地点を23秒26、47秒39、1分12秒24のペースで走り抜けていった。残り2ハロンの標識時点でハビエル・カステラーノの駆るユニオンラグズはハンセンに半馬身差まで迫ってきていたが、追い上げの途中でよれたこともあってついに捉えきれず、最終的にハンセンがアタマ差で優勝を手にした[9][6]。ユニオンラグズから1馬身離れた3着にはクリエイティヴコーズが入った[9][6]

翌年1月16日に2011年度のエクリプス賞が発表され、ハンセンは194票の圧倒的支持を受けて同年の最優秀2歳牡馬に選出された[10]

3歳時(2012年)[編集]

2012年の初戦は1月29日のガルフストリームパーク競馬場で行われたホーリーブルステークス(G3・ダート8ハロン)で、スタートでつまづきながらも先頭に立っていたものの、不良馬場に脚をとられて失速、2番手につけていたアルゴリズムという馬に5馬身遅れて2着でゴール、初めての敗北を喫した[11]

続く3月3日のアケダクト競馬場におけるゴーサムステークス(G3・内馬場ダート8.5ハロン)では、ハンセンはそれまで着けていたブリンカーを外して競走に臨んでいる[12]。スタートから先行集団につけて進んだハンセンは、バックストレッチからコーナーに入ったところでドミンゲスが指示を出すとすぐさま先頭に立ち、直線でも勢い衰えぬままゴールして、2着馬マイアドニスに3馬身差をつけて勝利した[12]

ハンセン陣営はハンセンのフィギュアを配るなどたびたび過度にプロモーションを行っており、その中でもひと際物議をかもしたのが4月14日のブルーグラスステークス(G1・オールウェザー8.5ハロン)出走時に尻尾を青く染めたことであった[5]。この行為は開催地であるキーンランド競馬場の裁決委員から咎められ、発走前に染料を落とすように指示された[5]。この処分には馬主のケンダールはひどく失望したと語っている[13]。レースにおいてはいつも通り先頭を保持していたものの、最後の直線でケント・デザーモの乗るデュラハンという馬に追い抜かれて1馬身1/4差の2着に敗れた[14]

5月5日のチャーチルダウンズ競馬場で迎えたケンタッキーダービー(G1・ダート10ハロン)では先頭に立つボーディマイスターのやや後ろ3番手につける競馬で進めていたが、直線で失速して9着と大敗した[15]。ケンタッキーダービー後はクラシック路線から離れ、6月30日にプライリーメドウズ競馬場のアイオワダービー(G3・ダート8.5ハロン)に出走、これを10馬身差をつけて圧勝した[16][5]

8月4日にマウンテニア競馬場で行われるウェストヴァージニアダービー(G2・ダート9ハロン)に際して、馬主のケンダールは主催者に再びハンセンの尻尾を染めたいと願い出ており、競馬場側もこれを承諾している[17]。レースでは先頭に立って進めるものの、3コーナーで後続集団に捕まり、勝ち馬マッチョマッチョから2馬身以上離された4着に敗れた[18]

その後8月25日のトラヴァーズステークスに向けて準備されていたが、22日に屈腱炎が発覚[19]、引退か続行かで揺れ動いたが、結局9月17日に引退が報じられた[20]

種牡馬入り後[編集]

競走馬引退後、ハンセンはクールモア系列のアッシュフォードスタッドに購入され[21]、翌年より同地で種牡馬として活動を始めた。

2013年10月8日、前馬主のケンダールはハンセンが韓国馬事会に購入されたことを報告し、思い入れのある馬を海外に売りたくなかったという複雑な胸中を吐露している[5]。2016年6月5日にハンセンズヴィクトリー(Hansen's Victory)がヘイスティングス競馬場で勝利し、ハンセン産駒の初勝利をもたらしている[22]

血統表[編集]

ハンセン血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 シアトルスルー系
[§ 2]

