ハンス・ロスリング

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ハンス・ロスリング
Hans Rosling, 2016 (cropped).jpg
2018
生誕 (1948-07-27) 1948年7月27日
 スウェーデン ウプサラ
死没 (2017-02-07) 2017年2月7日(68歳没)
 スウェーデン ウプサラ
国籍  スウェーデン
研究機関 カロリンスカ研究所
出身校 ウプサラ大学
セント・ジョン医科大学
論文 Cassava, Cyanide, and Epidemic Spastic Paraparesis: A Study in Mozambique on Dietary Cyanide Exposure (1986)
主な業績 国際保健に関するビデオレクチャー [1]
主な受賞歴 世界で最も影響力のある100人: 2012 [2]
Grierson Awards - Best Science Documentary: 2011 [3]
Honorary chieftainship - リベリア [1]
配偶者
Agneta Thordeman
(m. 1972, death)
子供 3 (オーラ・ロスリングを含む)
公式サイト
www.gapminder.org
プロジェクト:人物伝
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TEDでプレゼンテーションをするハンス・ロスリング

ハンス・ロスリングHans Rosling, 1948年7月27日 - 2017年2月7日)は、スウェーデンウプサラ市出身の医師、公衆衛生学者。カロリンスカ研究所の国際保健学の教授および、スウェーデンストックホルムに拠点を置くギャップマインダー財団のディレクターを務めた。世界的ベストセラーとなっている『ファクトフルネス英語版』の著者。

詳細[編集]

経歴[編集]

1967年から1974年ウプサラ大学で統計学と医学を学び、1972年インドバンガロールセント・ジョン医科大学で公衆衛生学を学んだ。医師免許を取得後、1976年から1979年の間、モザンビーク北部のナカラで医師として働いた。

1981年8月21日、これまで知られていなかった麻痺を来たす疾患のアウトブレイクを発見し、その後行った調査によって、1986年、ウプサラ大学から博士号を授与された。その後、20年間をアフリカの僻地におけるこの疾患のアウトブレイクの研究に費やし、10名の博士課程の学生を指導した。ロスリングの研究グループは、この新しい疾患を最初に感染集団が発生した地名にちなんでコンゾ(英:Konzo)と名づけられた。彼は、アウトブレイクは飢餓にさらされている充分に処理されていないキャッサバを主食としているアフリカの地方の人口集団で起こっており、栄養不良とシアン化物の高濃度摂取がその原因であると結論付けている[1]

ロスリングは、その他、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ地域における経済開発、農業、貧困、健康の間にみられる関係性に焦点をあてた研究も行っている。WHOユニセフ、その他の援助機関で保健アドバイザーを務めたこともある。1993年、スウェーデンにおける国境なき医師団を共同で設立し、2005年からスウェーデン王立科学アカデミーの国際グループのメンバーの一人として活躍している。また2001年から2007年までは、カロリンスカ研究所の国際保健部門(IHCAR)[2]部長を務め、カロリンスカ国際研究・トレーニング委員会の委員長(1998年-2004年)として、アジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカの大学との共同研究をスタートさせた。グローバル・ヘルスに関する新たなコースを開始するとともに、グローバル・ヘルスの教科書を共同執筆し、「事実に基づいた世界観(fact-based world view)」の考え方を促進している。

2017年2月7日、すい臓がんのため死去。68歳没。

ギャップマインダー財団[編集]

彼は、息子であるオーラ・ロスリング、その妻のアンナ・ロスリングとともにギャップマインダー財団(英:Gapminder Foundation)を設立した。ギャップマインダー財団は、自由にアクセスできる公共統計の利用と理解を高めることにより”事実に基づいた世界観”を促進することを目的として、国際統計を動的でインタラクティブで楽しめるグラフィックに変換するソフトウェア”Trendalyzer”を開発した。彼は、2006年2007年と、カリフォルニア州モントレーで開催されたTEDカンファレンスにおいて、Trendalyzerのグラフィックを用いて世界の開発視覚化するトークを行い[3]、ユーモラスだが極めて真剣であるとして賞を受賞している。この際使用されたインタラクティブアニメーションは、財団のウェブサイト[4]から自由に利用できる。

2007年3月、米グーグルは、Trendalyzerをスケールアップし、一般の統計においても自由に利用できるようにするという目的で買収を行った。Trendalyzerは、現在、英:Google Visualization APIとして一般に配布されており、また、Googleドキュメントスプレッドシート「モーショングラフ」ガジェットとして容易に利用することができる。

