ハルドゥ

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ハルドゥ
Plants of the coast of Coromandel Coast Tamil Nadu Andhra Pradesh India Flora Fruits Flowers (7).jpg
ハルドゥ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク上群 superasterids
階級なし : キク類 asterids
階級なし : asterids I
: リンドウ目 Gentiales
: アカネ科 Rubiaceae
亜科 : キナノキ亜科 Cinchonoideae
: タニワタリノキ連 Naucleeae
: タニワタリノキ属 Adina
: ハルドゥ A. cordifola
学名
Adina cordifolia (Roxb.) Brandis[1][注 1]
シノニム
英名
yellow teak、saffron teak など

ハルドゥ[2](haldu; ヒンディー語: हलदूラテン文字転写: haladū; 学名: Adina cordifoliaシノニム: Haldina cordifolia など)とは、アカネ科樹木の一種である。インドスリランカ東南アジアなどに分布する(参照: #分布)。本種の特徴は丸みのあるハート形の葉と、球状の見た目をなす腋生の花である(参照: #特徴)。様々な用途のある木材が得られる(参照: #利用)。

分類[編集]

参考: タニワタリノキ(Adina pilulifera

最初は1796年にナウクレア属英語版Nauclea cordifolia として記載されるが、1870年代前半になるとタニワタリノキ属Adina)とする説が唱えられ、さらに1978年の Blumea 24: 361 ではコリン・リズデイルスペイン語版(Colin Ridsdale)により設けられた新属の Haldina に置く説が発表された。正名はリズデイルによる Haldina cordifolia とする場合[7]と100年以上の歴史を有する Adina cordifolia とされる場合[1]とに分かれる。

なお、日本にはタニワタリノキ属であるタニワタリノキAdina pilulifera; シノニム: A. globiflora)が九州南部に自生しているが、#特徴で後述するようにハルドゥの葉が丸みを帯びたハート形であるのに対し、タニワタリノキの葉は披針形である[8][注 5]

分布[編集]

スリランカインドから東南アジア東アジアにかけて分布する[4]

生態[編集]

インドアラーヴァリー山脈では時々清流沿いで見られ8月から12月にかけてが花期で、2月から3月の間に実がなる[6]。またタミルナードゥ州中央部においては山麓や1200(1400)メートル以下の地帯に見られる[4]

特徴[編集]

落葉中高木で[2]、樹高は3-10メートル[6]だが20(30)メートルにまでなる場合もある[4]。幹は地表から数メートルは分枝しない[4]。樹皮は灰褐色、雲斑状にはがれ落ち[2]厚さ4センチメートル[4]、若い部分には微毛が見られる[6]板根が存在する[10]

葉は対生[2]革質[6]、心臓形から(ほぼ)円形、12-17×14-20センチメートル[4]、先端が先鋭形[11]、全縁で表面は無毛となるが裏面は灰色で微毛が見られ[6]托葉は葉質である[4]葉柄は長さ3-7センチメートルで微毛がある[6]

花は腋生[6]葉腋から長さ2.5-10センチメートルの花梗が1-4本伸び[12]、5部位に分かれる球状の頭花でクリーム色[4]あるいは黄色で径1.8-2.5(場合によっては3[4])センチメートル[12]ドングリ殻斗状で不明瞭だが5稜あって5裂し[4]、その萼片は基部まで裂け、外側が毛に覆われる[6]花冠はクリーム色で径3.5ミリメートル、漏斗状で5裂し[4]、微毛が見られる[6]雄蕊(おしべ)は5本で(ほぼ)突出している[4]柱頭は頭状で[11]花柱はかなり突出しており[6]子房は(ほぼ)先端が切られた形で2室、胚珠は3-5個が頂生胎座上に付き[4]、下垂する形となる[11]

果実は蒴果で倒円錐形、微毛があり[6]、密になり、割れて2つの小乾果となる[4]。種子は長楕円形で翼があり[2]、微毛が見られ茶色っぽい色である[6]

利用[編集]

ハルドゥからは木材が得られる。材の色は新鮮なうちは淡黄色から黄色であるが、やがて黄褐色から帯黄褐色となる[5]。木目は細かく滑らかかつ繊維質で、建材板張り箪笥銃床[10]帆柱家具彫刻刳形(モールディング)、曲げ木、屋内造作農具糸巻定規などに用いられてきた[2]が、湿気に対しては弱い[10]比重は0.64-0.70で加工しやすく、美しい光沢があり、耐久性は高めである[2]

諸言語における呼称[編集]

インド:

カンボジア:

スリランカ:

  • シンハラ語: කොළොම් (koḷom)、කොළොං (koḷoṃ)、කදඹ (kadamba)、දීප්තා (dīptā)、තරුණාද්‍රි (taruṇādri)、ධූලිකදම්බ (dhūlikadamba)、ෂට්පදේෂ්ට (ṣaṭpadēṣṭa)、කදඹක (kadambaka)[19] - kalon[2] や kolong[10] のラテン文字表記で記録している資料が存在する。

タイ:

ベトナム:

ミャンマー:

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ a b c いずれも同じ文献 Forest Fl. N.W. India 263 1874 に基づいてタニワタリノキ属Adina)に分類されたものであり、Govaerts (2019) はこれを正名としている。
  2. ^ 文献情報は Gen. Pl. 2: 30. 1873。
  3. ^ 文献情報は Pl. Coromandel 1: 49 1796。
  4. ^ 文献情報は Pl. Cor. 1: 40. t. 53. 1796。
  5. ^ 牧野はタニワタリノキの正名を Nauclea orientalis L.、そのシノニムを Adina globiflora Salisb. としているが、Govaerts (2019) は両者は互いに無関係としている。熱帯植物研究会 (1996:426) はインドシナフィリピンインドネシアニューギニアに分布する Nauclea orientalis に「バンカル」(フィリピン: bangkal)、後に Govaerts (2019) により N. orientalis のシノニムとして扱われるようになるモルッカス(モルッカ諸島)原産の Nauclea undulata Roxb. に「チーズウッド」(パプアニューギニアオーストラリア英語: cheese wood)や「ヤエヤマアオキ」という呼称をあてているが、ヤエヤマアオキというと今度はアカネ科の別種 Morinda citrifolia の標準和名となってしまう[9]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e Govaerts (2019).
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 熱帯植物研究会 (1996).
  3. ^ a b c d e The Plant List (2013).
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Matthew (1995:235).
  5. ^ a b 堀田 (1989).
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n Otaghvari et al. (2015:150).
  7. ^ World Flora Online, http://www.worldfloraonline.org/, 23 May 2019
  8. ^ 牧野 (1940).
  9. ^ 米倉・梶田 (2003-).
  10. ^ a b c d e f g h Beddome (1869).
  11. ^ a b c Matthew (1995:230).
  12. ^ a b c d Bhutya (2011).
  13. ^ Wilkes (1819:610).
  14. ^ இராமையா & சந்திரசேகரன் (2004:53).
  15. ^ a b Quattrocchi (2012).
  16. ^ 古賀・高橋 (2006).
  17. ^ Khmer Dictionary: ខ្វាវ. 2019年5月26日閲覧。
  18. ^ 坂本 (1991).
  19. ^ Clough (1892:101,137,272,643,791,795).
  20. ^ อุดม รุ่งเรืองศรี (2004).
  21. ^ Viện điều tra qui hoạch rừng (1995:104,106).
  22. ^ 大野 (2000).

参考文献[編集]

英語:

タミル語:

日本語:

タイ語:

ベトナム語:

関連項目[編集]