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ハヤトウリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハヤトウリ
レユニオン島で売られるハヤトウリ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: スミレ目 Violales
: ウリ科 Cucurbitaceae
: ハヤトウリ属 Sechium
: ハヤトウリ S. edule
学名
Sicyos edulis Jacq. (1760)[1]
シノニム
和名
ハヤトウリ
英名
chaco[3]
chayote[3]
christophene
mirliton
vegetable pear

ハヤトウリ(隼人瓜、学名: Sicyos edulis)はメキシコ南部・中央アメリカ原産のウリ科植物。また、その果実のこと。果実を食用にする。別名センナリウリ(千成瓜)、チャヨテスペイン語: chayote)、チョチョ熱帯の高地で周年栽培され、日本の暖地でも一部野生化している[3]

名称

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日本で1917年(大正6年)に鹿児島に渡って来たため、薩摩隼人(さつまはやと)にちなんで「隼人」ということで、ハヤトウリという名前になった[4][3]永吉村の矢神[注釈 1]アメリカ合衆国から持ち帰って試作したものが島津隼彦に数個渡り、島津も邸内の養鶏場で試作すると300個以上の実がなったので鹿児島園芸談話会に紹介したところ、会長の玉利喜造が1918年に「隼人瓜」と名付けて宮内省に献上したという経緯である[14]大正時代の俗称に、「インドメロン」がある[15]高知県では「チャーテ」と呼ばれ親しまれている[16]

ナワトル語では「chayohtli」と呼ばれている[17]スペイン語の「chayote(チャヨテ)」はこれに由来しており、スペイン語の名称は英語に借用された[17][18]

中華圏では、果実がブッシュカン中国語: 佛手柑)と似た形をしているので「佛手瓜」とよばれる[19]

ブラジルでは「chuchu(チュチュ)」と呼ばれる[20]。これをアルフォンス・ドゥ・カンドールは、ジャマイカでの「chocho(チョチョ)」という呼び名に由来するのではないかとしている[20][21]

歴史

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ハヤトウリの原産地は、メキシコ南部および中央アメリカである[15]スペインによるアステカ帝国の征服(1520年)まで、アステカ人にとって身近な野菜であった[15]

西インド諸島ブラジルへは18世紀に広まった[15]。続いてマデイラ諸島モーリシャス島アルジェリアなどに伝わり、栽培が始まった[15]

1884年、スリランカハッガラ植物園へ移入された[15]セイロン島の標高300メートル以上の地域にはハヤトウリが生い茂っているが、野菜としての利用は余りされない[15]。東南アジアでも、ジャワ島ペナン州などの標高の高い地域へ拡散していった[15]

アメリカ合衆国では、アメリカ合衆国太平洋諸州メキシコ湾付近の州で多く栽培されるようになった[15]。日本へは、アメリカ合衆国から持ち込まれた[15]

特徴

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つる性多年生植物である[22]。多数つけるセイヨウナシ形の果実は、数本の溝があり、外皮は緑色と白色の種類がある[3]。果実の中央に大型の種子を1個生じ、発芽まで果肉と種子が分離しない[23]

利用

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食用

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果実は白色種と緑色種があるが、白色種のほうが質がよいとされる[3]

果実を食べるときは、熟れる前に収穫し、皮をむき、種子を取り除いてから使われる[24][3]。若い茎葉も食用になる[3]。味は淡白でくせがなく、歯切れがよい[3]。大きさが鶏卵より大きくなると、皮がかたくなる[3]アメリカ合衆国ルイジアナ州クレオール料理ラテンアメリカカリブ海諸国の料理によく用いられる。味噌漬け奈良漬け福神漬けなどの漬物炒め物煮物酢の物、汁の実、サラダなどにして食べることができる[3]

他のウリ類と同様ほとんどが水分で、炭水化物が約5%含まれる以外は、栄養的にすべての栄養素をごくわずかにまんべんなく含んでいる[3]

若い塊根は薄く切って揚げたり、煮焼きしたり、砂糖漬けにして保存する[24]。成熟した塊根は10キログラム弱の重さとなり、食用の澱粉を採取でき、煮て食べるとサツマイモに近い味がする[24]

種子はバター焼きにして食べられる[24]

園芸

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庭園で観賞用に栽培されることがある[24]上原敬二は食用になる植物のうち実が美しいものにハヤトウリを挙げ、庭師は知っておくべきであると評価した[25]

ハヤトウリは熱帯が原産ということもあり、真夏の暑さに耐性がある[26]。そのため、パーゴラ垣根に絡ませて日よけとすることができる[27][28]

繊維

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老いた茎からは、よい繊維が得られる[24]。この繊維はフランスでは「paille de chouchoute」と呼ばれ、編みひもとなる[24]

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^ 矢神直之丞[5]、矢神直之蒸[6]、矢神隼[7][8][9][10]、矢神隼人[11]、矢神集[12][13]と資料によって名前が異なる。

