ネットアップ

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ネットアップ
NetApp, Inc.
種類 公開会社
市場情報 NASDAQ: NTAP
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州サニーベール
設立 1992年
業種 情報・通信
事業内容 ストレージの製造・販売
外部リンク NetApp
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ネットアップ (: NetApp, Inc.NASDAQ: NTAP) は、アメリカ合衆国のITソリューシュンサービス企業。企業向けストレージおよびデータ管理ソリューションを提供している。本社はカリフォルニア州サニーベール。旧称、ネットワークアプライアンス。フォーチュン100メンバー。日本法人はネットアップ合同会社(2018年5月に株式会社から合同会社に変更)

歴史[編集]

NetAppは、1992年にデイブ・ヒッツ、 ジェームス・ラウとマイケル・マルコムにより設立された。1994年には新規株式公開を果たし、1995年にはインターネットバブルの影響を受け、売上高1億ドルを達成、それ以後、同社の売上高は着実に上昇している。NASDAQでは、Googleに並ぶ、急成長企業として知られている。 2008年3月にネットワーク・アプライアンスからネットアップに改称した。 また、同社は、フォーチュン誌の「最も働きがいのある企業」で第1位に。また、3年連続でトップ15入り、7年連続でトップ100ランキングに登場している。(2009年1月22日に米国サニーベールで発表)

買収[編集]

  • 1997: Internet Middleware (IMC) を 約1,000万米ドルにて獲得。IMCが開発提供していた Web プロキシ キャッシング ソフトウェアは、NetCache という製品名で 提供される。(NetCache製品事業は 2006年に売却される)
  • 2004: Spinnaker Networks を 約3億米ドルにて獲得[1]。Spinnakerが開発提供していた分散クラスタ ストレージ技術は Data ONTAP GX製品に統合され、2006年に正式リリース。その後、Data ONTAP GXは、ONTAP製品の第8世代リリースである Clustered Data ONTAPに統合された。
  • 2005: Alacritusを約1,100万米ドルにて獲得[2]。Alacritusが開発提供していたテープ仮想化技術は、NetApp NearStore Virtual Tape Library (VTL) 製品に統合され、2006年に正式リリース。
  • 2005: Decruを獲得[3]。Decruが開発提供していた ストレージ暗号化製品と暗号鍵管理製品は、NetAppの製品ラインナップに統合され、継続提供される。
  • 2006: Topioを約1億6,000万米ドルで獲得[4]。Topioが開発提供していた、配下のサーバーやストレージのインフラ構成に依らず、どのような距離でもデータを複製・保護・リカバリーするソフトウェア技術は、Replicator X (Open System SnapVault) として提供された。その後 Replicator Xは廃止される。
  • 2008: Onaroを約1億2,000万米ドルで獲得[5]。Onaroは、利用者が予め定めた可用性と性能に関するサービスレベルの通りに、ストレージをより効率的に管理するソフトウェアである、SANscreenを開発提供していた。SANscreenはNetAppの製品ラインナップに統合され、その後のNetApp OnCommand Insight製品・Cloud Insight製品に発展する。
  • 2010: Bycastを獲得[6]。Bycastはコンテンツ アッドレッサブル ストレージ技術を開発提供していた。Bycastの技術は、オブジェクト ストレージへと拡張され、現在のNetApp StorageGRID製品となる。
  • 2011: Akkoriを約6,000万米ドルで獲得[7]。Akkoriは、過去の利用傾向から将来の需要予測を行う解析技術や、異常値検出技術を利用し、データセンターのインフラ基盤の監視管理ソフトウェアを開発提供していた。これらの技術は、NetApp OnCommand Insight製品に統合された。
  • 2011: LSI社のストレージ製品事業部門である Engenioを約4億8,000万米ドルで獲得[8]。Engenio製品は、NetApp E-Series/EF-Series として製品ラインナップに統合される。
  • 2012: Cache IQを獲得。NAS製品のデータキャッシング技術として統合。
  • 2013: IonGridを獲得[9]。iOSデバイスからセキュアなコネクションを確立し ファイルサーバーのユーザー データ ファイルにアクセスできるソフトウェア技術を NetApp Connect としてリリース。その後 廃止。
  • 2014: Riverbed社のクラウドバックアップ製品であるSteelStoreを獲得。NetApp AltaVault製品としてリリース[10]。ストレージ内部のデータブロックを、オブジェクト ストレージへバックアップ・リストアする技術は、他の製品にも活かされる。AltaVault製品は廃止となるが、Cloud Backupサービスなど、他の製品・サービスが後続ソリューションとして提供されている。
  • 2015: SolidFireを約8億7,000万米ドルで獲得(M&Aの完了は 2016年1月)[11]。ストレージQoSを実装したiSCSI オール フラッシュ ストレージ製品。NetApp SolidFire SF-Seiresとしてリリース。その後、NetApp HCI製品に統合され、NetApp H-Series 製品となる。
  • 2017: PlexiStorを獲得[12]。PlexiStorが開発提供していた メモリ ファイルシステム製品である Max Dataを継続提供。その後、廃止される。
  • 2017: Immersive Partner Solutionsを獲得[12]。コロケーションを中心にサービス提供を行っていた Immersive Partner Solutionsは、CIDAT for FlexPod という名前のコンバージド インフラにおけるITライフサイクル管理ソフトウェアを開発提供していた。
  • 2017: Greenqloudを獲得[13]。プライベート スタートアップ企業であった Greenqloudは、Qstackという名前のハイブリッド クラウド オーケストレーション ソフトウェアを開発していた。
  • 2018: StackPointCloudを獲得[14][15]。StackPointCloudは、複数のクラウド サービス上に Kubernetesクラスターを自動構成できる SaaSサービスを提供していた。NetApp Kubernetes Serviceとしてリリースされる。その後、廃止。
  • 2019: Cognigoを獲得[16]。イスラエルのスタートアップ企業。AIを用いた解析技術により、システム内に保管されるプライバシー データの検出やコンプライアンス規定違反状況の検出を実現するソフトウェアを開発。NetApp Cloud Complianceサービスとしてリリース。
  • 2020: Talonを獲得[17][18]。CIFS/SMB ファイルサーバーのキャッシング ソフトウェアを開発提供。NetApp Global File Cache 製品としてリリース。
  • 2020: CloudJumperを獲得[19][20]。クラウド上で仮想デスクトップ環境を構築するSaaSサービスを提供。NetApp Virtual Desktop Serviceとしてリリース。
  • 2020: Spotを獲得[21][22]。クラウドサービスにおいて安価に利用できる スポット インスタンスを複数集約し、安価なクラウド コンピューティング クラスタとして活用できるサービスを提供。

