ハヤトウリ
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レユニオン島で売られるハヤトウリ
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| 分類 | |||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||
| Sicyos edulis Jacq. (1760)[1] | |||||||||||||||||||||
| シノニム | |||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||
| ハヤトウリ | |||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||
| chaco[3] chayote[3] christophene mirliton vegetable pear |
ハヤトウリ(隼人瓜、学名: Sicyos edulis)はメキシコ南部・中央アメリカ原産のウリ科の植物。また、その果実のこと。果実を食用にする。別名センナリウリ(千成瓜)、チャヨテ(スペイン語: chayote)、チョチョ。熱帯の高地で周年栽培され、日本の暖地でも一部野生化している[3]。
名称
[編集]日本で1917年(大正6年)に鹿児島に渡って来たため、薩摩隼人(さつまはやと)にちなんで「隼人の瓜」ということで、ハヤトウリという名前になった[4][3]。永吉村の矢神[注釈 1]がアメリカ合衆国から持ち帰って試作したものが島津隼彦に数個渡り、島津も邸内の養鶏場で試作すると300個以上の実がなったので鹿児島園芸談話会に紹介したところ、会長の玉利喜造が1918年に「隼人瓜」と名付けて宮内省に献上したという経緯である[14]。大正時代の俗称に、「インドメロン」がある[15]。高知県では「チャーテ」と呼ばれ親しまれている[16]。
ナワトル語では「chayohtli」と呼ばれている[17]。スペイン語の「chayote(チャヨテ)」はこれに由来しており、スペイン語の名称は英語に借用された[17][18]。
中華圏では、果実がブッシュカン(中国語: 佛手柑)と似た形をしているので「佛手瓜」とよばれる[19]。
ブラジルでは「chuchu(チュチュ)」と呼ばれる[20]。これをアルフォンス・ドゥ・カンドールは、ジャマイカでの「chocho(チョチョ)」という呼び名に由来するのではないかとしている[20][21]。
歴史
[編集]ハヤトウリの原産地は、メキシコ南部および中央アメリカである[15]。スペインによるアステカ帝国の征服(1520年)まで、アステカ人にとって身近な野菜であった[15]。
西インド諸島とブラジルへは18世紀に広まった[15]。続いてマデイラ諸島、モーリシャス島、アルジェリアなどに伝わり、栽培が始まった[15]。
1884年、スリランカのハッガラ植物園へ移入された[15]。セイロン島の標高300メートル以上の地域にはハヤトウリが生い茂っているが、野菜としての利用は余りされない[15]。東南アジアでも、ジャワ島やペナン州などの標高の高い地域へ拡散していった[15]。
アメリカ合衆国では、アメリカ合衆国太平洋諸州とメキシコ湾付近の州で多く栽培されるようになった[15]。日本へは、アメリカ合衆国から持ち込まれた[15]。
特徴
[編集]つる性の多年生植物である[22]。多数つけるセイヨウナシ形の果実は、数本の溝があり、外皮は緑色と白色の種類がある[3]。果実の中央に大型の種子を1個生じ、発芽まで果肉と種子が分離しない[23]。
利用
[編集]食用
[編集]果実は白色種と緑色種があるが、白色種のほうが質がよいとされる[3]。
果実を食べるときは、熟れる前に収穫し、皮をむき、種子を取り除いてから使われる[24][3]。若い茎葉も食用になる[3]。味は淡白でくせがなく、歯切れがよい[3]。大きさが鶏卵より大きくなると、皮がかたくなる[3]。アメリカ合衆国ルイジアナ州のクレオール料理やラテンアメリカ、カリブ海諸国の料理によく用いられる。味噌漬け・奈良漬け・福神漬けなどの漬物、炒め物、煮物、酢の物、汁の実、サラダなどにして食べることができる[3]。
他のウリ類と同様ほとんどが水分で、炭水化物が約5%含まれる以外は、栄養的にすべての栄養素をごくわずかにまんべんなく含んでいる[3]。
若い塊根は薄く切って揚げたり、煮焼きしたり、砂糖漬けにして保存する[24]。成熟した塊根は10キログラム弱の重さとなり、食用の澱粉を採取でき、煮て食べるとサツマイモに近い味がする[24]。
種子はバター焼きにして食べられる[24]。
園芸
[編集]庭園で観賞用に栽培されることがある[24]。上原敬二は食用になる植物のうち実が美しいものにハヤトウリを挙げ、庭師は知っておくべきであると評価した[25]。
ハヤトウリは熱帯が原産ということもあり、真夏の暑さに耐性がある[26]。そのため、パーゴラや垣根に絡ませて日よけとすることができる[27][28]。
繊維
[編集]老いた茎からは、よい繊維が得られる[24]。この繊維はフランスでは「paille de chouchoute」と呼ばれ、編みひもとなる[24]。
ギャラリー
[編集]-
芽の出た果実
-
断面
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sicyos edulis Jacq. ハヤトウリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月26日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sechium edule (Jacq.) Sw. ハヤトウリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月26日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 講談社編 2013, p. 100.
- ^ 講談社 2004.
- ^ 増田逸彦『吹上の民話』増田逸彦、1982年11月1日、108頁。2026年2月9日閲覧。
- ^ 『ゆずり葉』吹上成人大学、82–83頁。2026年2月9日閲覧。
- ^ 伊藤道人 編『世界の植物』《種子植物Ⅲ》朝日新聞社、1978年10月30日、721頁。2026年2月9日閲覧。
- ^ 大野史朗『農業事物起原集成』丸山舎書店、1935年10月12日、465頁。2026年2月9日閲覧。
- ^ 草川俊『野菜の歳時記』ティビーエス・ブリタニカ、1981年1月5日、126頁。2026年2月9日閲覧。
- ^ 西村数、大岳水一路 編『南日本歳時記』南日本新聞社、1983年11月20日、177頁。2026年2月9日閲覧。
- ^ 安達巌『日本食物文化の起源』自由国民社、1981年5月25日、426頁。2026年2月9日閲覧。
- ^ 沖縄県立農事試験場(著)、岡村猪之助(編)「チヤヨテに就て」『大日本農会報』第492号、大日本農会事務所、1922年3月15日、33–37頁、2026年2月9日閲覧。
- ^ 林原秋男『隼人瓜栽培の実際』泰文館、1933年6月11日、12頁。2026年2月9日閲覧。
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- ^ a b c d e f g h i j 岩佐俊吉 著、農林水産省熱帯農業研究センター 編『熱帯の野菜』養賢堂、1980年2月15日、61頁。2026年2月9日閲覧。
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- ^ バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント 2010, p. 208.
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参考文献
[編集]- 講談社『旬の食材 春・夏の野菜』講談社、2004年3月10日。ISBN 4062701359。
- 講談社編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年5月13日、100頁。ISBN 978-4-06-218342-0。
- バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント『世界の食用植物文化図鑑(山本紀夫:監訳)』柊風舎、2010年1月20日、208頁。ISBN 9784903530352。 NCID BB00709052。