出典

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sicyos edulis Jacq. ハヤトウリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月26日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sechium edule (Jacq.) Sw. ハヤトウリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月26日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 講談社編 2013, p. 100.
  4. ^ 講談社 2004.
  5. ^ 増田逸彦『吹上の民話』増田逸彦、1982年11月1日、108頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12468595/1/602026年2月9日閲覧 
  6. ^ ゆずり葉』吹上成人大学、82–83頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12412197/1/572026年2月9日閲覧 
  7. ^ 伊藤道人 編『世界の植物』《種子植物Ⅲ》朝日新聞社、1978年10月30日、721頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12601791/1/872026年2月9日閲覧 
  8. ^ 大野史朗『農業事物起原集成』丸山舎書店、1935年10月12日、465頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1716713/1/2562026年2月9日閲覧 
  9. ^ 草川俊野菜の歳時記ティビーエス・ブリタニカ、1981年1月5日、126頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12640393/1/672026年2月9日閲覧 
  10. ^ 西村数、大岳水一路 編『南日本歳時記南日本新聞社、1983年11月20日、177頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12460630/1/942026年2月9日閲覧 
  11. ^ 安達巌日本食物文化の起源自由国民社、1981年5月25日、426頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12205705/1/2172026年2月9日閲覧 
  12. ^ 沖縄県立農事試験場(著)、岡村猪之助(編)「チヤヨテに就て」『大日本農会報』第492号、大日本農会事務所、1922年3月15日、33–37頁、2026年2月9日閲覧 
  13. ^ 林原秋男『隼人瓜栽培の実際』泰文館、1933年6月11日、12頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1208501/1/182026年2月9日閲覧 
  14. ^ 石井勇義 編『園芸大辞典』 第4巻、誠文堂新光社、1953年5月31日、1893頁https://dl.ndl.go.jp/pid/2470609/1/2232026年2月9日閲覧 
  15. ^ a b c d e f g h i j 岩佐俊吉 著、農林水産省熱帯農業研究センター 編『熱帯の野菜養賢堂、1980年2月15日、61頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12640398/1/402026年2月9日閲覧 
  16. ^ チャーテの和え物 高知県 | うちの郷土料理:農林水産省”. 農林水産省. 2023年4月6日閲覧。
  17. ^ a b “chayote”. Merriam-Webster Dictionary (英語). 2026年2月9日閲覧.
  18. ^ 時枝誠記吉田精一 編『角川国語大辞典角川書店、1982年12月20日、1339頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12446311/1/6732026年2月9日閲覧 
  19. ^ 原田治『中国料理素材事典』《野菜・果実》柴田書店、1978年9月1日、274頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12100680/1/1482026年2月9日閲覧 
  20. ^ a b ドゥ・カンドル 著、加茂儀一 訳『栽培植物の起原』《中》岩波書店、1958年1月25日、233頁https://dl.ndl.go.jp/pid/2484953/1/1182026年2月9日閲覧 
  21. ^ Steven Raichlen英語版 (1991年12月26日). “Chayote: The Most Delicious Squash You’ve Never Heard Of” (英語). Los Angeles Times. Los Angeles Times Communications. 2026年2月9日閲覧。
  22. ^ 岩佐俊吉 著、農林水産省熱帯農業研究センター 編『熱帯の野菜養賢堂、1980年2月15日、62頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12640398/1/412026年2月9日閲覧 
  23. ^ バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント 2010, p. 208.
  24. ^ a b c d e f g 岩佐俊吉 著、農林水産省熱帯農業研究センター 編『熱帯の野菜養賢堂、1980年2月15日、64頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12640398/1/422026年2月9日閲覧 
  25. ^ 上原敬二庭園入門講座』《芝生・苔・庭草・草花》加島書店、1969年1月20日、72–73頁https://dl.ndl.go.jp/pid/2526347/1/422026年2月9日閲覧 
  26. ^ 福島普徳 編『学校園芸百科』《学校菜園と野菜》学習研究社、1985年3月1日、85頁。ISBN 4-05-101529-7https://dl.ndl.go.jp/pid/12616313/1/462026年2月9日閲覧 
  27. ^ 吉村巌 著、吉村巌 編『たのしい庭雄鶏社、1957年6月15日、83頁https://dl.ndl.go.jp/pid/2484112/1/462026年2月9日閲覧 
  28. ^ 川上幸男『日曜園芸池田書店、1961年6月30日、44頁https://dl.ndl.go.jp/pid/2494434/1/282026年2月9日閲覧 

参考文献

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  • 講談社『旬の食材 春・夏の野菜』講談社、2004年3月10日。ISBN 4062701359 
  • 講談社編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年5月13日、100頁。ISBN 978-4-06-218342-0 
  • バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント『世界の食用植物文化図鑑(山本紀夫:監訳)』柊風舎、2010年1月20日、208頁。ISBN 9784903530352NCID BB00709052 

外部リンク

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