ハッショウマメ
ハッショウマメ | |||||||||||||||||||||||||||
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![]() 花序
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Mucuna pruriens (L.) DC. var. utilis (Wall. ex Wight) Baker[1] ex Burck[2] |
ハッショウマメ(八升豆[3]、ムクナ)は、マメ亜科トビカズラ属に属する植物で、ビロードマメ(Mucuna pruriens)の変種の一つである。学名はMucuna pruriens var. utilis。英名の一つにはYokohama velvet beanの名がある。「ハッショウマメ」という名前の由来には、豊作で八升取れるから、あるいは八丈島から渡来したため、など諸説がある[4]。
強健かつ多収性の作物であり、種実の収量は1アールあたり100リットルに達する。しかし高温性で短日型なので日本での栽培は少ない[5]。ただし、熊本県の宇城市では2014年からムクナ豆研究会を発足させ、長年豆栽培の研究に研究を重ね、今では年間4トンほどの生産量を誇り、日本最大の生産地となっている。[6]
かつてはトビカズラ属とは異なる植物とされ、栽培品種によってStizolobium hassjoo、Mucuna hassjoo など複数の属、種に分類されていたが、現在では全てビロードマメ(Mucuna pruriens)の変種ハッショウマメ(Mucuna pruriens var. utilis)として一つの種と考え、それを5つの栽培品種群に分ける見解が支持されている[4]。
特徴[編集]
茎葉は全面白い毛に覆われる。茎は所々茶色が混じる薄緑で蔓性。長さは数メートルに達する。葉は三出複葉で互生し、托葉は披針形で小さい。小葉は長さ16cm、幅11cm。花は総状花序で腋生する。花は黒紫の蝶型花で長さ3-4cm。萼は鐘形。子房は細い白毛が生える。果実は長いS字形の鞘で、5-6個の種子を含み、長さ10cmほど。熟すと黒変化し、革質で硬くなる。種子は長さ15-19mm、幅10-12mm、厚さ8mmほど。灰白色で艶がある。[5]
栽培[編集]
東南アジアや中国大陸南部の熱帯が原産地であり、日本でも沖縄を中心に温暖な地域で栽培されていたが、近年ではほとんど栽培されない。沖縄県や和歌山県、新潟県妙高市で生産再開が取り組まれている[3]。高温生で低温に弱く、日本で栽培できるのは関東が北限であり、暖地ほど豊産になる[5]。播種、移植の適期は6月中旬で、15℃から20℃は必要[5]。
利用[編集]

豆は食用となるが中毒成分を含むため下痢を催し、よく茹でて何度も煮こぼした後に食用とする[5][7]。きな粉やコーヒーに似た飲料の抽出用としても加工できる[3]。
豆には5%ものドーパ(L-ドパ)が含まれ、葉や根には1%のドーパが含まれている。ドーパはパーキンソン病の特効薬になる。インドでは豆をリューマチ薬、喘息薬、解熱剤、強壮剤、催淫剤として用いている[8]。
出典[編集]
- ^ E. C. Stuart Baker (1864–1944; 鳥類学者) もしくはジョン・ギルバート・ベイカー (1834–1920; 植物学者)
- ^ YList
- ^ a b c 「新潟の希少作物 復刻/豆やソバ 在来種、県内で生産増」『日経MJ』2019年11月25日(フード面)2020年1月2日閲覧
- ^ a b 園芸植物大事典 (1999), pp. 580–581
- ^ a b c d e 野菜園芸大事典 (1977), pp. 1019–1021
- ^ “【ムクナ豆】産地化着々 高齢農家の収入源に 熊本の研究会 | 新着情報一覧 | JAグループ熊本”. www.ja-kumamoto.or.jp. 2021年8月5日閲覧。
- ^ 食材図典 生鮮食材篇 (2003), p. 323
- ^ 藤井 義晴「未利用植物の有効利用と調理科学への期待」『日本調理科学会誌』Vol. 41 (2008) No. 3 p. 204-209
- ^ 国分 (2010), p. 428
参考文献 [編集]
- 野菜園芸大事典編集委員会 編 『野菜園芸大事典』養賢堂、1977年。
- 『園芸植物大事典』 3巻、塚本 洋太郎(総監修)、小学館、1989年。ISBN 4093051038。
- 『新版 食材図典 生鮮食材篇』小学館、2003年。ISBN 409526084X。
- 国分 牧衛 『新訂 食用作物』養賢堂、2010年。ISBN 4842504730。