Hans Rosling swallows sword.jpg
剣呑みのパフォーマンス

ロスリングは、また剣飲み達人(英:sword swallower)でもある。(TED2007のロスリングのトークの最後の数分を参照)。

業績[編集]

  • Lindstrand A, Bergtröm S, Rosling H, Rubensson B, Stenson B, Tylleskär T (2006). GLOBAL HEALTH an introductory textbook Lund: Studentlitteratur ISBN 978-91-44-02198-0
  • Onabolu AO, Oluwole OS, Bokanga M, Rosling H (2001). Ecological variation of intake of cassava food and dietary cyanide load in Nigerian communities. Public Health Nutrition. 4(4): 871-6

受賞歴[編集]

著作[編集]

  • Thorson, A.; Ragnarsson, A.; Rosling, H.; Ekström, A. (2010). “Male circumcision reduces HIV transmission. The risk of transmission from woman to man is halved”. Läkartidningen 107 (46): 2881–2883. PMID 21197783. 
  • Hanson, S.; Thorson, A.; Rosling, H.; Örtendahl, C.; Hanson, C.; Killewo, J.; Ekström, A. M. (2009). Husereau, Don. ed. “Estimating the Capacity for ART Provision in Tanzania with the Use of Data on Staff Productivity and Patient Losses”. PLOS ONE 4 (4): e5294. Bibcode2009PLoSO...4.5294H. doi:10.1371/journal.pone.0005294. PMC 2667213. PMID 19381270. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2667213/. 
  • Von Schreeb, J.; Riddez, L.; Samnegård, H.; Rosling, H. (2008). “Foreign field hospitals in the recent sudden-onset disasters in Iran, Haiti, Indonesia, and Pakistan”. Prehospital and Disaster Medicine 23 (2): 144–151; discussion 151–3. doi:10.1017/S1049023X00005768. PMID 18557294. 
  • Schell, C. O.; Reilly, M.; Rosling, H.; Peterson, S.; Ekström, A. M. (2007). “Socioeconomic determinants of infant mortality: A worldwide study of 152 low-, middle-, and high-income countries”. Scandinavian Journal of Public Health 35 (3): 288–297. doi:10.1080/14034940600979171. PMID 17530551. 
  • Von Schreeb, J.; Rosling, H.; Garfield, R. (2007). “Mortality in Iraq”. The Lancet 369 (9556): 101; author reply 103–4. doi:10.1016/S0140-6736(07)60058-0. PMID 17223462. 
  • Elrayah, H.; Eltom, M.; Bedri, A.; Belal, A.; Rosling, H.; Ostenson, C. (2005). “Economic burden on families of childhood type 1 diabetes in urban Sudan”. Diabetes Research and Clinical Practice 70 (2): 159–165. doi:10.1016/j.diabres.2005.03.034. PMID 15919129. 
  • Thanh, H. T. T.; Jiang, G. X.; Van, T. N.; Minh, D. P. T.; Rosling, H.; Wasserman, D. (2005). “Attempted suicide in Hanoi, Vietnam”. Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology 40 (1): 64–71. doi:10.1007/s00127-005-0849-6. PMID 15624077. 
  • Rosling, H. (2004). “New map of world health is needed. North and South is changed to healthy and ill and West to rich and poor”. Läkartidningen 101 (3): 198–201. PMID 14763091. 
  • Rosling, H.; Rosling, O.; Rosling Rönnlund, A. (2018). Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About the World--and Why Things Are Better Than You Think. Flatiron Books. pp. 288. ISBN 9781250123817 
  • Rosling, H.; Härgestam, F. (2020). How I Learned to Understand the World: A Memoir. Flatiron Books. p. 256. ISBN 9781250266897
    • Hans Rosling 著、枇谷玲子 訳 『私はこうして世界を理解できるようになった』Fanny Härgestam、青土社、2019年。ISBN 978-4-7917-7217-9OCLC 1126674087 

脚注[編集]

  1. ^ a b Maxmen, Amy (2016). “Three minutes with Hans Rosling will change your mind about the world”. Nature 540 (7633): 330–333. doi:10.1038/540330a. ISSN 0028-0836. PMID 27974780. 
  2. ^ Christakis, Nicholas A. (2012年4月18日). “Hans Rosling - The World's 100 Most Influential People: 2012 - TIME”. Time. ISSN 0040-781X. http://content.time.com/time/specials/packages/article/0,28804,2111975_2111976_2112170,00.html?iid=sr-link1 2017年2月17日閲覧。 
  3. ^ The Grierson Trust - Winners” (英語). www.griersontrust.org. 2017年2月17日閲覧。

外部リンク[編集]