経営哲学[編集]

NetAppの経営哲学とカルチャーは、モデル企業ビジョンによって規定されている。このビジョンは、中核となる共有の価値観を持ち、それを実践することによって、当社が貢献しているコミュニティに最高の結果を提供することとされている。NetAppには業界の最も優秀な人材とパートナーが集まっており、NetAppは、米「FORTUNE」誌の「100 Best Companies to Work For(最も働きがいのある企業ベスト100)」で米国第1位、また世界中の拠点で「Best Companies to Work For(最も働きがいのある企業)」でも第1位に繰り返し選出されている。同社は、お客様、パートナー、従業員、株主および地域社会の発展に貢献するための努力を惜しまない、世界で最も優秀な熱意ある従業員を擁することを誇りにしている。コーポレートスローガンは、「 Go further, faster」である。

製品[編集]

ONTAP[編集]

創業時から開発提供している ストレージ(記憶装置)専用OSであり、主要製品。製品のリリースと共に、Data ONTAP > clustered Data ONTAP > ONTAP と正式名称が変更されている。NetAppが提供するハードウェア製品 Filer/FAS/AFFシリーズで稼働し、ハードウェアと共に ストレージ アプライアンス製品として提供される。ハードウェア製品の他に、仮想アプライアンスとして稼働する ONTAP Select製品、AWS/Azure/Google Cloud Platformで稼働するクラウド アプライアンス Cloud Volumes ONTAP製品が提供されている。

ONTAPの開発コードは、Barkley Net/2 BSD Unixをベースとし、買収したSpinnaker Technology社の技術など、多くの拡張や機能改善が行われている。

名前の由来は、生ビールの注ぎ口を意味する「TAP(タップ)」から。NetApp本社が位置する カリフォルニアは、地ビール(クラフトビール)が盛んな地域でもあり、新鮮なクラフトビールをバーやレストランなどで提供する際に、ビールの樽に直接「TAP(タップ)」を取り付けることから「On Tap」と看板に書かれている。ビールのように、いつでも好きな時に簡単にデータを取り出すことができるようにしたい、という思いを含めて「Data ONTAP」と名付けられた。

初期においては、NFSのみ対応するNAS製品としてリリースされた。その後、SMB、iSCSIファイバーチャネル プロトコル、FC-NVMeが追加され、多くのストレージプロトコルに統合的に対応可能な「ユニファイド ストレージ」として製品を提供している。ONTAP関連の製品開発において、VTL(バーチャル・テープ・ライブラリ)や、ストレージ暗号化製品である Decru、オブジェクト ストレージへのバックアップ アプライアンス製品である AltaVaultなど、製品のリリース当初は別なハードウェア アプライアンスとして提供されていた製品が、ハードウェアの技術進化とONTAPの機能拡張により、ONTAP製品に統合・機能拡張されてきた経緯がある。

最近では、クラウド市場に注力しており、20PBのストレージインフラをインターナルに持っている豪テルストラ、同じく同社の顧客であるBMW、オラクルなどのプライベートクラウドや、Yahoo! mailやGoogle Apps、Facebookなどパブリッククラウドの事例を有している。シングルアーキテクチャでソフトウェア、ハードウェアプロセスなど共通化できるユニファイドストレージが他社との大きな違いであり、クラウド基盤として最適であることを強調している。

データ ファブリック (Data Fabric)[編集]

