ハルとナツ 届かなかった手紙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

ハルとナツ 届かなかった手紙』(ハルとナツ とどかなかったてがみ)は、NHKが「放送80周年記念 橋田壽賀子ドラマ」と銘打って放送した開局記念番組のテレビドラマである。脚本を橋田が担当した。

概要[編集]

NHK総合テレビジョン2005年10月2日 - 10月6日 21:00 - 22:15(JST、初回のみ21:00 - 22:30)に放送された。アメリカ合衆国でも、テレビジャパンを通じて現地時間12月26日 - 12月30日に放送された。

平成17年度文化庁芸術祭テレビ部門ドラマの部への参加作品である。副題は "Haru e Natsu" である。

昭和初期に日本からブラジルに移民した一家と、トラホーム感染を理由に日本に置き去りにされた娘の、戦前・戦中・戦後復興期の日本・ブラジル双方での苦難の歴史を描いた。

キャスト[編集]

主人公[編集]

高倉ハル - 森光子(現代編)、斉藤奈々米倉涼子(昭和編)
ブラジルに移民した際に生き別れになった妹ナツを探すため、70年ぶりに来日。現在は息子や孫、曾孫の大家族で暮らしている。
山辺(高倉)ナツ - 野際陽子(現代編)、志田未来仲間由紀恵(昭和編)
北王製菓社長。7歳の時、ブラジル移民の一人になるはずだったが病(トラホーム)に罹患しているとして強制的に家族と引き離され、ただ一人日本に残された。その後音信不通になった両親と姉に捨てられたと思っていたが、実はハルからの手紙を預かっていた伯母が、手紙に入っていた現金を使い込み、その発覚を防ぐために届いていた手紙を全て隠蔽していたことを知る。ハルと和解後は、2人の息子たちが原因で出来た北王製菓の巨額の負債が原因で社長を退任し、金目当てで自分についてくる2人の息子たちにも見切りをつけ、70年越しの念願が叶い、ブラジルに移住する。

現代編[編集]

高倉大和 - 今井翼
ハルの孫。柔道有段者。日本の大学に通うために来日、ハルのナツ探しを手伝う。終盤で北王製菓の負債を知ったハルからの手紙をナツに渡す。
高倉邦男 - 尾崎英二郎
ハルの息子で大和の父。
山辺照彦 - 西田健
ナツの長男。ナツとジョージ原田の実子。父親の違う弟の公彦と張り合ってリゾートホテル建設を行ったことで、会社の負債を大きくさせた。金に汚く、ブラジル移住の際に金目当てで母について行こうとしたが切り捨てられた。
山辺公彦 - 中丸新将
ナツの次男。ナツと山辺康夫の実子。照彦の異父弟。バブル時代に父と共にゴルフ場建設を行い、会社に巨額の負債をもたらした。照彦同様、金に汚く、母とブラジルに行こうとするも切り捨てられる。
大田 - 矢島健一
ナツの秘書。
中原イネ - 野村昭子
ハルとナツのいとこ。母カネ(ナツの伯母)の死後、彼女が死ぬまで隠し持っていたハルからナツ宛の手紙を渡す。そのカネこそ、ナツが長きに渡ってわだかまりを持つに至る全ての元凶であった。
中原ミサ - 泉ピン子
イネの娘。
中内金太 - 北村和夫
ナツの幼馴染。北王製菓のライバル会社・シラカバ乳業会長。現在でもナツと交流を続けており、北王製菓の巨額の負債と借金を肩代わりする形で会社を吸収合併する。
川村勉 - 梅野泰靖
ナツの幼馴染。シラカバ乳業相談役。

昭和編[編集]

