ノーブレーキピスト

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メルボルンの街中に止められたピストバイク。ブレーキは付いていない。

ノーブレーキピストno brake piste)とは、ブレーキを両輪装備無しの状態で公道にて使用されているトラックレーサー固定ギア(fixed-gear, fixie)のことである。日本ではピストピストバイクとも呼ばれる(実際は「ピスト」「ピストバイク」と言う単語自体はブレーキが付いている物も含めトラックレーサー全般を指す)。pisteは元来フランス語で自転車競技場やそのトラックのことを指す。


概要[編集]

ベースとして使われるのは専ら競輪選手の放出した中古のピスト(トラックレーサー)である。ブレーキは名前の通り装着されていないが、フリーハブを採用しない固定ギアなので、ブレーキに代わりにペダルを逆に踏む事(スキッドと言われる方法)で制動する。ハンドルはブルホーンバーまたはドロップハンドルのものが多い。ブレーキレスのピストで日本国内の公道を走る行為は、公道を走る際の必須装備であるブレーキを備えていない為、道路交通法違反(制動装置不良)となる。自転車の制動装置は道路交通法施行規則により「前車輪及び後車輪を制動する事」と定められている。2013年11月には、後輪にブレーキがないBMXを公道で乗り回して反則告知を受け、再三の出頭要請も無視した事で初の逮捕例が出た[1])。尚、公道でなく公共の場所での使用でも、触法行為となる。 海外においても違法となる国が多い[2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] .[13] [14][15]。固定ギアを後輪ブレーキの一種として認めるかどうかは国や司法で判断が分かれる。

元となるトラックレーサーは競技場で使用されるものでありブレーキを装着しないのが基本である。競技場において使用されるトラックレーサーについては、ブレーキが装着されていなくともノーブレーキピストとは呼ばれない。

また、競輪選手は公道でトレーニングする際にはブレーキ、反射鏡、ライトなどの保安部品を必ず装備しなくてはならない。

日本での普及[編集]

トラックレーサーは変速機がなく、また固定ギアを使用するため、構造が単純で整備性・耐久性に優れている(注油の必要な摺動部分がほとんどない)。これに注目したアメリカ合衆国メッセンジャーの一部がニューヨークなどで1970年代後半~1980年代にかけてトラックレーサーの使用を開始した。

文化・ファッション[編集]

2000年代半ばに日本にも輸入され、ストリートカルチャーの世界で新しい流行として取り入れられた。この流れの中で特に大きな役割を果たしたのが、ニューヨークで数年間メッセンジャーをしていたとされるデザイナーのMADSAKIDJ藤原ヒロシらのグループである。

加えて、広告業界が一種のファッションとしてノーブレーキピストを肯定的に捉える事例が散見される。以下はその例である。

自転車愛好者層などからの意見[編集]

旧来のスポーツ自転車愛好家たちは、ノーブレーキピストに限らず保安部品を除去・無効化させているような公道上での運転に対して危険な改造を施した自転車や、その愛好家に対しては、自分たちとは違う存在であると主張する人が多い。

特に下記の法規制が行われる以前より、旧来の自転車の愛好者層からは「危険性が増す装備が文化やファッションの名の下に広がりを見せていることは問題である」「ファッション(カッコつけ)のためならば何をしてもいいのか。人を事故で怪我をさせて果てには殺す事(その危険性を故意的に看過する事)も『文化』なのか。自己だけでなく他者の安全が確保されるからこその公道上での乗り物であるはずだ」という提起と批判が再三において行われていた。

なぜなら、トウクリップやクリップレス(ビンディング)ペダルですら制動力に疑問視がある上、脚が固定されないフラットペダルではそれがさらに落ちるためである。ペダルの種類に関わらず、ノーブレーキピストは急制動(急ブレーキ)は決して行う事ができず、公道上で起きる想定外の緊急時への対応に関してはそれが不可能であるとされている。直進時とは逆方向に回転させることでスピードは落とせるが、スピードが出すぎていると充分な訓練をしていてもクランクを抑えきれず「体が浮き上がってしまい」転倒に至る事故も多発している。そのために、ろくな訓練もせずファッション感覚で乗り始めるという行為は、尚更に危険なことである。

