ハト科
| ハト科 | ||||||||||||||||||
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| 分類 | ||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||
| Columbidae Leach, 1820 | ||||||||||||||||||
| 和名 | ||||||||||||||||||
| ハト(鳩) | ||||||||||||||||||
| 属 | ||||||||||||||||||
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42属 |
ハト科(ハトか、学名 Columbidae)は、鳥類ハト目の科である。ハト(鳩)と呼ばれる。
目次
特徴[編集]
分布[編集]
北極圏(一部を除く)や南極大陸を除いた全世界に分布している。
形態[編集]
体形は頑丈で丸みを帯びる。頭部は小型。全身は柔らかい羽毛で密に覆われる。
嘴や後肢は短い。
卵は白い殻で覆われ、全長と比較すると相対的に小型である。多くの種は雌雄同色である。
生態[編集]
主に森林に生息するが、草原や砂漠に生息する種もいる。鳴き声は単純である。
食性は植物食もしくは植物傾向の強い雑食で、植物の葉、花、果実、種子などを食べる。地表で採食を行う種が多い。嘴を水に指し入れ、頭を下にしたまま水を飲む事ができる。
繁殖形態は卵生。多くの種は樹上に木の枝を組み合わせた皿状の巣を作り、1回に1–2個の卵を年に数回に分けて産む種が多い。主にメスが営巣するが、巣材はオスが集めることが多い。卵から孵化した雛は、親が吐き出した食道の一部(そ嚢)からの分泌物(ピジョンミルク【タンパク質を多く含む】)を食べて育つ(雛が成長すると、親が他の食物も一緒に与える)。
雛の成長にはタンパク質が必要なため、他の鳥類はタンパク質を多く含む食物、主に昆虫の幼虫(青虫)を雛に与えるため、春から夏にかけてしか繁殖しない。しかし、ハト科の鳥は上述のように自らのタンパク質を与えるため、春・夏に限らず、秋・冬にも繁殖することがある。
系統と分類[編集]
単型のハト目 Comunbiformes を構成する。かつてはサケイ科がハト目に含められ、ハト科はハト目ハト亜目 Columbae に分類されていた。ハト科はサケイ科とやや近縁ではあるが[1][2]、姉妹群はクイナモドキ科である可能性が高い[3]。
ハト科は3つの系統に分かれ[4]、Pereira et al. (2007) では Clade A・Clade B・Clade C と仮称されている。Clade A・Clade B 内の系統関係はよくわかっているが、最大の Clade C は類縁関係の不確かないくつかの小系統からなる。Clade B は新熱帯区(中南米)固有である。Clade C はエチオピア区・東洋区・オーストラリア区(オセアニアを含む旧世界の熱帯)に生息しオーストラリア区起源、Clade A は新旧両世界の熱帯に生息し新熱帯区起源のようである[4]。
| 系統 | 従来の亜科 | 現生属 |
|---|---|---|
| Clade C | アオバト亜科 Treroninae | 10属 |
| カンムリバト亜科 Gourinae | 1属 | |
| ゴクラクバト亜科 Otidiphabinae | 1属 | |
| オオハシバト亜科 Didunculinae | 1属 | |
| ドードー科 Raphidae | 絶滅 | |
| カワラバト亜科 Columbinae | 13属 | |
| Clade B | 4属 | |
| Clade A | 12属 |
従来の一般的な分類ではカワラバト亜科 Columbinae・アオバト亜科 Treroninae・カンムリバト亜科 Gourinae・オオハシバト亜科 Didunculinae の4亜科またはゴクラクバト亜科 Otidiphabinae を加えた5亜科に分けられ[4]、さらに従来別科とされていたドードー科 Raphidae を含む。このほかにも、亜科の構成が異なったり、オオハシバト科 Didunculidae やアルキバト科 Claraviidae を分離するなど、さまざまな説があった。しかしこれらの説は系統を反映していない。単型でないカワラバト亜科とアオバト亜科は単系統ではなく、Clade A と Clade B はカワラバト亜科に含まれ、Clade C は残りのカワラバト亜科・他の4亜科・ドードー科からなる。
系統樹は Pereira et al. (2007)[4]より。他のソースによるものは出典付きで配した。サンプリングされていない属には「?」を付けた。Clade C のうちカワラバト亜科 Columbinae とアオバト亜科 Treroninae に属する枝には [Co] と [Tr] を記した。
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分類[編集]
現生属と種数は国際鳥類学会議 (IOC) による[9]。42属321種が現生する。
Clade A[編集]
- オナガバト属 Macropygia - 10種; オナガバト、バラムネオナガバト
- カオジロクロバト属 Turacoena - 2種; カオジロクロバト
- マイヒメバト属 Reinwardtoena - 3種; マイヒメバト
- カワラバト属 Columba - 33種; アカアシバト属 Aplopelia を含む
- キジバト属 Streptopelia - 13種; Nesoenas+Spilopelia と姉妹群である(異論あり)としてこれらを含める説がある
- Nesoenas - 2種
- Spilopelia - 2種; = Stigmatopelia; Streptopelia から分離された
- Patagioenas - 17種; Columba から分離
- †リョコウバト属 Ectopistes - 1種絶滅
- アメリカシャコバト属 Leptotila - 11種; グレナダバト
- ハジロバト属 Zenaida - 7種; ナゲキバト、ミミグロバト
- アメリカウズラバト属 Geotrygon - 18種; アメリカウズラバト、カンムリウズラバト、ベラクルスウズラバト
- クロヒゲバト属 Starnoenas - 1種
Clade B[編集]
- スズメバト属 Columbina - 7種; スズメバト、フナシスズメバト; Columbigallina・インカバト属 Scardafella を含む
- ハシリバト属 Metriopelia - 4種; アオガオハシリバト; キンボシハシリバト属 Leptophaps を含む
- オナガハシリバト属 Uropelia - 1種
- アルキバト属 Claravis - 3種; フジムネアルキバト、フタオビアルキバト
Clade C[編集]
カワラバト亜科 Columbinae(部分)[編集]
- シッポウバト属 Oena - 1種
- アオフバト属 Turtur - 5種; アカアシアオフバト
- キンバト属 Chalcophaps - 3種; キンバト
- ミノバト属 Caloenas - 1種(2種絶滅); ミノバト
- ハシブトバト属 Trugon - 1種
- †カンザシバト属 Microgoura - 1種絶滅
- イワバト属 Petrophassa - 2種
- ニジハバト属 Phaps - 3種; ニジハバト
- レンジャクバト属 Ocyphaps - 1種; Geophaps に統合する説があるが Phaps に近いとも[6]