データ ファブリック(Data Fabric)は、NetAppが2014年から提唱する製品や技術を開発する際のコンセプトであり、ビジネス戦略。「クラウドやオンプレミスなど 環境の違いを超えて ユーザーが自由にデータを入出力できるようにしたい」という趣旨。Fabricとは、糸を織った布地の英単語であり、また、コンピュータ ネットワークの世界では相互通信を可能にする膨大なネットワーク接続形態を意味する。

近年におけるクラウド コンピューティング技術の普及に伴い、様々な企業や組織における大規模なシステムやITサービスが、インターネットを介して相互接続される状況になっている。しかしながら、サーバー・ストレージなどのインフラストラクチャ技術領域においては、開発者がデータを取り扱う際に、物理的な格納場所やネットワーク上の論理的な位置などの技術的な制約が存在する。

データ ファブリックは、新しい時代における相互ネットワークの世界の中で、技術的な制約にとらわれず容易にデータを活用できる世界を実現したい、というメッセージである。

特色[編集]

NetApp Filer はUNIXや Windowsクライアントからの共有ファイルサービスとしての NAS (NFS及びCIFS) としての利用だけでなく、FCP、iSCSI などのDAS/SANプロトコルもサポートしており、SAN/NAS統合ストレージとして利用が可能である。また、全モデル共通の専用OS(DataONTAP)と全モデル共通のディスクを採用している上、その管理を容易にするための機能や、信頼性を高めるための機能も用意し、ワークグループ~エンタープライズ規模まで幅広い範囲で利用できることが特徴である。

世界のNAS市場におけるブランドとして認知されている。

Snapshotを高速で安定したオンラインバックアップ機能として、SnapRestoreを高速で安定したリストア機能として提供している。

既存のRAID技術の上に数学的アルゴリズムを利用して実装したRAID-DPSNIAよりRAID-6と認定され、新しいRAID方式として定められた。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ Kovar, Joseph F. (2003年11月4日). “Network Appliance Acquires Spinnaker”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  2. ^ Network Appliance Acquires Alacritus; Extends Leadership in Disk-Based Backup; Helps Customers Easily Transition to Disk” (英語). www.businesswire.com (2005年4月7日). 2020年12月10日閲覧。
  3. ^ Kovar, Joseph F. (2005年6月16日). “NetApp To Acquire Decru”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  4. ^ Kovar, Joseph F. (2006年11月8日). “NetApp To Acquire Topio, Use Replication Against EMC”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  5. ^ NetApp to Acquire Onaro” (英語). www.businesswire.com (2008年1月3日). 2020年12月10日閲覧。
  6. ^ Kovar, Joseph F. (2010年4月7日). “NetApp Acquiring Bycast For Object-Based Storage”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  7. ^ Hickey, Andrew R. (2011年1月12日). “NetApp To Acquire Akorri Networks In Virtualization Push”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  8. ^ Yeraswork, Zewde (2011年3月9日). “NetApp Acquires LSI's Enginio External Storage Business”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  9. ^ NetApp Acquires ionGrid for Mobile File and Content Access”. mobile.infostor.com. 2020年12月10日閲覧。
  10. ^ Kovar, Joseph F. (2014年10月31日). “NetApp Expects Riverbed's SteelStore To Bring Improved Data Protection”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  11. ^ Warren, Justin. “NetApp Acquires SolidFire For $870 Million” (英語). Forbes. 2020年12月10日閲覧。
  12. ^ a b Kovar, Joseph F. (2017年5月24日). “Two New NetApp Acquisitions Bring NVMe Prowess, Converged Infrastructure Management, And Future Strength”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  13. ^ Kovar, Joseph F. (2017年8月16日). “NetApp Bought Iceland's Greenqloud To Fill Data Fabric Need For Cloud Automation, Orchestration”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  14. ^ Kovar, Joseph F. (2018年9月18日). “NetApp Acquires StackPointCloud, Enhances Cloud-Native Capabilities With Kubernetes-As-A-Service”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  15. ^ NetApp Acquires StackPointCloud” (英語). www.netapp.com. 2020年12月10日閲覧。
  16. ^ Kovar, Joseph F. (2019年5月30日). “NetApp Acquires Israeli Data Security Developer Cognigo”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  17. ^ Kovar, Joseph F. (2020年3月9日). “NetApp Acquires Talon Storage, Brings ROBO Capabilities To NetApp's Cloud Tech”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  18. ^ NetApp Acquires Talon Storage | NetApp” (英語). www.netapp.com. 2020年12月10日閲覧。
  19. ^ Burke, Steven (2020年4月29日). “‘Leapfrog’ VDI Move: NetApp Acquires CloudJumper”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  20. ^ NetApp Acquires Leading Virtual Desktop Infrastructure Player, CloudJumper | NetApp” (英語). www.netapp.com. 2020年12月10日閲覧。
  21. ^ Kovar, Joseph F. (2020年6月3日). “NetApp Buying Spot To Tie Public Cloud Compute, Storage Optimization”. CRN. 2020年12月10日閲覧。
  22. ^ NetApp Closes Acquisition of Spot” (英語). www.netapp.com. 2020年12月10日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]