主テーマとして自転車を扱った漫画である宮尾岳の『アオバ自転車店シリーズ』(少年画報社ヤングキング」関連誌にて連載)では、特にこの点をピックアップしてノーブレーキピストの公道上での運転を再三にわたり大きく批判している。[19]

法律・条令における動き[編集]

2013年7月1日、東京都は自転車安全条例を制定し、その第23条において「自転車小売業者は、自転車の利用が道路交通法その他の自転車の交通又は安全性に関する法令の規定に違反することとなることを知って自転車を販売してはならない。」と定義し、事実上それまでは野放しだったノーブレーキピストの都内での販売を、明確に禁止した。

参考資料[編集]

  • 「特集NO BIKE、NO LIFE:自転車に夢中!:San Francisco/Track Bike、#03 New York/Messenger」『BRUTUS』No.620(マガジンハウス、2007年

脚注[編集]

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  1. ^ ブレーキなし自転車で全国初逮捕 出頭に応じず、道交法違反容疑 共同通信2013年11月11日
  2. ^ http://www.rta.nsw.gov.au/hubpages/hub_bicycle.html?tlid1 location NSW, AU publisher Road Traffic Authority Hub bicycle 2011-05-14
  3. ^ http://www.mobielvlaanderen.be/wegverkeer/fietsen-011.php?a5 location BE publisher Flemish government Mobiel vlaanderen 2012-08-10
  4. ^ http://www.bikingacrosscanada.ca/research/laws.php
  5. ^ http://www.mto.gov.on.ca/english/pubs/cycling-guide/section5.0.shtml Highway Traffic Act 64(3)
  6. ^ Bike security regulations [http://www.interieur.gouv.fr/sections/a_votre_service/votre_securite/sur-route/securite-bicyclette location France publisher Internal affairs ministry
  7. ^ 08/07/2009 location DE Still No Fix for 'Fixies'. German Court Rules in Favor of Fixed-Gear Cyclist http://www.spiegel.de/international/germany/0,1518,641075,00.html work Der Spiegel
  8. ^ http://www.thelocal.de/society/20090630-20291.html contribution Fixed-gear bikes spark police crackdown in Berlin place DE publisher The Local Society 2009-06-30.
  9. ^ http://www.nzta.govt.nz/resources/roadcode/cyclist-code/docs/cyclist-code-2009-low.pdf location New Zealand Transport Authority Road Code for Bicycles 2009 format PDF
  10. ^ Vehicle Regulations http://www.dgt.es/was6/portal/contenidos/documentos/normas_legislacion/reglamento_trafico/reglamento_trafico126.pdf location Spain publisher Internal affairs ministry
  11. ^ Construction and Use Regulations location UK http://www.ctc.org.uk/DesktopDefault.aspx?TabID4073 publisher CTC
  12. ^ http://www.bikesense.bc.ca/appendices.htm#law Appendices publisher BikeSense 2010-10-01
  13. ^ http://bikeportland.org/2006/09/05/cyclist-wins-fixed-gear-case/ work Blog Archive Cyclist wins fixed-gear case publisher BikePortland 2006-09-05 2010-10-01
  14. ^ http://edocket.access.gpo.gov/cfr_2004/janqtr/16cfr1512.5.htm Requirements for Bicycles: Requirements for braking system work Code of Federal Regulations publisher GPO location USA 2004-01-01 2010-10-01
  15. ^ http://edocket.access.gpo.gov/cfr_2004/janqtr/16cfr1512.2.htm work Code of Federal Regulations Requirements for Bicycles: Definitions publisher GPO location USA 2004 2010-10-01
  16. ^ “『東京Just Do It』広告キャンペーンに関するお詫び” (プレスリリース), ナイキジャパン, (2007年4月13日), オリジナル2010年8月24日時点によるアーカイブ。, http://web.archive.org/web/20100824060323/http://nike.jp/info/070413.html 2011年9月29日閲覧。 
  17. ^ 雑誌『BRUTUS』の記事 [リンク切れ]
  18. ^ 資生堂ANESSA [リンク切れ] - ページ右下に「日本国内での走行にはブレーキの装着が必要です。」と注記がある。
  19. ^ 単行本「並木橋通りアオバ自転車店」20巻『ブレーキなし。問題あり。』や単行本「アオバ自転車店」19巻『おバカさんに告ぐ』など。

外部リンク[編集]