ノート:下駄記号

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最近Wikipediaごぶさたでした FeZnと申します。

さて本項の現時点の記述に疑問がありましたので、まずこちらに書き留めておきます。

2008.04.29.現在、下記のような記載になっています。

【本文】
活版印刷が行われていたころは、必ずしも必要な活字が存在するとは限らず、その文字の代わりに下駄記号を表示することも多くあった。これは、すでに活字で印刷された後に、その文字を消す場合に使用されていた形からきている[1]。
【注釈】
  • [1] 必要な活字が無い場合、とりあえず余っている活字を逆さにして埋め込んで代用するが、その時に活字の背には溝が掘ってあるので下駄に見える形が印刷されたからという説もある。

が、自分の知る限り他の資料ではすべて後者の注釈(2007.12.24.追記)の説明がなされており、前者の本文(2007.3.20.初版投稿)と同様の記述がなされた資料を寡聞にして知りません。

で、紙の資料を調べてみました。妙に出版年代に開きがありますが、とりあえず調べることができた紙の本は以下の通り。

  • 『基本・本づくり』(鈴木敏夫、印刷学会出版部、1967年)p.411
  • 『校正ハンドブック』(戸台俊一、ダヴィッド社、1969年)p.71
  • 『編集ハンドブック 第6版』(デザイン編集室、ダヴィッド社、2002年)p.173
    ↑発行年は2002年だが、最新の技術以外の記述は昔の版から変わっていない模様
    ※『編集ハンドブック』もしくは『新編集ハンドブック』は、http://kosho.or.jp/ で検索してみると 1956、72、76、81、86に刊行されている模様ですが、版と刷のいずれで書誌情報をつけているかetc.という差もありそうです。(72年と76年、というのは妙に間隔が短いですし)
  • 『句読点、記号・符号活用辞典。』(小学館、2007年)p.206
  • 「DTPWORLD」(ワークスコーポレーション)2008年05月号付録「記号・約物事典2008」p.33

これらではすべて、「下駄は活字を裏返したもの」として説明がなされています。というか60年代の2冊は活版印刷ですので、実際に裏返した活字を使って印字されています。

また、実際に活字組版をしている方々に今までお会いしてお話をうかがったりした中で、これ以外の説を耳にしたことはありませんし、手元にある金属活字を並べてみても物理的実体としてそれは物語ってくれます。

「活字で印刷された後に、その文字を消す場合に使用されていた形」という説明が真である可能性も、確かにあります。“昔の本にもたくさん出ている”ことが正しいとは、必ずしも言えないわけですし。 ただ、「文字を消す」という使用状況および必要性はかなり想定し難く、一方で文選から組版の工程の中で実際に「活字を逆にして入れる」ことによって“存在しない文字を表示”してきたわけですから、オーソドクスな説のほうにしておきたいと思います。

一方で、たとえば最近の細ゴシック系のフォントなどにおいて、妙に細いゲタ記号を見かけることがあります。これについて自分は従来“ゲタ記号の解釈として、誤りに近い”と考えてきましたが、“U+3013のゲタは直接には取消線の一種”であるとするならば“ある程度、正しい解釈”と言えるのかもしれません。そのあたりの情報源があるようでしたらご教示いただけましたら幸いです。

FeZn 2008年4月29日 (火) 04:47 (UTC)[返信]