- Geophaps - 3種
- チョウショウバト属 Geopelia - 5種; ウスユキバト
- ウォンガバト属 Leucosarcia - 1種
- ヒムネバト属 Gallicolumba - 18種; ヒムネバト
- ハシナガバト属 Henicophaps - 2種; ハシナガバト
アオバト亜科 Treroninae[編集]
- ミヤマバト属 Gymnophaps - 4種; アカメミヤマバト
- カミカザリバト属 Lopholaimus - 1種
- セレベスバト属 Cryptophaps - 1種
- ニュージーランドバト属 Hemiphaga - 2種; ニュージーランドバト
- ヒメアオバト属 Ptilinopus - 50種; Drepanoptila と Alectroenas を内包する側系統であり、これらを含める説がある[2]
- カマバネキヌバト属 Drepanoptila - 1種
- ルリバト属 Alectroenas - 3種; コモロルリバト
- ミカドバト属 Ducula - 39種
- テリアオバト属 Phapitreron - 4種; テリアオバト
- アオバト属 Treron - 29種
単型亜科[編集]
- オオハシバト属 Didunculus - 1種
- カンムリバト属 Goura - 3種
- ゴクラクバト属 Otidiphaps - 1種
ドードー科 Raphidae[編集]
レッドリスト[編集]
上記のとおり、開発による生息地の破壊、羽毛目的の乱獲、人為的に移入された動物による捕食などにより、すでに絶滅してしまった種や、生息数が減少し絶滅が危惧されている種も散見される。
ギャラリー[編集]
出典[編集]
- ^ Ericson, Per G. P.; Anderson, Cajsa L.; et al. (2006), “Diversification of Neoaves: integration of molecular sequence data and fossils”, Biol. Lett. 2 (4): 543–547, doi:10.1098/rsbl.2006.0523
- ^ a b c d Gibb, Gillian C.; Penny, David (2010), “Two aspects along the continuum of pigeon evolution: A South-Pacific radiation and the relationship of pigeons within Neoaves”, Mol. Phylogenet. Evol. 56 (2): 698–706, doi:10.1016/j.ympev.2010.04.016
- ^ Hackett, S. J.; Kimball, Rebecca T.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320: 1763–1768
- ^ a b c d Pereira, S. L.; Johnson, K. P.; et al. (2007), “Mitochondrial and Nuclear DNA Sequences Support a Cretaceous Origin of Columbiformes and a Dispersal-Driven Radiation in the Paleogene”, Syst. Biol. 56 (4): 656–672, doi:10.1080/10635150701549672
- ^ a b “Dietary and sexual correlates of carotenoid pigment expression in dove plumage”, Condor 105 (2): 258–267, (2003), doi:10.1650/0010-5422(2003)105[0258:DASCOC]2.0.CO;2
- ^ a b Christidis, Les; Boles, Walter E. (2008), “Family Columbidae”, Systematics and Taxonomy of Australian Birds, CSIRO Publishing, ISBN 9780643096028
- ^ a b Cheke, Anthony S. (2005), “Naming segregates from the Columba–Streptopelia pigeons following DNA studies on phylogeny”, Bull. B.O.C. 125 (4): 293–295, オリジナルの2011年7月10日時点によるアーカイブ。
- ^ Johnson, K. P.; Clayton, D. H.; et al. (2010), “The flight of the Passenger Pigeon: Phylogenetics and biogeographic history of an extinct species”, Mol. Phylogenet. Evol. (in press), doi:10.1016/j.ympev.2010.05.010
- ^ Gill, Frank; Donsker, David, eds. (2010), “Sandgrouse & pigeons”, IOC World Bird Names (version 2.5)
参考文献[編集]
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社、2000年、185–186頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』、講談社、2000年、101、198–199頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社、2000年、180頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 東南アジアの島々』、講談社、2000年、84–86、162–167頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』、講談社、2000年、58–62、177–180頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ2 アマゾン』、講談社、2001年、78、135–136頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』、講談社、2001年、72–73、193–196頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』、講談社、2001年、96–98、197–202頁。
- 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科8 鳥II』、平凡社、1986年、60–65頁。
- 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、68–69頁。
- 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、70–71、110、144、152、172、174–175頁。