ノート:ループアンテナ

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英語版の「Loop antenna」と日本語版の「ループアンテナ」を読み比べたところ、日本語版ではsmall loopに関しての記述に偏っているためか、英語版には存在しない、いくつかの間違いが記載されているのが気になります。 基本的に、英語版の日本語訳としたものに修正するべきと考えます。

間違っていると思われるのは、以下のところです。 まず、ダイポールを他のアンテナ同様に電場(電界)を直接検出するアンテナ、ループを磁気を検出するアンテナとして記述されていますが、これは電力伝送するアンテナではなく、センサーとして電界だけ、あるいは磁界だけをセンスする(検出する)微小対向電極やピックアップループでは正しいと思われますが、遠方へ電磁エネルギーを伝送させるアンテナの動作を代表しておらず、基本的に正しくないと考えられます。

微小ダイポールについては電界をセンス(検出)するセンサーとして考えることができ、微小ループについては磁界をセンス(検出)するセンサーとして考えることができます。これらはインピーダンスマッチングを取らないで動作させるセンサーです。電力の取り出しや輻射はできないです。 したがっていわゆる双方向通信用のアンテナとはことなるものです。

遠方まで伝播する電磁波(放射電磁界)を伝える目的で使われる(送信)アンテナは、電力伝送をしますのでインピーダンスマッチングを取って動作させます。単に周囲の電界から電圧を誘導させたり、磁界をループで拾って起電したものを高インピーダンスで受けて電圧センスする動作とはことなり、電力をやり取りするアンテナとしての送信動作では、ダイポールでもループでもその構成要素のエレメント上のどの部分にも電圧と電流の変化タイミングが90度ずれた定在波が立ち、その周囲には位相が揃った電界と磁界が発生してそのまま放射電磁界として遠方まで伝播していく電波の輻射現象となっています。受信においても、エレメントの表面まで届いた放射電磁界によって送信とは可逆の動作によって給電点に電力を取り出しています。

ダイポールであってもループであっても定在波によって周囲に位相のそろった電磁界を発生し、それが電波になるというのがアンテナ動作です。 ループは磁界動作というのは、微小ループのよるセンサー動作のときだけであり、混同するべきではないです。

送信もするアンテナは可逆動作ですが、受信だけを行う近傍電界や近傍磁界を検出するセンサーを流用した受信アンテナは、可逆ではなく、これから遠方まで伝播できる放射電磁界はつくれません。したがって区別すべきです。英語版では後者をsmall loopとだけ称してantennaと呼んでいないこと、前者をsmall transmittable loopと区別してあつかっていることには、こういった意味が含まれていると思われます。

インピーダンスマッチングして定在波をのせる動作をさせているresonance antennaでは、ループが大きくても小さくても、出てきた電磁界を合成して輻射パターンを考えれば、小さいループのときと1波長ループのときの方向の違いは完全に説明がつきます。これを電界動作と磁界動作の違いとして説明するのは正しくありません。

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