Tapit
芦毛 2001
父の父
Pulpit
鹿毛 1994
A.P. Indy Seattle Slew
Weekend Surprise
Preach Mr. Prospector
Narrate
父の母
Tap Your Heels
芦毛 1996
Unbridled Fappiano
Gana Facil
Ruby Slippers Nijinsky
Moon Glitter

Stormy Sunday
鹿毛 2002
Sir Cat
黒鹿毛 1993
Storm Cat Storm Bird
Terlingua
Desert Run Private Account
*エイプリルラン
母の母
Thinkin'strait
鹿毛 1992
Highland Park Raise a Native
Old Goat
Tescudera Temperence Hill
Thorn Apple
母系(F-No.) (FN:22-d) [§ 3]
5代内の近親交配 Mr.Prospector 4x5=9.38%、Raise a Native 4x5=9.38%、Secretariat 5x5=6.25%、Northern Dancer 5x5=6.25% [§ 4]
出典
  1. ^ [23], [24], [1]
  2. ^ [24]
  3. ^ [23], [24]
  4. ^ [23], [24], [1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c Hansen”. equineline.com. 2019年10月29日閲覧。
  2. ^ a b c d e Horse Profile for Hansen”. equibase.com. 2019年10月29日閲覧。
  3. ^ a b c Hansen - Horse Profile”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  4. ^ Hansen(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. JBISサーチ(JBIS-Search). 日本軽種馬協会. 2019年10月29日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 2011年の米国最優秀2歳馬ハンセン、韓国が購買”. ジャパン・スタッドブック・インターナショナル (2013年10月24日). 2019年10月29日閲覧。
  6. ^ a b c d Hansen Holds Off Union Rags in BC Juvenile”. bloodhorse.com (2011年11月5日). 2019年10月29日閲覧。
  7. ^ MAIDEN SPECIAL WEIGHT”. equibase.com (2011年9月9日). 2019年10月29日閲覧。
  8. ^ Bluegrass Cat Kentucky Cup Juvenile S.”. equibase.com (2011年9月24日). 2019年10月29日閲覧。
  9. ^ a b c Grey Goose Breeders' Cup Juvenile”. equibase.com (2011年11月5日). 2019年10月29日閲覧。
  10. ^ Tom LaMarra (2012年1月16日). “Another Easy Victory for Hansen”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  11. ^ Jack Shinar (2012年1月29日). “Algorithms Derails Champ Hansen in Holy Bull”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  12. ^ a b Jason Shandler (2012年3月3日). “Hansen Relaxes Early, Romps in Gotham”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  13. ^ Ron Mitchell (2012年4月15日). “Hansen: Disappointed Horse's Tail Not Blue”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  14. ^ Toyota Blue Grass S.”. equibase.com (2012年4月14日). 2019年10月29日閲覧。
  15. ^ Kentucky Derby Presented by Yum! Brands”. equibase.com (2012年5月5日). 2019年10月29日閲覧。
  16. ^ Tom LaMarra (2012年6月30日). “Hansen Romps in Iowa Derby Return”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  17. ^ Tom LaMarra (2012年7月31日). “Hansen to Race With Blue Tail at Mountaineer”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  18. ^ West Virginia Derby”. equibase.com (2012年8月4日). 2019年10月29日閲覧。
  19. ^ Hansen Injures Tendon, Likely Retired”. bloodhorse.com (2012年8月22日). 2019年10月29日閲覧。
  20. ^ BloodHorse Staff (2012年9月17日). “Champion and BC Winner Hansen Retired”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  21. ^ BloodHorse Staff (2012年11月5日). “Champion Hansen to Stand at Ashford”. bloodhorse.com. 2019年10月29日閲覧。
  22. ^ Hansen's Victory is First Winner for Hansen”. bloodhorse.com (2016年6月5日). 2019年10月29日閲覧。
  23. ^ a b c Hansen(USA)”. JBISサーチ. 2019年10月29日閲覧。
  24. ^ a b c d Hansen”. netkeiba.com. 2019年10月29日閲覧。