高倉忠次 - 村田雄浩
ハルとナツの父。ブラジルへは3年だけ出稼ぎのつもりで移民したが、結局二度と日本の地を踏むことはなかった。日本の敗戦を信じない「勝ち組」。入植地の中山耕太郎とは対立しており、彼の息子の隆太とハルが付き合うことを禁止し、彼らを非国民呼ばわりし、カイコの栽培小屋に放火するなどしたが、最後には和解する。何かあると酒に逃げていたため、晩年は肝臓や心臓はボロボロの状態だった。
高倉シズ - 姿晴香
ハルとナツの母。ハルの孫が誕生してほどなく死去する。
高倉茂 - 小林宏至
ハルとナツの長兄。マラリアで病死。
高倉実 - 椿直
ハルとナツの次兄。最初の農場から脱走後、家族と別れて山下家に身を寄せていた。その3年後、訪伯中の海野中佐(後述)に誘われ日本に帰国し、特攻隊として戦死。
高倉洋三 - 吉見一豊
忠次の弟。ハルとナツの叔父。忠治一家とともにブラジルに移民するが、理想と現実の違いに悲観的になる。最初の農場から脱走する際に足を負傷した妻と共に農場に留まる。その後は支配人に取り入り、監督官を経て支配人にまで上り詰め、高倉一家の借金を完済した。戦後は都市に出て新たな商売を計画する。
高倉キヨ - 水町レイコ
洋三の妻。ハルとナツの叔母。
高倉与作 - 田山涼成
忠次の兄。ハルとナツの伯父。
高倉カネ - 根岸季衣
与作の妻。ハルとナツの伯母。息子たち(ハルとナツのいとこ)と共に日本に残されたナツをいじめる。
ハルがナツに届けた最初の手紙に入っていた現金を平然と使いこみ、その発覚を防ぐために届けられた手紙を全て隠蔽し、これを墓場まで持って行こうと企み、最期までナツをいじめ抜いた。自身の死後、手紙は娘によって発見された。
高倉ノブ - 渡辺美佐子
ハルとナツの祖母。いじめられていたナツを助ける。その後心臓病で死亡。
栗田彦次 - 徳井優
高倉一家が最初に入植した農場の世話役。大阪出身。
山下平造 - 斉藤洋介
高倉家と同じ移民船でブラジルに移民した移民仲間。先に移民していた兄夫婦を頼って移民した。千葉出身。
山下拓也 - 高嶋政宏 桑原匠吾
平造の息子。後にハルの夫となる。2004年に死去。
中山耕太郎 - 柄本明
入植地日本人会会長。現地ではカイコの栽培をし、アメリカに輸出していたため、忠次からはアメリカに加担する非国民と呼ばれていた。戦後は敗戦を認める「負け組」で忠次と対立していたが、最後には和解する。広島出身。
中山トキ - 由紀さおり
耕太郎の妻。ハルと拓也の結婚式の際にハルに自身の花嫁衣装を贈る。
中山隆太 - 岡田義徳
耕太郎の息子。ハルとは両想いだったが、父親同士の対立(厳密に言えば忠次の一方的な嫌悪)が原因で結婚することができなかった。
海野 - 石橋凌
海軍中佐。日本へ帰国するための費用をためるために労働していた実に声をかけ、彼を少年航空兵に誘う。戦後は漁師となり、日本とブラジルの国交回復後に実の遺品を持って高倉家を訪れる。
中内金太 - 小橋賢児
ナツの仲間。新物好きのナツとは意見が合わずにナツの元を去る。その後、ナツのライバル会社のシラカバ乳業の社員となる。
川村勉 - 松本実
ナツの仲間。金太と共にナツの元を去り、シラカバ乳業の社員となる。
ジョージ原田 - 大森南朋
日系2世アメリカ人。ナツとの間に子供(照彦)をつくるが、アメリカに帰国してしまう。
山辺康夫 - 北村一輝
北王製菓の取引先の社員。後にナツの夫となるも、あくまでもナツの事業が目的だった模様で、結婚後も浮気を繰り返し、バブル時代には自分との間に生まれた息子の公彦と共にゴルフ場建設を行い、会社の負債を大きくした。2005年の時点で17回忌を迎えている。
徳治 - 井川比佐志
家出したナツを拾った牛飼いの老人。地元の牛飼いの間では有名人。
律子 - 原千晶
ナツの工場の従業員。
アイ子 - 遊井亮子
ナツの工場の従業員。

スタッフ[編集]

サブタイトル[編集]

各話 放送日 サブタイトル 関東地区 関西地区
第1話 2005年10月2日(90分) 姉妹 18.1%  %
第2話 2005年10月3日(75分) 北と南の大地に別れて 17.4% 16.7%
第3話 2005年10月4日(75分) 流転の青春 18.8% 18.5%
第4話 2005年10月5日(75分) 日本よ 運命の愛と哀しみ 19.1% 18.0%
第5話 2005年10月6日(75分) ブラジルへ 18.5% 19.2%

舞台作品『ナツひとり 届かなかった手紙』[編集]

ドラマで取り上げ切れなかった部分を補う形で、ナツを主役とした舞台『ナツひとり 届かなかった手紙』(仲間由紀恵主演)が上演された。仲間は2006年の大河ドラマ『功名が辻』で主演したため、上演されたのは翌2007年11月だった。「姉・ハルの生涯が取り上げられるシーンがやや多かった」、「ナツがどんな人生を辿ったのかもっと知りたかった」等の指摘がNHKに寄せられた模様で、それを受けて企画されたのがこの舞台であった。ドラマを補う形で、日本に独り残されたナツの青壮年時代に主眼を置く。

NHKは『連続テレビ小説』や『大河ドラマ』の放送終了後の舞台化にも積極的に取り組んでおり、一部はNHK教育テレビジョン劇場への招待』で放送するが、本作は2008年1月1日 22:00 - 25:10に放送された。

出演者

ほか

備考[編集]

DVD
ハルとナツ 届かなかった手紙 1 - 3(ビクターエンタテインメント、発売日:2006年1月27日)
盗作疑い
サンパウロの日本人映像作家の岡村淳[1]が「自分の作品の盗作」であるとして公開質問状を送っており、NHKからは納得できる回答がなされていないとしている[2][3]
共演者に関するエピソード
  • 志田未来と根岸季衣は本作の撮影後に日本テレビ系『女王の教室』にて共演をするが,その際に根岸は志田のことを「大人になった」と絶賛した。
  • 2012年11月に本作でハル役の森光子が死去した際、12月7日の本葬にハル役の米倉涼子およびナツ役の野際陽子仲間由紀恵、そして大和役の今井翼が参列した。
撮影地
ブラジルでの撮影は、古い建物や資材が遺されているカンピーナスの東山農場で主に行なわれた[4]。同農場は1927年に三菱財閥の資本で開業したコーヒー農園で、撮影に使われたセットの大部分はそのまま保存され、農場訪問者へ公開されている[5][4]

脚注[編集]

  1. ^ ブラジルに渡ったドキュメンタリー屋さん 岡村淳のオフレコ日記
  2. ^ 検証・NHK疑惑(2005年12月18日時点のアーカイブ
  3. ^ 取材ノート NHK疑惑に関して(2005年11月29日時点のアーカイブ
  4. ^ a b 東山農場 —80年の歴史とさらなる飛躍をめざして岩崎透、(社)日本ブラジル中央協会発行会員向け隔月刊誌『ブラジル特報』2005年11月号
  5. ^ 岩崎久彌サンパウロ人文科学研究所

関連項目[編集]

外部リンク[編集]